大事にしたい話

母方の祖母が亡くなった時、
祖母の家に向かう途中で
花屋へ寄って枕花を買った。
確か三千円ほど支払うと、
予想していたよりもずっと立派なものを
拵えてもらうことが出来た。
枕花を抱えてバスに乗り込み、
自分は生きていた祖母に
一度でも花を贈ったことが
あっただろうかと思い耽った。
たった数千円で
こんなに立派な花束をあげられたのに、
恥ずかしい話ただの一度も
贈り物すらろくにしなかった。
亡くなってからでは遅かったのだと
その時になって初めて痛感した。

どうでもいい事には盛んに気を使うくせに、
本当に大事にしたい人に対しては
蔑ろになってしまう傾向がある。
私が大事にしたいと思う人たちは、
大抵決まって優しいので
ついそれに甘えてしまう。
大事にしたいと思うことと
実際に大事にする事とは違う。
自分はもう一歩行動が足りないなと
感じることが多い。

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