【いいところを語る映画評】「花束みたいな恋をした」
「花束みたいな恋をした」を配信で鑑賞しました。で、映画評を書いてみようと思います。
「都会の若者の生活感」が詰まっている/脚本の距離感が絶妙
この映画はある恋人同士の恋の顛末を描いているのだけど、特徴としては縦軸(ストーリー展開)の距離はあまりないかわりに、横軸(その時々のエピソード)の幅はあるってとこかな。
すじを簡単に説明すると、都会の若い男女が出会い、恋をして付き合い、うまくいかず別れたその5年間を描く。縦軸はそんな感じ。大きな事件はありません。(否定的に言ってるのではありません)
そのぶん横軸の幅は広くて、終電逃してカラオケに行き朝まで飲むとか、博物館デートするとか、大学さぼってイチャイチャするとか、ファミレスで話し込むとか、同棲するとか、若者にありがちなエピソードにあふれている。描かれる恋愛もしんどいものでは決してなく、切ないところはあるのだけど、そこまで暗いトーンになっていない。別れを決めたけどまだ一緒に住んでるところとか、終始、ドライで冷静な目線がある。
つまりは「都会の若者の生活感」が詰まった作品なのである。映画に「生活感」って大事だと思うんだけど、ここまで「都会の若者の生活感」に焦点をあてた作品はなかったんじゃないかなあ。登場人物の数も多くないんだけど、かといって少ない印象もなく、友達関係も家族関係もそれなりに描かれる。その描き方も、主役の恋人たちの視点でみると、友達や家族ってこのくらいのボリュームだよなって感じで、うまいなあと感じた。
この映画は、観客対象を「若者」に絞りに絞った作品なのである。それにも関わらず、結果的にそれがこの映画の魅力になっている。この作品の本質は(都会の)若者の生態をいびつに追ったものだと思うのだけど、わき目を振らず射程も短く描くことで、不思議と爽やかな印象を与えている。脚本の距離感が絶秒なんですよね。
最後に、エンドロールで話の本筋と関係ない主題歌が流れないのが素直によかった。
総合評価 ☆☆☆
☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆ →まあまあ。
☆☆ →う~ん、ちょっと。。。
☆ →ガーン!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?