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エッセイ:バンクーバーも残すところ3カ月半

ずんちゃかか、ずんちゃかちゃ、っとリズムに乗って、最近は職場へ向かっている。

人生で初めてのワイヤレスヘッドホンを手にしてから、割と一日の隙間に音楽を聴いたり。

けれど、困った。
僕は音楽から遠い所で歩みを進めている人間だったから、昔好きだった曲とか、つまり懐かしいと思える曲とか、最近の流行りの曲とか一切わからない。

一体全体何を聞けばいいのかさっぱりわからない。
でも何かしらはヘッドホンから流して、僕はご機嫌。

ずんちゃかちゃ、ずんちゃかちゃ。

人生って意外とやりたいことが多くある。

でも有限な生命体。
困った。

何かを習得したり、それをマスターしたりするのに掛けられる時間は、他のことにだって割けたはずの時間で、トレードオフって感じ。

機会損失って言うにはビジネス臭くていやだから言わない。

音楽も作りたい、ちょこっと考えた元でのかからないビジネスだって魔法の絨毯で飛ばしたい。

一眼レフのレンズを覗くと、なんだかおとぎの国みたい、ホワイトチョコレートマシュマロマウンテンって感じ。

30手前で、まぁそこそこ「やりたいこと」と向き合えるきっかけになった海外留学。

道端で笑っていていい国なんだ、ここは。
何歳だって、どこぞの画伯が描いたような絵みたいな煌びやかな夢を持っていてもいい。

僕が生まれ育った国と、ちょっと違うよね。
角度っていうのか、直径っていうのか、まぁそんな感じの懐が600ニュートンくらい違うんじゃないかな。

それなのに、目の前が急に真っ暗になって、僕は明日死んでしまうかもしれない。

相変わらずドラッグで頭のおかしな人間はいるし、住んでいる場所からそう遠くないところで、殺人事件とか起きたりもしているし。

僕の知り合いは、ずっと悲しいまま死んでしまった。

人生ってのは「自分が考えている以上に良くも悪くもない」らしい。
なんというか、事実がどこにもないんだなって思った。
より良い勘違いをしている人間が、最も幸福な位置に近いわけ。

そのことに気がついたって悲観主義は、余計に厚い毛布に包まっちまう。
僕もそう、
生まれ育った国で過ごしているときよりずっと心が晴れた。
けれど、ふと、この陽気さなんてまやかしで、僕は永遠に不幸な過去を背負った惨めなピーポーなんじゃないかって塞ぎこんでしまうときもある。

その時は救急車を呼んだってしょうがないんだけれど。


とりあず、僕のビザはあと3カ月くらいで消えてしまう。
今の所、あと数年は残る手続きをするつもりだけれど、人生って僕が考えているよりも突然に、突然なことをしてくるから、あまり信用を置けないんだな。


まぁなんにせよ、いい経験だよな、どうせ、死んじまうんだけれど。
今週はどこにも写真を撮りにいけないな、天気が良くない。


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