見出し画像

花束、もらったことありますか

私は今年成人式を終えたのだが、その時にふと思った。
花束を持っている人間が多いことに。

いや、実際には多くはなかったのかもしれない。
15歳の時に関わっていた人間が
結果的に花束をもらえるような環境の人間ばっかりだったのかもしれない。
何も持っていない私がそのコミュニティの中で異様に目立ってないことを祈った。

集合写真を撮るとき、人と話をするとき、
両手の塞がっていない私が少し異質に感じた。

なぜ、恋人のいる人間は遠くから駆け付けた相手から花束をもらうのか。
あの子は親から花束をもらっているのか。
またそれを見せつけるかのようにSNSに投稿するのか。

そうやって嫉妬で僻みまくった考えを巡らせながら帰路についていたあの日
私は人生で一度も他人から花束をもらったことがないことを思い出した。
自分から自分へと花を贈ったことも、もちろんない。

今思えばそうだろう。
高校時代は部活に所属することもなく、ただただバイトをし、
慕ってくれる後輩もいるはずがなかった。
高校卒業時も年上の彼氏なんていなかったし、花束を持って誰かが学校に押し寄せてくることもなかった。

人生で初めて花束をもらう瞬間はどんなものだろうか。
相手は誰なのか、
ここまで敏感に思う人はいないだろう。

私にとっては、誰かから花束をもらうことが、
人生の大きな分岐点なのかもしれない。

そしてその瞬間が訪れるまではずっと、冷めた、僻んだ考えを、嫉妬を心に忍ばせているのかもしれない。

そんな私にはきっと、自分で自分に花束を贈るくらいのことをしたほうがいいのかもしれない。
ちょっとは自分をいたわってもいいのかもしれない。

バレンタインにこの話を書けばよかったな。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?