津波浸水域に仮設住宅という愚

敢えて言わせてもらおう。津波浸水域に仮設住宅を建設するという愚はなぜ起きたのか。被災住民が自分たちの住んでいた街や村を離れたくないという考えを尊重したからだ。

限界集落の問題も似たようなものだ。山間の中にポツンポツンと高齢者が住んでいる。このような人たちは災害が起こると“孤立している人”がいるとしてマスコミのネタになる。しかし、そもそもそのようなところに高齢者が住んでいることが問題なのだ。

私は対象地域に住んでいる人々を非難するつもりはない。全ては政治の責任である。移住先のスペースの確保、働き口の確保を考えた大胆な政策が必要になっているのだ。国民の安全を確保するのが行政の責任である。

地球は変化し、人間社会も変化している。温暖化が進行する中で気温の上下のブレが大きくなる傾向にある。その結果、干ばつと水害という、相反する現象が地球上で増えている。また山火事も然りである。さらに日本では大きな地震と津波が来ることが予測されている。

このような地球の変化で地球上の人間が住める場所はじわじわと減少しつつある。地震による山の崩落、津波による浸水、大雨による河川の氾濫などにより生活困難地域は増えている。

また少子高齢化が原因で地方の人口は減る一方である。人口が減る中で、働き手の若い世代は都市に集まる現象が続いている。その結果山村は高齢者ばかりが取り残されている。

このような地球と人間社会の変化を考えると“故郷を離れたく無い”という気持ちは割り切らざるを得ない時代になっている。国や地方自治体は“より安全なところに街を作る”を真剣に考え、国民はこれを受け入れなければならない。

津波が来るかもしれないとわかっている地域に仮設住宅を建設するなどは極めて愚策である。津波が来るかもしれない海岸線をの全てに高いに防波壁を築くことは不可能である。また、切り立った山肌を全て分厚いコンクリートで覆うことも不可能である。

日本は“安全なところを求めて移住することが求められる時代”になっていることを理解すべきである。