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3つの新聞広告にみるインタラクティブ性【離れていても心はひとつ】 #6

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【シロウトからみた広告の世界】
広告代理店に新卒入社した、社会人1年目のシロウトが
広告をみて感じたあれこれを
真面目に、楽しく、時に生意気に綴っていくシリーズ。
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離れていても心はひとつ

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この新聞広告をSNS等で見た方もいるのではないでしょうか。

これは5月6日の岐阜新聞に掲載されたもので、5月1日からおこなっていたStay Home with Newspaperという企画を締めくくるものだったといいます。

近くで見ていても水玉模様があるだけに見えますが、実は2メートル以上離れてみると
「離れていても心はひとつ」
という文字が浮かび上がって見えるのです。

結局延長されたものの、緊急事態宣言が解除されることになっていたGWの最終日に、
「解除されても距離は保とう」というメッセージを非常に効果的に伝えている広告だと思いました。
というのも、「2メートルは離れましょう」と言われたところでどのくらいが2メートルかなんてこれまでの日常では気にしてこなかったからわからないんですよね。かといってわざわざメジャーを出して確認するほど知りたいという熱量もない。でもソーシャルディスタンスを守ることが大切なのはわかってるし協力したいとは考えている。
そういった人に対して、「2メートル」という単語や「両手を広げたくらい」という文章ではなくて、感覚的に分からせる、という手法を通してアプローチした点が楽しいし素敵な広告だなと感じました。

とはいうものの、この広告の担当者さんはまさかローカル新聞の企画が全国に広まるとは考えていなかったそうです。
全国規模のバズを狙ったのかと思ったのですが、意外な広まりだったということですね。

でも逆にこの「ローカル新聞」というのが実はミソだったのではないかと。
なぜならシェアしたくなるものって、「ここでしか見られない」とか「今だけ」とか、限定的だと思うからです。

「岐阜新聞をとっている人にしか知られないなんてもったいない、この驚きをシェアしたい!」
そう感じた人がいたからこそ広まったのではないかなと想像しています。

この広告ができた経緯や、作成を担当された方のコメントはこちらの記事に載っています。

2メートル離れて読むと「粋な文字」2年目社員が発案、岐阜新聞広告
https://withnews.jp/article/f0200509002qq000000000000000W06910201qq000021088A?ref=kijiunder

ちなみに、この他の日の新聞には、外出できず退屈なGWを少しでも楽しくできるようにと、クロスワードパズル等を掲載していたそうです。

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新聞というメディアは衰退の一途を辿っており、実際私自身も購読していません。
ですが、広告マンの方からは「新聞広告はすごい」という話をよく聞きます。

そこで、私自身が「すごい」と思った新聞広告をざっくり載せていきたいと思います。


1つ目は、アウディジャパンが実施した「実物大広告」。

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車体が大きく自宅のガレージに入らない…とアウディを諦めていた方向けに、コンパクトなアウディが登場したことを知らせたこの広告。

実際にリビングに置くことでコンパクトさを実感でき、さらにQRコードを読み込むとスマホ内でARのアウディを見ることができるという仕掛けもついていたそうです。


2つ目は、阪神・淡路大震災から20年目となる2017年に神戸新聞に掲載された「並べる防災」という広告。

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印刷された防災グッズの写真の上に家にある防災グッズを並べていくことで、何が足りていて何が不足しているのか可視化することができるという作品です。

20年経つと、やはり震災の記憶はどうしても風化していってしまいます。
東日本大震災からも早10年が経ちますが、被害もあったとはいえ関東に住んでいた私は、あの時の恐ろしさや非日常さ、連日流れた悲惨なニュースの数々を少しずつ忘れてしまっていると感じます。

そこでいくら震災当時の悲惨な写真を載せて、「思い出して!忘れないで!」といっても、「辛かったなあ」で思考が止まってしまい、経験を次に生かせない。

きっとそうした議論があっての、「並べる防災」企画だったのだと考えます。

震災を経験していない世代とも、防災について話し合うきっかけともなる広告です。


以上の3作品紹介しましたが、
共通しているのが、「インタラクティブ性」だと思います。

紙面が大きく、触れることができる。
この点は新聞広告の大きな強み。

新聞広告はあまり扱っていないのですが、
例えば車内OOHで羽毛布団を使った中づり広告があったように、
紙媒体のインタラクティブ性というのは何かに応用できそうな感じがしますね。

双方向のコミュニケーションがとれる広告は、私の理想です。


締め方がよくわからないので、今回はこの辺で。笑


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