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夏のベランダ。

自分の部屋で1番好きな場所は?

僕はベランダと答える。

一人暮らしをして、これまで3回部屋を借りた。

初めて借りた部屋はベランダとは言えないくらい狭かった。一辺が1メートルにも満たない正方形のベランダ。

大学生活をその部屋で始めたが色々と不便で半年後には引っ越してしまった。


新しく借りた部屋は引っ越しシーズンを終えていて空いている部屋だったので10階だったが、家賃は前の部屋からちょっと上がるくらいで住めた。

その部屋から見える景色がすごく好きだった。

京都市内の10階は本当に全てを見渡せる高さ。

大文字焼きも家から見えたし、夕日は綺麗だったし、街を歩く人、自転車を漕ぐ人、移動する車やバス。すべてを見ることが出来た。

特に夏のベランダが好きだった。

僕はクーラーをつけるとお腹をすぐに冷やしてしまう体質なので、扇風機をつけたら窓を開けたりと余程の暑さじゃなければクーラーをつけなかった。

それのせいで夏は特に部屋の中の方が暑くて仕方がなかった。

ベランダにいる方が日差しはあれど、風が吹くので快適だった。それに景色が相まって僕はあの場所が好きだった。

夜もまたベランダから見える景色は美しかった。綺麗な夜景とは言い難いが、未だに僕の中に残り続ける景色のひとつ。星も少しばかり輝いて見えた。


そして、上京して住んでいる今の部屋。

夏のベランダはやっぱり部屋の中より快適だ。以前とは違い10階に住んでいるわけではないが、この場所が好きだ。移動する人、車、バスが見えるわけではないがこの場所が好きだ。空はここからでも見上げることができる。

感動するような景色は見えないが、この景色もきっと僕の中に残り続けるんだと思う。

ここにいると、"あの"東京いても時間がゆっくり流れているのを感じられる。


ベランダが好きな僕。

それはきっとベランダが誰にも侵されない自分だけの空間であり、外の世界でもあるからなんだと思う。

部屋の外にいるのに自分だけの場所である所はベランダ以外になかなかないからこの場所が好きなんだろう。

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