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デンマークの恋愛小説『しあわせな孤独』を読む。
書名『しあわせな孤独』
著者 スザンネ・ビエール (原作)山口 かずみ (ノベライズ訳)
ISBN:4-8401-1010-7
あらすじ(ネタバレあり)
セシリとヨアヒムは婚約し幸せの絶頂にいた。だが、交通事故でヨアヒムは全身不随となり、セシリに心を閉ざしてしまう。どん底のセシリを救ったのは、加害者の夫であるニルスだった。二人は次第に惹かれ合い、ニルスは家族を捨てセシリの元へ行くことを決意する。一方、心が回復したヨアヒムはセシリのこれからの幸せを願い別れを告げる。セシリは2つの愛に翻弄されながらも、ついには独りになる選択をするのだった。
異国の恋愛ものはあまり手に取る機会がなかったけれど、
マッツさんが出ている映画の原作ということで買ってみた。
▼良かったところ
・各タイトルがお洒落
・淡々と読める
▼微妙だったところ
・急に視点が変わる時がある
・心理描写が雑
・どこが感動ポイントだったのかイマイチ分からない(デンマーク国民の8人に1人が泣いたらしいが、文化の違いか涙は一滴も出なかった)
決して面白くない訳ではない。
けど、「ん?これだけ?」という物足りなさが残る一作だった。
『源氏物語』、『恋愛中毒』、『腦病院へまゐります。』などが好きな私には序章くらいにしか感じなかったかな・・・と。
でも、デンマーク人に愛されているのなら、それでいい。
本作は『しあわせ』と『孤独』が逆転して、最後に『しあわせ』が戻って来る構造になっている。
けれど、『しあわせ』の意味合いが前者と後者ではちょっと違う。
最愛の人と一緒にいる幸せ
から
独りでも感じられる日常のささやかな幸せ
へとシフトしている。
人は色々なことに『しあわせ』を感じることができる生き物だ。
二人でも一人でもそれは変わらない。
恋人といる幸せ
恋人を探している幸せ
片思いしている幸せ
一人でいる幸せ
五体満足の幸せ
仕事がある幸せ
家がある幸せ
子供がいる幸せ
何でもない日々の幸せ
・・・・・
劇的な展開がなくたって、人生にはいつも『しあわせ』に包まれている。
そのことに気付けるかどうか。
これがこの物語の本意だったのかもしれない。
叶うなら、この本を手に冬のデンマークを歩いてみたいと思う。
【追記】
原題:Elsker dig for evigt
英訳:Love you forever
直訳:永遠に愛している
永遠に愛しているからこそ、今は独りを選びましょう。
でも、これは決して不幸なことではないのですよ。
と、いう気持ちを汲み取って、タイトルに『しあわせな孤独』を持ってきたセンス、私は素敵だと思う。(勝手な解釈かもしれませんが笑)
デンマークの恋愛小説もっと日本語訳されますように…!
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