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読書の記録(27)『「ハコヅメ」仕事論 女性警察官が週刊連載マンガ家になって成功した理由』 泰三子 山中浩之 日経BP

手にしたきっかけ

「ハコヅメ」はマンガもドラマも楽しみました。
女性警察官がどんないきさつで漫画家になったのか、全く違う仕事にどうやって変わっていったのか、そのあたりを知りたいなあ、という軽い気持ちで読み始めました。

心に残ったところ

漫画家ってこうやって誕生するのか!と驚きました。才能があるってこういうことね、と納得です。
交番勤めをされながらマンガを描いていて、それを持ち込んでマンガになったのかと思っていたら(めっちゃ単純な想像)、全然違いました。
本物の才能は隠せないし、必ず誰かの目に止まるんだと思いました。

この本は、お仕事本でもあり、部下を持つ人のためのバイブルでもあり、自分の強みを最大限に活かして生きる方法論でもあり、女性がどうやって少人数の側から職場を変えてきたかの歴史でもあり、いろいろなところが心に残りました。

教員をしていたころ(教員を目指していたころ)、たくさんの尊敬する先生に出会いました。
採用試験を受け続けていたときに、「お前は、講師をするのではなくて、採用試験の勉強に集中して、早く合格した方がいい。」と言って下さった大学の先生。
休みの日に南伊豆の海へ、釣り&潜りに連れて行ってくれた先生。
家庭訪問や懇談の時に、同席させて下さった先生。
こういう研究会に参加した方がいいと、長野県伊那市まで連れて行って下さった教頭先生。
「誰でも行けるわけではないし、またとないチャンスなんだから行ってきなさい」と教育大学の附属の中学校に行く話があったときに、私の背中を押して下さった先生。
2回の産休・育休を取り、学校に貢献できていないという気持ちで書いた自己申告書を見て、「もっと自分がしてきたことに自信を持って、アピールした方がいい」「謙遜を美徳とする風習もあるけれど、自分で自分を過小評価しているとあなたの実績が伝わらない」と言って下さった副校長先生。
百人一首大会、書き初め大会、エッセーへの投稿、短歌を盛り込んだ答辞、私がやりたいと思ったことをやりたいようにやらせてくださった学年主任の先生。

当時は上司の思いなんてわからず、無我夢中で仕事をしていました。自分がその当時の上司の年齢に近くなって、若い人と仕事をすることも多くなりました。こういう思いで当時の上司は私のことを見てくれていたんだなとしみじみ思います。私よりも私の適性を理解していて、こういう経験を積ませたほうがいい、と仕事を振ってくれていたんだなということがわかってきました。

また、何人かの学年主任の先生のことも思い出しました。学年の先生それぞれの得意を生かせるよう、チームを采配されていたんだなあと思います。先生たちとの何気ない会話や、生徒の成長を語る日々は本当に楽しかったです。今でも親交があるのは、苦楽をともにした先生たちです。めまぐるしくて忙しい日々だったけれど、楽しかった場面を今でもありありと思い出せます。

大変だと言われる仕事も、そこで働く人たちのチームが快適であれば、そんなに大変だとは感じないのではないでしょうか。ブラックだとかやりがい搾取だとか言われるのは、チームの楽しさを味わえていないからなのかも。もしかしたら、この発想が昭和的だと言われるのかもしれませんが。

まとめ

どの業界からも学ぶことがたくさんあります。自分とは別世界と思っていても、自分の生活に置き換えて、考えされられることがたくさんありました。『ハコヅメ』をもう一度じっくり読み返したいと思いました。


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