【映画チラシ】収集歴もうすぐ50年/素敵なチラシ紹介/No,002 エイリアン ALIEN
子供の頃、チラシ収集ブームがありました。
映画館の指定席が中央の一部しかない時代。
朝から初回の自由席確保のために並ぶのは当たり前でした。
(1作目のスター・ウォーズのときなどは徹夜組がいました。)
そして映画館が開くと、席を確保するよりも先にチラシを取りに走る人たちが大勢いたのです。
置いてあるものがすぐに無くなってしまうため、「チラシは一人一枚まで」などという張り紙が貼られていたり、設置場所に見張り番が立っている映画館までありました。
そんな中、皆、苦心工夫して集めていたものです。
前売り券を買うと付いてくるポスターを丸めるために、上から一緒に丸めてセロハンテープで留められているチラシを丁寧に剥がすのは当たり前。
私も、銭湯の脱衣所にパンチ穴を開けて紐で吊られているものまで取り、前売り券を販売しているレコード店の窓に貼られているものを店員さんに頼み込んで貰ったり、本当に集めることに努力していました。
有楽町・銀座から歩いて昭和通りを超えた先、新富町と築地の間あたりにチラシ・ショップがありました。
階段から店内にかけて壁一面にチラシが貼られていて、何度行ってもワクワクしていたことを思い出します。
チラシ・ショップは新宿のアルタ裏や、渋谷などにもありました。
近くで映画を観た帰りには必ず立ち寄り、少ない小遣いの中で好きなチラシを買って帰ったものです。
銀座と新宿はもうありませんが、渋谷のショップはまだあるのでしょうか。
東銀座にあった “ 松竹セントラル ” は好きな映画館でした。
その帰り、チラシ・ショップへ向かう道(昔あった電通ビル横の道)を歩いていると、自分で収集したチラシを道端でファイル片手に個人的に販売している何人もの人からよく声を掛けられたものです。
あの頃のチラシ収集ブームはそれほど凄かったのです。
No,002 エイリアン ALIEN
1979年公開 イギリス・アメリカ映画
リドリー・スコット監督
トム・スリケット、シガニー・ウィーバー主演
★さて、「素敵なチラシ紹介」の第二回目は “ エイリアン ” です。
リドリー・スコットさんは、他にも「ブレードランナー」「ブラック・レイン」「グラディエーター」などの有名作品を監督されています。
“ エイリアン ALIEN ” の本来は “ 外国人=市民権を持たない者 ” という意味でしたが、この映画公開以降、“ 宇宙生物 ” や “ 宇宙人 ” という意味で使われることがあまりにも広がったため、今では辞書にまで載るようになりました。
また、それまで空港などの入国審査の外国人ゲートに掲げられていた “ ALIEN ” という言葉は嫌悪感を持たれ、“ FOREIGN ” に変更されていきました。
それほど世界中に影響を与えた映画、それがこの “ エイリアン ” です。
さて、チラシの話に移りましょう。
第一回目の “ ジョーズ ” でも書きましたが、私が勝手に分類している「デザイン系」として素晴らしいのが、1種類目です。
歴代のチラシの中でもトップクラスのデザイン性ではないでしょうか。
★私の勝手なチラシ分類
◎デザイン系
◎主演俳優強調系
◎一場面切り抜き系
◎出演者羅列系
◎絵系
◎文字系
“ ジョーズ ” も “ 題名と女性と海とサメ ” という少ないパーツで構成されたデザインでしたが、その絵柄から “ ああ、サメが人を襲う映画なんだな ” ということはイメージできました。
★関連記事「素敵なチラシ紹介/No,001 ジョーズ JAWS」
しかし、この “ エイリアン ” の一種類目のチラシでは内容を理解するのは困難だったと言えるでしょう。
“ 題名と卵らしきものと真っ暗な背景と地面 ”
その後の続編の数々を観てきた私たちから見れば、真ん中のものが “ 卵らしきもの ” であり、背景は “ 宇宙空間 ” だと判断できますが、当時はインターネットもスマホもありません。映画雑誌と公開前に手に入れたこのチラシだけの情報で想像を膨らませるしかないのです。
唯一、助けとなるのは “ キャッチコピー ” です。
“ 宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない。”
“ ジョーズ ” のチラシには無かったキャッチコピーで、ようやく舞台は宇宙であること、何かしらの恐怖映画なのだということが分かります。
このキャッチコピーも良いですよね。
この2年前、1077年に公開されたダリオ・アルジェント監督のサスペリアのキャッチコピー 「決してひとりでは見ないで下さい」が大流行したこともあり、この頃のものはとても考えられていた気がします。
2種類目は、私が分類している “ 出演者羅列系 ” に当たると思います。
まだシガニー・ウィーバーはそれほどクローズアップされず、表面では一番前に来ていますがそれほど他と差はなく、裏面のキャスト覧では2番目ですし、名前の書かれ方もシガーニイ・ウィーバーとなっています。
しかし、シガニー・ウィーバーがこの作品で有名になったことにより、続編以降のチラシは大きく変わっていきます。“ 主演俳優強調系 ” に大きく転換していくのです。
一作目から7年後の “ エイリアン2 ” では、完全にシガニー・ウィーバーをメインにしたものになりました。
この7年の間に、ゴーストバスターズなどに出演した彼女の人気が上がってきていたためということは理解できますが、完全なる “ 主演俳優強調系+一場面切り抜き系 ” となってしまい、全く特色に欠けた残念なものになってしまっています。
唯一評価出来るのは “ 今度は戦争だ! ” というキャッチコピー。
一作目の空気感を知っている者にとっては、全く異なるキャッチにワクワクさせられました。
3作目。
1作目ではあまり姿を見せず、2作目で一気に露出が高まったエイリアン自身がチラシでも解禁になります。
リプリーとエイリアンの2大スターが活用され始めたました。
4作目。リプリー=シガニー・ウィーバー健在です。
しかし、2種類目のチラシではウィノナ・ライダーが同等の扱いで利用されています。
今後は二人を、もしかしたらウィノナ・ライダーへ主役を移行していくつもりだったのかもしれません。ただそれは、いろいろあった事情のためなのかは知りませんが、実現しませんでした・・・。
そしてエイリアンシリーズは “ リプリーとエイリアン ” から “ エイリアンとプレデター ” へ向かっていくのです。
《No,003 スピルバーグ特集 Part1》へ続く
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