EXCELの活用レベルでITリテラシーがわかる!? ~プログラミングの基礎レッスン~
「ITは得意ですか?」と聞かれても、答えに困る。自分ではよくわからないですよね。私は元IT企業に勤めていたので、「パソコンの調子が悪いんだけど、、、」とこの前も聞かれました。でも、壊れたパソコンは直せません。残念!
一般的に、プログラミングできる人は、ITに詳しそう。でも、プログラミングというとハードルが高いですよね。もう少し簡単に、ITがわかる人(ITリテラシーが高い人)を見分ける方法はないでしょうか?
EXCELの使い方
例えば、EXCELを、どんな風に使っているか? Microsoft社の表計算ソフト「EXCEL」は、仕事で使うことも多いし、学校でもEXCELファイルを使うことが増えているようです。たぶん、多くの人が使ったことがあると思います。
そして実は、EXCELはプログラミング的な要素がたくさんつまっている。簡単な使い方も、高度な使い方もできる。その人のEXCELの使い方を見ると、ITリテラシーのレベルがなんとなくわかりそうです。
中小企業診断士の試験にも登場するEXCEL
経営コンサルタントの国内唯一の国家資格「中小企業診断士」。その試験の中に「経営情報システム」という科目があります。ITの基礎から、大規模ITシステムの開発方法など幅広いITと情報処理の知識が問われます。この試験の中で、EXCELの問題が出るんです!
※(例)令和元年度 中小企業診断士試験「経営情報システム」第4問より
データの並べ方や、計算式の考え方、セルの指定方法など、問題になると意外と難しい。EXCELはプログラミングの基礎レッスンに最適なんです!
あなたは、EXCELを、どんな風に使っている?
では、どんな使い方ができれば、ITリテラシーが高いと言えるか? プログラミング的な思考ができていると言えるか、見ていきます。あなたは、どのレベルでしょうか?
レベル1)他人がつくったシートを見る、データ入力するだけ
EXCELは見るだけ。または、他人がつくったシートにデータを入力するだけ。という人が一番多いかもしれません。変なところをさわって、レイアウトが崩れた!どうしよう、と思っちゃうタイプです。
まあ、EXCELファイルを開けるだけで、ITを活用しているわけで。入門レベルは、十分です。
レベル2)データをどう並べるか考えて、自分でシートをつくれる
自分でゼロからシートをつくれる。これは、なかなかのレベルです。データを縦に並べるか、横に並べるか。縦と横の軸をどうするか、どのように集計するかで、シートの意味が大きく変わります。
EXCELは表形式なので、縦横の2軸でデータを整理するのが基本。実際のデータはもっと複雑でも、その中から2軸を選ぶ必要がある。工夫すれば、多数の軸を並べることもできますが、複雑になるのは考えもの。どうやったら、シンプルに整理できるか発想が大切です。
こうした、縦横の軸を何にするか、シート全体の意味がパッと見ただけでわかるようにする、ということも、ITの重要な考え方。わかりやすいシートがつくれるということは、データの捉え方がうまい、適切にデータを把握できている、ということです。
自分でシートが作れる人は、ななかなのレベルと言えます。
レベル3)計算式をコピペして、効率よくシートをつくれる
EXCELでは、入力済のセルの値を使って、計算式を入力し、計算させることができます。何をいまさら!?という感じですが、これがプログラミングの超基礎。セルが変数(データを入れておく場所)、計算式がプログラムです。
さらに関数を使うことで、複雑な計算式を簡単に表現できます。範囲指定して合計したり、平均値を計算したり。簡単に記述する、表現をシンプルにする、そうするとミスが減る。ミスを減らす工夫もプログラミングの基本です。EXCELには多くの関数が用意されていますが、まずは数個の関数を使うだけでも十分、すごいことができます。
ここで重要なのは、計算式をコピペして使い回せるようにすること。コピペできるということは、大量にデータがあっても、最初につくる計算式は1つだけでいい。これもプログラミングの重要な考え方です。一般的なプログラムではループ文に相当する。ループ文を疑似的に展開したものと言えます。
コピペしやすい計算式にするには、セルの指定方法にコツが必要。例えば、さきほどの中小企業診断士試験では、「B3」セルに入力すべき適切な計算式はどれか?という問題
※(例)令和元年度 中小企業診断士試験「経営情報システム」第4問より
全部同じに見えちゃった人は、レベル2。それぞれの意味が説明できる人は、レベル3です。「B3」セルだけ見ると結果は同じですが、コピペしたときに意味が違ってくる。縦軸・横軸のそれぞれを固定するか、変化させるかを頭の中でイメージできますか?
はて?という人は、EXCELの「絶対参照」「相対参照」でググってみてください。
レベル4)マクロを使って、ちょっとした処理を自動化できる
EXCELのマクロは、プログラミングそのもの。私は少しさわれますが、ゼロから書くのは得意ではないです。EXCELマクロはちょっとクセがあるので、得意な人にアウトラインを作ってもらって、修正しながら完成させることが多い。ヘルプがあればなんとかなるレベルです。
EXCELマクロは、自動記録でもつくれます。自動記録をオンにして、EXCELを操作すると、その間の操作内容がマクロとして記録される。後で、記録されたマクロのコードを編集して、繰り返し使えるように整えると便利です。
私は、請求書の発行をマクロを使ってやっています。処理と言っても、ファイル名を付けてPDFで保存するだけですが。w 毎月のことなので、1分かかる仕事が数秒で終わるのは気分がいいものです。
ということで、簡単なマクロがつくれる、という人がレベル4です。
レベル5)どの範囲をマクロ化するとよいか、見極めができる
レベル4の人は、どんなマクロでも時間さえかければ出来る。ただし、時間効率の面から考えると、何でもマクロ化するというわけにはいきません。手作業でやったら数分くらいで、月に1回しかやらない作業。それを何日もかけてマクロを作るのでは、効率がむしろ下がっているかもしれません。
どの範囲の処理をマクロ化するか?これは、ITシステムを導入するときにも考えるべき、重要な観点です。自動化するには初期コストがかかる。何でも自動化すればいい、というわけではありません。
自分でやるか、外注に出すか。マクロで処理するか、その他のプログラムを組み合わせて使うかなど、総合的な判断が必要。時間、期間、コスト、手法などを比較検討して、投資対効果が判断できれば、もうITリテラシーはばっちり!
なにも自分でプログラムが書けるだけがITリテラシーではありません。何をどうすれば目的を効率よく達成できるか、判断ができることが重要。プログラミングなど専門的なことは、他の人にお願いしても全然OKです。
EXCELの使い方から始まって、最後はシステム開発っぽい話になりましたが、EXCELはプログラミング的な要素が多く含まれる、とてもいいツールです。徐々に慣れてレベルアップできます。EXCELシートに並べたデータを見ながら、専門家と会話する機会があれば、レベルアップのチャンスかもしれません。データの並べ方1つで効率が大きく変わります。気になることは素直に聞いてみましょう!
この記事を書いたのは、
もうそうビズ企画 代表 川原茂樹
https://mousoubiz.com/
https://twitter.com/mousoubiz
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