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思わず監督に人生相談!?『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』vol.3

いよいよ今日から元町映画館で公開がはじまりました『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』。紹介記事第3弾は(ごみけん)がお送りしますー

あらすじ

沖縄・那覇市にあるフリースクール・珊瑚舎スコーレ。

10才の子供から70歳を越える高齢者まで様々な世代の方が学ぶ学校に、ある日、15才の少女がやって来た。

彼女の名前は坂本菜の花さん。

本州から、とある理由でやってきた彼女は、沖縄の過去と今を学び、純粋な言葉で思いを綴っていく……。

キラキラした沖縄の暗い部分

きれいな海、温かい気候、にぎやかな人々。

沖縄に対して漠然とそんなイメージだけを持っている人は多いのではないでしょうか。この映画を見るまでは僕もそのうちの一人でした。

しかし、本作で少女・菜の花さんの視点から浮かび上がってくるのは、そんな輝かしい部分の裏に隠れた、沖縄の苦痛、報われない闘争、内地からの潜在的な差別意識でした。

明るく、エネルギッシュな沖縄の人たちの姿のおかげで、僕たち内地の人間はキラキラした部分のイメージだけを持っていることができ、訪れた際にはそのイメージのままに観光地としての沖縄を満喫できます。

しかし、その裏に隠れた沖縄の影の部分を僕たちは知らなければなりません。

本作では、報道では語られない、あるいは国にとって都合よく解釈されて語られてしまう沖縄の"実際"を菜の花さんの視点を通して知ることができます。

他人を自分の一部として思いやること

この映画を見るまでの僕にとって沖縄は"他人"

他人のことだから興味もわかなければ、その痛みを理解することなど到底不可能なことでした。

しかし、本作では菜の花さんや沖縄の人々が、他人のことをまるで自分のことのように思う姿にハッとさせられました。

沖縄の人たちが基地建設に反対するのは、自分のためというよりこれからの未来を担う若い世代のため。菜の花さんが沖縄に移ったのも、沖縄の苦しみを自分の苦しみと同じように感じ取ったためです。

それに対して僕たち内地の人々の姿勢はどうでしょうか。

沖縄を他人視したまま自分のこととして想像する努力を怠っていることが、基地建設の強行や潜在的な差別といった行動に表れているのではないでしょうか。

僕たちが今できることは沖縄を自らの、つまり僕たちの国日本の一部として改めて捉えなおし、その痛みを想像することです。想像すれば自ずと行動せざるを得なくなり、その小さな行動が力になるのだと思います。

僕にとって本作を観ることがそのはじめの一歩、すなわち沖縄を自分のこととして知るきっかけになりました。

僕と同じように、日々足りない単位のことを嘆いてはYouTubeをみて現実逃避しているごく普通の大学生にも観てほしいです。

監督インタビュー③

Q.

映画の冒頭で、「ちむぐりさ」という言葉の意味について「誰かの心の痛みを、自分の悲しみとして一緒に胸を痛めること」とありました。他人の痛みを自分の痛みとして感じることは僕の経験上できないと思っていますが、平良監督自身、それは可能だと思いますか?

A.

人生長く生きていくとね、人の痛みも自分の痛みになります(笑)

ただ、それが難しいとしても人の痛みを今の自分の経験値の中で想像しようとすることが大事だと思います。

この映画を撮る前、珊瑚舎スコーレのドキュメンタリーを撮った時に、おじいちゃんおばあちゃんの話を聞いて、私自身とても心が痛んだんです。その痛みをほかの人に想像してもらうために映像として残して伝えるのが私の仕事でした。想像してもらいやすくするにはどんな撮り方、構成にしたらいいかということを考えてこの映画を撮りました。

もちろん、伝わらない人もいるだろうけど、そこは自分の伝えたいことを信じるしかないと思っています。

Q.

僕自身、この映画を見て初めて知る沖縄の現状についての内容が多く、思い返せば学校で沖縄の現在の問題について詳しく学んだことはなかったと思います。平良監督は、学校で沖縄の現状について学ぶ機会を設けるとしたら、どんな形がいいと思いますか?

A.

この映画をみて!(笑)

実は、沖縄でも基地の問題を授業で扱うと「政治的」とみなされてしまうため、学校の先生たちも扱いづらい状況です。でも、生活している限り政治と無関係でいられる人なんていないんです。

現在の日本では「政治的」な問題をタブー視する傾向があります。教育現場でも先生たちがそういうテーマを取り上げにくい状態であることはすごく問題だなって思うんです。

珊瑚舎スコーレではそのようないわゆる「政治的」な問題も、「昨日こんなことがあったよね」っていう感じでとても自然に扱われていて、それについてみんなで意見を言い合っているんです。

日本教育も同じように討論する機会を設けて、先生たちももっと意識的にそういうテーマを扱うべきなんじゃないかと思います。

おじさんにばっかり政治任せてたらいい国にならないよ!(笑)

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一問めはほぼ人生相談ですね。

経験を積みたいと思います。

このほかにもいろんな問いに答えていただきました。

「沖縄の人たちが置かれている現実(基地があって、命が脅かされている)に思いをはせてほしいのはもちろんですけど、沖縄の良さも伝わったらいいな」とおっしゃっていたのも印象的です。

なんかまじめな感じになってしまいましたが、とにかく僕と同世代の若い人は軽い気持ちで観てみなよーということです。ドキュメンタリー映画というとどことなく「プロジェクトX」みたいな、粛々としたナレーションで語られるガチガチな感じを想像するかもしれませんが、この映画はもっと柔らかくポップで親しみやすいです。

元町映画館では今日から2週間上映!
学生は500円です! 

参考

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