「映画を早送りで観る人たち」を読んだ。
気になっていた本を手に取り、珍しく時間を空けずに読み切った。
そのタイトルは「映画を早送りで観る人たち」
何ともパワーのあるタイトルで映画好きの自分はこの本を書店で見つけて素通りすることはできなかった。
内容
早送りされることが想定されていない映画をどうして早送りするのか。
そのシンプルな疑問が解き明かされていく。
早送りする人たちへのインタビューやいろんなデータを基に見解が述べられていくので、個人的には映画の話というより社会学の講義を受けているような感覚でした。
感想
僕は映画、ドラマに関していえば早送りは絶対にしない。
映画もどちらかと言えば映画館で観たい派の人間だ。
一方で、Youtubeの動画とかは10秒スキップはしたり、大学生の時は講義の動画を早送りで見る、聴くことはしていた。
だから、読み進めていく上でどちらの立場にも立てるのでより楽しめた。
読み始める前に早送りの原因を考えていた。
僕が1番感じていたのは作品の多さ。
新しい作品がどんどん公開されるので毎週のように映画館に行っていた時期もあったし、観たい過去作もたくさんあってこれじゃ全部観切れないよと思っている自分がいた。
たくさんの数映画を観たい人からすると早送りを使うことはそれを解決してくれる手段のひとつだとも思える。
自分としては早送りするとその作品を100%受け止めれた気ができないので、観た認定できなくなるので絶対にやらない。
そんな予想を引っ提げて読み進めると間違ってはなかった。
作品の供給過多、SNS時代によるコスパ志向、説明セリフの多さの3つがこの早送り問題の根底にあるとのことだった。
それぞれについてより個別具体的にいろんな視点からの意見が書かれていてとても面白かった。
そして、この本を読んで1番強く思ったことがある。
この先映画はどうなっていくのだろうか。
明らかに映画を早送りせず味わう層よりもそうではない層の方が大きく膨れ上がっている現実。
ビジネスで考えるとニーズがある方を選択するのがベター。
tiktokやYouTube shorts、切り抜き動画を見ている人が2時間かかる作品を観たいというニーズはほぼない。
SNSの発達に伴ってなるべくしてなったこの状況。
『サマーフィルムにのって』で出てきた映画が数秒になっている時代もそう遠くないのかもしれないと少しぞっとする。
どれだけ抗おうともその勢いは凄まじくできることはもうそうなる未来をどれだけ引き延ばせるかを考えることが現実的なのかなと思ったりした。
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