見出し画像

都知事選、“3位以下” の候補が越えるべき「ハードル」を数値化してみる


 東京都知事選。 私は(地理的に、金銭的に)地方の取材ばかりやっていますが、やはりこの選挙は注目しています。
 上位2候補に絞られた中、残りの候補にも気になる候補はいますよね。 勝手ながら私がセレクトさせていただき、過去の選挙と比べるコトで、注目候補がどういうレベルの得票をしたのか、という「参考値」を出してみました。 お時間が余っている時にでも読んでもらえれば幸いです。

(※以下、基本的に「敬称略」とさせていただきます。 御了承下さい。)


◆2024都知事選 金城セレクトの注目候補

・内海聡 ・石丸伸二 ・桜井誠
・ドクター中松 ・安野貴博 ・清水国明
・AIメイヤー ・後藤輝樹 ・河合悠祐
・黒川敦彦 ・田母神俊雄 ・暇空茜

(届け出順)

といった候補が挙げられるかと。

 彼らがどれだけ票を集めるか。 どれだけ票を獲ったらスゴイのか。 前回の結果を基準として考えてみます。


◆2020年都知事選の結果から見る

★2020年都知事選
 ・有効投票数:6,132,679票
 ・投票率:55.0%

以下、表記例
(名前 得票数 / 得票率)


 

まずは前回、供託金没収ラインで争った二人。

・山本太郎 652,277票 / 10.72%
・小野泰輔 612,530票 / 9.99%

 得票率10%を超えるためには前回の有効投票数だと613,268票以上必要だというコトになり、今回の石丸伸二はこの票数を超えられるかが注目されます。

 4位の小野候補以下の候補が全て供託金没収となったワケですが、そこに届かないが話題になった候補もいました。


・桜井誠 178,874票 / 2.92%

 前回ネット右翼票を一手に引き受けて5位に入った桜井候補。 この数字がネット右翼の基礎票とするならば、今回同様(または一部似た)主張をする候補が複数いるため、分散してしまうのでしょうか。


・立花孝志 43,912票 / 0.72%

 立花候補及びN国の第一次ブームは2019年で、ガーシーを擁して比例1議席獲った2022年が第二次ブームだとするならば2020年はその谷間で、立花候補でも得票率1%に届いていません。 今回アホみたいに多数の候補を立てていますが、それらを合わせればこの数字になるのでしょうか。
 もしそうなったら2020年並みの支持が有ると捉えられますが、それが難しいであろうコトは以下の例を見ればお分かりいただけるかと。


・後藤輝樹 21,977票 / 0.36%

 2010年代のインディー候補といえば、やはりこの人。 前回は2万票を超えたのですが、今回は後藤候補が霞むほどに珍獣候補が乱立して存在感が薄いのは否めませんが、先輩インディー候補の意地を見せられるでしょうか。


・西本誠 11,877票 / 0.19%

 選挙初挑戦の時は本名で出ていましたが、スーパークレイジー君です。 特攻服で踊るパフォーマンスと高級セダンの選挙カー、それでいて意外に真面目なキャラが注目されて5ケタの票を獲りました。
 その後の彼のイロイロはココでは書きませんが、今回選挙初挑戦の候補にとってはこの票数と得票率がひとつの基準になるように見えます。


・平塚正幸 8,997票 / 0.15%

 コロナ禍の中の選挙となった前回、「コロナは風邪」などと戯言を訴えた平塚候補が獲った票がコチラ。 今回「反ワク」を訴える候補もいますが、コロナに社会が慣れてきた今、この票数を超えられるでしょうか。


 では次に、過去の都知事選に出た候補を取り上げながら、その時の得票率を前回の有効得票数にあてはめて推定の得票数を出してみます。


◆過去の都知事選の結果から見る

※「・名前(出馬した都知事選) 得票率 / 推定得票数」

・羽柴誠三秀吉(1999年) 0.05% / 3,066票

 2000年代に全国各地の選挙に出没し話題になった羽柴誠三候補でしたが、1999年の都知事選では未だ知名度が低かったせいか、この程度の票に終わっています。


・秋山祐徳大使(1979年 都知事選) 0.09% / 5,519票

 1970年代の都知事選に出た自称 “泡沫のソムリエ” こと秋山候補も、知名度のわりにはあまり票が獲れていません。 未だこの時代は票を入れるに値しないと扱われていたのでしょう。 現在の状況と比べると、良いコトなのか悪いコトなのか・・・


・東郷健(1987年) 0.16% / 9,812票

 70年代~80年代に立候補していた「雑民党」の東郷候補。 最も票を獲った時でも得票率は前回の平塚候補並みです。 もし現在ならもっと票が獲れていたかなぁと思いつつ、SOGIやLGBTQを表立って語れる現在だと逆に出にくくなっちゃうかなぁと思ってみたり・・・


・中川暢三(2016年) 0.25% / 15,331票

 私が候補者に「プロ」という称号をつける人は二人。「東のプロ」が “ショウ・タカハシ” こと髙橋翔プロ(通算戦績:0勝14敗)で、「西のプロ」が、この中川暢三プロ(元兵庫県加西市長 通算戦績:1勝16敗)。 彼でも前回の都知事選に当てはめると後藤輝樹とスーパークレイジー君の間ぐらいです。


・赤尾敏(1987年) 0.58% / 35,569票

 昭和の右翼活動家として知られる赤尾候補ですが、80年代では1%も獲れていません。 前回大きく括れば同じ界隈の(※「右翼」と「ネット右翼」は天と地の差が有る、の意)桜井誠が3%近く獲ったコトを見ると、時代の変化を感じずにはいられません。


・マック赤阪(2016年) 0.78% / 47,834票

 選挙クラスタにはお馴染み、「スマイル党」のマック赤阪。 12度目の出馬となった2016年の都知事選でしたが1%も獲得できず。 とはいえ前回の都知事選に当てはめると立花孝志を上回っていますし、その後14度目に挑戦した港区議選で遂に当選を果たしたという彼の鋼の意思は、是非「選挙出まくりマン」には真似しないでいただければ、と。(もう遅いか・・・)


・内田裕也(1991年) 1.19% / 72,978票

 政見放送で「POWER TO THE PEOPLE」を唄った伝説で知られる内田裕也。 見事(1%)を超えました。 おかしな表現かと思うでしょうが、前述の候補らが届いていない点を見ればお分かりいただけるかと。


・桜金造(2007年) 1.26% /  77,271票

 今にして思えば何故選挙に出たのか分からない、桜金造(元ハンダース、アゴ&キンゾー)。 それでも1%超えを果たしているのですから、たいしたものですね。 ・・・って褒めてイイのか悪いのか、


・上杉隆(2016年) 1.74% / 106,708票

 フリージャーナリストとにして僧侶にして元N国幹事長にして “人力AI” の開発者として知られる上杉隆も都知事選に出ていましたね。 当時を思い出すと割と注目候補として扱われていたような気もしますが、結局1%台だったのですね。 それでも “元上司” の立花孝志より高い得票率なので、面目は保っているのでしょう。  ま、どーでもイイけど。


・ドクター中松(2003年) 2.48% / 152,090票

 今回も出馬している御年96歳のドクター中松候補。 今回含め7回都知事選に出ている、恐らく歴代最多記録保持者でしょう。 その中で最も多く得票した2度目の選挙(当時75歳)の時は2%台まで伸ばしています。 ちなみに最も低かった2011年の都知事選では得票率が0.81%。 この候補者乱立の中でそれを上回ればスゴいコトだと思いますが、果たして。


・黒川紀章(2007年) 2.89% / 177,234票

 2007年に突然政治団体「共生新党」を立ち上げ政界に進出した建築家の黒川紀章。 前回でいえば桜井誠並みの得票をしたというコトになります。 やはり前回の桜井候補が如何にバグった得票だったかが分かりますね。


・田母神俊雄(2014年) 12.55% / 769,651票

 今回も出馬している田母神閣下。 得票率10%超えで供託金も還ってきたのですが、その後公選法違反で有罪となり5年間公民権停止になります。 それが明けてから初の選挙で青年会議所主催の公開討論会のメンバーに選ばれましたが、今回はどれだけ票を獲れるのか。 10%超えたら「健在」を満天下にアピールできるのでしょうが、どうなるでしょうか。


 そして最後に、他の選挙からデータを引っ張ってきてみます。 単純に比べられるものではありませんが、参考までに・・・


◆他の選挙結果と見比べてみる


・新党くにもり(2022年 参院選比例) 0.15% / 9,199票

 2022年の参院選比例。 右派政党のひとつである新党くにもりが獲った票が0.15%。 似たような主張をしている今回の候補は、この得票率は超えたいトコロでしょう。


・幸福実現党(2016年 参院選比例) 0.70% / 42,928票

 宗教系政党としては公明党に次ぐ規模であろう幸福実現党も、参院比例で1%を超えたコトが有りません。 前回の都知事選で候補者が選挙戦途中で運動を停止してから大きな選挙に出るコトは無くなりましたが、現在もコツコツ地方で議員を増やしています。


・参政党(2022年 参院選比例) 3.33% / 202,378票

 2年前の参院選で一種のムーブメントを起こした参政党が比例で獲得した票が約3%。 今回は田母神候補を支援しているので、単純に2014年の得票数とこの推定得票数を足せば、田母神候補は100万票近く獲ってしまうコトになるのですが、サスガにそこまでは行かないと思うので、この数にどこまで近づけるかが田母神候補を見る上でのポイントとなるかもしれません。


※飯山陽(2024年 衆院東京15区補選) 14.21% / 871,453票

 これこそ単純比較はできないのですが、昨年の衆院補選で初陣を飾った日本保守党の飯山候補が、14.21%の得票率で4位に入りました。 街宣で結構な盛り上がりを見せた飯山候補及び日本保守党。
 翻って今回の都知事選で現在3位4位に入ると言われている石丸田母神両候補。盛り上がりや勢いを飯山候補と比べる際の参考になればと思うので、記しておきます。



 以上となります。 一週間後に迫った開票日。 それを見るにあたっての参考になれば幸いです。



もし宜しければサポートをいただけると大変嬉しいです! いただいたサポートは今後の取材費として使わせていただきます。