映画感想文「ザ・ホエール」
映画館で「ザ・ホエール」を鑑賞しました。
感想を書いてみようと思います。
※ネタバレありです。これから観に行くよ、って方はお気をつけくださいませ。
舞台臭は消されている
はい、現在公開中の「ザ・ホエール」。
主演のブレンダン・フレイザーさんがアカデミー主演男優賞を獲りましたね。
この映画に興味をもったのはフレイザーさんの受賞もあるけど、チラシを見て面白そうだなと。
フレイザーさんのビジュアルと「僕は信じたかった。」というコピーにひかれました。
(まさにアイキャッチのものです)
一方で、監督のアロノフスキーさんって「ブラック・スワン」や「レスラー」の人だからきっと一筋縄じゃいかないし、原作は舞台だし、舞台っぽい映画が苦手な身としては二の足を踏むところもありました。
で、実際観てどうだったかというと、確かに舞台っぽい感じはありました。
ただ、舞台臭はうまく消されていたと思います。
主人公が自力で歩くこともままならない肥満症なので、話が停滞した時にちょうどよく人が部屋を訪れるってきらいはあるけど(そこが舞台っぽいのだけど)、違う言い方をすると、よどみなくストーリーが進行して中だるみはありません。
登場人物も少ないし、主人公の部屋からカメラが外に出ることもほぼないのだけど(そこも舞台っぽい)、それでも変な重苦しさや息苦しさはなかったです。
正直、もっと重苦しくて息苦しいお話なんじゃないかなと勝手に思ってました。。。
カメラの構図がそうならないようにとても計算されていたと思うし、フレイザーさんのチャーミングな表情がいい感じに「抜け」を作ってましたね。
人は他者を思わずには入られない
と、これまで書いてきたことは映画の外側の部分。
ここからは内側(感想)を書こうと思います。
この作品で心動かされたところはどこかというと、主人公が死に際の最期まで自分以外の人間(娘)の幸せを願っている、というとこ。
この映画のテーマのひとつに、「人は人を救えるか」というものがあると思う。
キリスト教的宗教観を前提としていて自分はそれに関して詳しくないし、そもそも抱えきれない大きくて重たいテーマ。
なのでそこには踏み込まないのだけど、「人は結局ひとりで死んでいく。けどどうしても他者(娘や大切な相手のことなのだけど、自分以外の人間という意味)を思わずにいられない」っていうメッセージを感じました。
この主人公は、関係が修復したかどうかもよく分からない娘のことを思いながら死んでいく。
今まさに自身の命が失われようとしているときにも、誰か他者のことを思う。
これって、宗教関係ないですよね。
自分はこの姿が美しいと感じました。
主人公は妻と娘がある身ながら、同性の恋人との不倫に走った。
で、家族を捨て恋人と結ばれるも、恋人は自死。
そのショックから過食に陥ってしまい、極度の肥満症になってしまった。
これまでの人生も、身動きが自由にとれず死期が近づいている現在の状況も、自身が思い描いていたものとは全く違うものだけど、どんな姿になっても、娘の幸せを願う気持ちだけは自分のもの。
「自分の願いは自分のもの」「そしてそれは他者を思うもの」。
この2つがふっと溶け合うラストシーンは素敵でした。
終わりに
映画感想から少し離れると、主人公はオンライン文章講座の講師をして生計を立てています。
その講義の中で生徒たちに「客観はできるだけ少なくして、主観(自分が思ったこと)を書こう」と言っています。
これには共感しました。
まさにこのnoteで感想文を書く時に大事にしていること。
できるだけ誤情報(TVチャンネルの「BS3」を「BS1」と間違えた時は直しました。。)や誤事実は書かないように注意しているけど、まあ別に報道機関じゃないんだし。
そもそも世界中のあらゆることをイメージや誤解なしに把握している人っていないですよね。
まあ間違いを言いふらしたいわけじゃないけど、感想文なのだから、自分が「心の核」で感じたことを素直に取り出して、みなさんに伝わる文章にしたいなと心掛けてます。
総合評価 ☆☆☆
☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆ →まあまあ。
☆☆ →う~ん、ちょっと。。。
☆ →ガーン!
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