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人類の永遠の課題

日曜日の朝8時過ぎ、地下鉄に乗り込む。日曜日は、早朝から学校へ向かう。車内は混んでいないが、席は空いてないないので、扉近くに立つ。日曜日の朝早くだというのに、みんなどこへ向かっているのだろう。

顔を上げると、扉の窓ガラスに自分の姿が映る。今日は白いロンTの上に半袖のTシャツを着ている。お気に入りの映画『Blade Runner2049』のワンシーンがプリントされたユニクロの半袖Tシャツだ。お気に入りのTシャツを着ているのに、残念ながら下の白いTシャツが変なふうに首元から顔を覗かせている。

私は体のバランス?重心?が傾いているので、右肩が上がっている。なので、右側だけ白のインナーが出てしまう。家を出る前に直したつもりが、少し歩くとこれだ。

どんなにかっこいい、かわいい人がビシッとコーデを決めていても、インナー、肌着が変なふうに見えていたら結構残念だ。夏場は特に難しい。人類の永遠の課題と言えるだろう。ブレードランナーの舞台となった2049年になってもこの問題は続きそうだ。

しかし、そんな白Tチラ見えもお気に入りのTシャツとなら気にしない。それにこのTシャツの色は、グレーと青の中間のくすみグレーのような色をしている。私は汗かきなので、夏場はこのTシャツは着れない。120%脇に汗染みができる。春か秋にこの着方しかできないのだ。ライアン・ゴズリングも「しょうがないよ」と慰めてくれる。


地下鉄から降り、地上へと向かうエレベーターに乗り込む。エレベーターの中の汚い傷だらけの鏡に再び首元が映る。相変わらず、右肩からだけ白Tが「こんにちは」している。


エレベーターが開くと、そこは歩道橋の上で朝の爽やかな日差しが、照り付ける。少しくらっとするぐらい眩しい。目を細め、歩き出す。歩道橋から街路樹が見える。風に吹かれて音を立てる新緑がきれいだ。春風は少し肌寒いが、陽が暖かく気持ちがいい。日曜の朝から活動している人たちへの施しだ。

私は、春が一番好きだ。夏と秋と冬のにおいは分からないが、なぜか春のにおいだけは分かる。爽やかで胸の高鳴るにおいだ。


歩道に降り、歩く。右前から二人組の女性が歩いてくる。その少し後ろに、自転車をこぐ青年。私の2,3歳下だろうか。歩道が狭かったので、私の左側にあるのコインパーキングの敷地に入り、自転車が通れるスペースを空けてあげる。すると、青年はすれ違いざまにペコリと会釈する。私も会釈を返す。たったそれだけのやりとりだが、なんだか清々しい。


お気に入りの映画のTシャツを着て今日も街を歩く。耳元のワイヤレスイヤホンからはamazon musicがオススメしてくれた初めて聞くアーティストが「everything is gonna be alright」と何度も唄っていた。女性ボーカルの声がきれいだ。すべてがよくなると、うまくいくといい。私の肩と同じように人生も右肩上がりだといい。この世から少しでも残念な肌着見えが減るといい。あの青年の日曜日が、素晴らしいものになったらいい。

スキしてもらえると喜びの舞を踊ります。