3/12 春よ恋

もう春である。

私は春が来るたびこの美しい季節に心を震わせ、そしてとても焦る。
ああ…あと一週間もすれば道路は茶色く変色した
ぺしゃんこの花びらで埋め尽くされてしまう。
散ったが最後、次またその美しさを味わえるのは1年後だ。
だから可能な限り目に焼き付けなければ…

桜が好きだからこそ、変わり果てた姿に耐えられない。
桜が通年花であればいいのに。
でもそうだとしたらきっと私は今ほど桜を好きではなかっただろう。

薄青の空に滲むように咲く桜、
ちぎれ雲と一緒に風に揺れるその姿は
とても切ない。

1週間しか咲かない春の花

そんな花の季節がもうやってきてしまった。
よって私は今年もあせっている。

花見をしなければ…
出会と別れの季節を堪能しなければ…

悲しいことに既婚者になってから、
新しい出会いを心待ちにすることはなくなった。

男とのすったもんだが一切なくとても楽である。
しかし寂しい。

だって私が恋愛することはもうないのだ。
明日デートする男の好みの服装を必死に推測するあの時間はもうやってこない。
当たり前のことだが、地味に悲しきかな。

待ち合わせ場所につく前にiphoneのインカメで前髪を確認したり、
手をつなぐタイミングをはかったりするような純粋な恋愛。
既読がつくまでLINEのトーク画面を眺めたりするミニゲームなどもしたい。

上記のようなさわやかな恋愛がしたい。
しかし私が恋したとしてそれはもう恋なんて甘酸っぱい名称では呼ばれない。
ただの不倫である。
はあ…慰謝料や離婚のリスクを抱えるような
一寸先は地獄なり…な泥臭い恋愛は全くしたくないのだ。

私は結婚をはき違えていたと思う。
結婚には、花咲く草原で、夫婦寄り添いあいながら、助け合いながら、穏やかに生きていくようなイメージを持っていたが、もうこれほんとに全然違う。

そんなほのぼの絵日記の世界線はただの幻想であった。
草原?ちゃんちゃらおかしい。

戦地とかのほうがまだ近い。
人生には様々な外敵がおり、
共闘して倒すこともあれば、
片方不在で一人で倒さなければいけないこともある。
雨風にいら立つ日も、一人で涙する日も、
なぜ隣にいるのがこいつなんだと後悔する日だってある。

それでも一緒にいる。
本当に不思議だ。

あと私には子どもを自分が産んだ感覚が全然ない。
こどもが家の中の引き出しという引き出しをあけたり、本棚の本を一生懸命ひっくり返したりしている姿を見ると、お前は一体どこから来たのだと不思議に思ってしまう。

いや、まあね、私と夫が中田氏セックスをした産物なんですけども、それを承知の上で不思議に思う。

ほんのちょっと前までは存在すらしていなかったくせに、この世に存在し始めてからあっというまに私の優先順位の頂点にたった。

神様が私を通して彼をこの世に送ったのだろうな。
彼にとって私は外界へのドアであり育っていく家なのだ。

嬉しく思うが同時にとても怖い。

念のため言っときますけど電波は入っていない…
神様云々いってるものの私はしっかり不敬で、
友達には地獄行確定宣告をされている。

それでも彼をこの世に送り出した責任者だ。

もう恋愛できないことを嘆いている場合ではない。

はあ~ん…な~んか暇なんだよね。

いや仕事と家事育児の両立は忙しすぎて無理なんだけど、
逆に休日が暇で暇でしょうがない。

二日ある休みのうち一日は子どもを保育園に行かせている。
私は平日休みで夫は土日休み。

ずっと遊んでいた仲良しに数か月前彼氏ができたため彼女とは音信不通気味になってしまった。

しかもその彼氏がとてもやっかいで、
一緒にいるときはLINEの返事とか
しないでほしい男らしい。

はあ?なんだその男きめーなと思いつつ、
友人の幸せを願わないのは最低なことなので
悲しい気持ちに蓋をして一歩引いている。

そしてそれが正しいことなのだ。
男と女の間に第三者はけして入れない。
別れなよ!と友人に言われて本当に別れる女は存在しない。

そしてその他学生時代の友人は絶交していたり予定があわなかったりと会う機会がない。

高校の友人2名とはいまでも大の仲良しだが、
毎回予定が合うわけでもない。

暇はつぶせても寂しさはつぶせず、
私は私を持て余している。
気兼ねなく家に遊びに行き来できる男友達がほしい。
なぜ男友達かというとたまにはときめきたいからである。

ちゃお生まれりぼん育ち、携帯小説読んでたやつだいたい友達。

男友達など今更できないのでそうそうに諦め、趣味を見つけることにした。
で閃いたのがジェルネイル。
私の爪はサロンを変えても、極力水に触れないようにしていても、すぐにネイルが浮いてしまう。
そのため2週に一回サロンに行っているのだが、
正直金がもったいない。

ということで夫が結婚式のビンゴで当てたアマギフをもぎ取りジェルネイルキットを購入した。

早速オフから行くぞ~!とマシンでやすり掛けする。
が、どこまでがジェルでどこからが爪かわからず
ペラペラになるまで爪を削ってしまい、伸ばしていた爪が割れた。

そして諦めた、1本で。
賢明な判断だったと思う。

サロンの予約を翌日でとり、とりあえずの処置としてペラペラになった爪にダイソーで買ったジェルを塗った。
そしてその仕上がりもひどかった。

利き手の右手で道具をもってこの仕上がりということは、左手に持ち替えた際にどんな悲劇が起きるかはわかりきっている。
餅は餅屋、ケーキは作るより買うが早く、そしてうまい。
プロに頼むのが結局のところ一番安上がりなのだ。

もちろん練習次第でプロ顔負けを目指すことも可能だろう。

しかし上達する前に爪がなくなってしまう。
ケーキならいくらでも作り直せるが爪は違うのだ。

諦めはやいよね…でも爪は.爪に関してはどうかゆるして…
爪がボロボロなんて絶対に耐えられない…

でもせっかくのライトとオフマシンが無駄になるのは心が痛むので今後のフットネイルは自分でやるつもりだ。
足ならできる!気がする。

ということで私はまた一から趣味探しをしなければならない。

春だから新しいことをしたい、夏はときめきたい、秋は楽しいことをしたい、
そうこう思い巡らせているうちに冬が来る。
今年も何も成し遂げていないと嘆きながら鍋を食うのだ。

やだ!なんか想像つく。
26回目の冬が来る前に、
今年こそは、「初体験」をするぞ!
と意気込んでおります私は。

みんなは今年なにするの?

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