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スリラー映画感想文「ヒッチャー」(1986年)

配信で「ヒッチャー」を鑑賞しました。
感想を書いてみようと思います。

車を陸送していた青年が雨の中ずぶ濡れの中年男を乗せたら、実は殺人狂だったというお話です。
クリーチャー(怪物)は出てこないし、スプラッター描写もないので、スリラーと表現しています。
ホラーとはちょっと違うかな。
とはいうものの、苦手な方は退避してくださいませ。

1986年 アメリカ
監督 ロバート・ハーモン

陸送の仕事をするジム・ハルジーは、シカゴからサンディエゴへと向かう砂漠地帯で、1人のヒッチハイカーを拾う。その男ジョン・ライダーは、ハンドルを握るジムの喉元にナイフを突きつける。一瞬の隙を見てライダーを車から突き落としたものの、その後も彼は執拗にジムを付け狙う。警察やウェイトレスのナッシュも巻き込み、事態は最悪の方向へと転がっていく。

映画.comより

はい、今回の映画は「ヒッチャー」。
まあ有名な作品ではないしB級感もあるのだけど、「ヒッチハイカーを乗せたら、実は怖い人だった」みたいな都市伝説に興味を持って観ちゃいました。

この映画、ぱっと見はどうしてもスピルバーグ監督の「激突!」(1971年)を想起させるし、得体の知れない殺人狂を演じたルトガー・ハウワーさんはこの数年前に「ブレード・ランナー」(1982年)で冷血なレプリカントを演じているので、それともダブる。
それらの作品を知っているとデジャヴュ感あるので、最初は少し興ざめでした。

ただ最後まで見てよくよく考えると、そういうことでもないな、と思い直しました。
――青年がひとりの中年男を乗せると、実はヤバい奴。なんとかその男を突き飛ばして事なきをえるのだけど、男はなぜか執拗に青年につきまとい命を狙う。

それを荒野の一本道みたいなところで撮影するからどうしても「激突!」っぽいのだけど、途中から警察が青年を殺人犯として追跡するのがメインになる。(殺人狂はいつの間にか自分の凶器と青年の免許証をすり替えている)

殺人狂は姿を見せずに常に青年を監視していて、ところどころ出てきては嫌がらせをしたり、なぜか警察からの逃亡を助けたりしてくれる。
なんだかんだあって誤解は解けて、警察は殺人狂を捕まえるのだけど、青年は「自分しかあいつを倒せない」とのたまい、クライマックスで二人は対峙する――

まあ簡単に言ってしまうと、理不尽な暴力に遭遇した青年の話。
ただネット上にはいろいろ考察記事があって、最初青年が眠気からトラックをぎりぎりでよけるシーンがあるのだけどその時点で死んでいたという衝撃的なもの(だから後のエピソードは死後の世界)や、実は青年は多重人格者で殺人狂はもう一人の自分ではないか、というもの。

確かに全編にいろいろツッコミどころあって、殺人狂の目的はよく分からない。
警察からの逃亡を手助けしてくれるところなんか「?」となる。
まあ序盤に警官が「あいつ(青年)に人殺しなんかできるわけない」と喝破してるシーンがあるから、青年が警察に捕まるともろもろ説明されて結局自分がターゲットになると考えるフックにしているのかもしれないけど、まあ目的は正直分からない。

ここで自分も考察してみると、これは「子どもから大人への通過儀礼」なんじゃないかなあと。「モラトリアムの終焉」というか。
青年は最初「ようやくカリフォルニア行きの仕事が見つかった」と言っていて、都会で一旗あげようというウブな青年。
その青年が最後には殺人狂と一対一で立ち向かうようになる。

「これから君が向かう社会はそんなに甘くないよ。時にはものすごい理不尽な目に遭うかもしれない。君は今のままで生き抜いていけるのか?」ってな感じ。
「一人前の男になるには、ファイトしなきゃいけない時があるんだぜ」のメタファー。
まあ外れてるかもしれませんが。

良くも悪くもアメリカっぽい映画です。
日本が舞台のこういう映画も見てみたいなあ。
性別が女性でも面白いかも。
何でもかんでも男女入れ替えればいいってもんでもないですけど。

総合評価 ☆☆☆

☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆  →まあまあ。
☆☆   →う~ん、ちょっと。。。
☆    →ガーン!

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