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~スタッフブログ#10~アメリカ生活の中で見えてきた食品ロスの現状と取り組みについて

プノボロメンバーの、のえです!
私は高校2年生で、現在日本で高校生活を送っています。
日本に生まれましたが、小学校1年生から5年生までの間をアメリカのテキサス州で過ごしました。
どちらの文化にも触れてきた立場から、アメリカの食品ロスに関する現状や取り組みを、体験談を踏まえて紹介していきたいと思います!

アメリカの”給食”


現地のごく普通の公立小学校に通っていく中で、日本の小学校と全く違う食へのアプローチを経験しました。

日本の公立小学校では、栄養バランスが整った給食を残さず食べるのが当たり前です。献立を見て「今日はカレーだ!」とテンションが上がったり、七夕には七夕ゼリーが出たりなど、学校に行く毎日のモチベーションになります。
六年生の時に私自身体験し、給食の美味しさに感動しました。
また、食べる時間も1時間ほどあるのでほぼ完食できます。


美味しそうです。毎日メニューが違うのも、ご飯がほかほかで暖かいのも感動しました。
(出典:給食 (兵庫県立阪神特別支援学校ホームページ) https://dmzcms.hyogo-c.ed.jp/hanshin-sn/NC3/

しかし、アメリカの公立小学校には給食という文化はなく、基本的に家からお弁当を持参するか、校内にあるカフェレストランで買うかの二択です。

私の学校はフルーツとクッキーは追加料金があったので、基本的にこんなに豪華なランチを食べている人はあまりいませんでしたが、このようなイメージです。(出典:Who decides what goes into school lunches? (howstuffworks) https://recipes.howstuffworks.com/menus/who-decides-lunch-plans.htm
 
レストランのメニューは3パターンほどあり、パティとチーズのみ入ったハンバーガー、ビーンズライス、ポテト、ハッシュブラウン、そしてプレーンかチョコレートの牛乳がありました。追加料金を払えばリンゴ、クッキー、ポテトチップス、にんじんやセロリなどの生野菜、ヨーグルトなどが追加できました。
どちらかといえば治安のいい学校でしたが、食事中に食べ物が飛んできたり、ケチャップの雪崩で床がベトベトになるのは日常茶飯事です。
20分しか時間がなく、時間が過ぎるとクラスごとにカフェテリアを退出しなければなりません。
残った食べ物はゴミステーションにあるような大きいゴミ箱に生徒自身が捨てます。
普通のゴミから手のつけられていないハンバーガー、さらには牛乳の中身が捨てられていたり…。
日本の給食に現れる「もったいない」の精神は、アメリカの現地校では全く見られませんでした。

アメリカの貧困問題と食品ロス問題


USDA(アメリカ合衆国農務省)によると、アメリカでは5億トン以上の食品が毎年廃棄されています。(出典:Food Availability (Per Capita) Data System (USDA) https://www.ers.usda.gov/data-products/food-availability-per-capita-data-system/
このような現状から、USDAとEPA(アメリカ合衆国環境保護庁)は2030年までにフードロスを50%削減するという目標を立てました。(出典:Food Waste FAQs (USDA) https://www.usda.gov/foodwaste/faqs
これを達成するために、USDAは「U.S. Food Loss and Waste 2030 Champions」というプログラムを2016年から始めました。


2022年9月時点、U.S. Food Loss and Waste 2030 Championsに参加している企業。大手企業も多く入っています。(出典:2030 Champions 2022 (USDA) https://www.usda.gov/sites/default/files/documents/2030-Champions-2022.pdf

共に目標達成に向けてフードロス問題に取り組む企業と提携しており、日本でも人気のあるスターバックス、ディズニー、アマゾンなどの大企業、私がアメリカに住んでいた時に愛用していたクローガー、ウォルマート、スプラウツなどの大手スーパーマーケットもこのプログラムに参加しています。(出典:The National Goal For Reducing Food Loss and Waste (USDA) https://www.usda.gov/foodlossandwaste/champions

その中でも皆さんお馴染み、スターバックスの取り組みについて紹介させていただきます。

スターバックスの取り組み事例


スタバといえば、日本でも独自のフードロス対策が行われています。2021年の8月に始まり、「SAVE FOOD」をモットーにショーケースの食品を閉店3時間前をめどに20%オフにするというプログラムです。(出典:プレリリース(2021/8/19) (スターバックスジャパン)

アメリカでは貧困問題と食品ロス問題のどちらも解決することを目標に、1日の終わりに従業員が余った商品を回収し、フードパントリーやフードバンクに届けるという活動をしています。
私が住んでいた地域は比較的治安のいい場所でしたが、車で信号待ちをしていると、窓をコンコンとノックし『お金をください』と書かれた看板を持つ路上生活者や子供が多くいました。
実際に、世界銀行によるとアメリカの貧困率は11.6%と、世界の貧困率である8.4%を上回っています。(出典:Poverty (The World Bank)


余っている食べ物があるなら足りない人に届ければいい、という最善の解決策を実施することで、スターバックスは二つの問題に同時に取り込んでいます。(出典:Hunger Relief (Starbucks)



フードロス削減のために、アメリカに行ったらできること


このブログを読んで下さっている方の中には、アメリカに留学したい!将来住んでみたい!など、少しでも興味を持っている人がいると思います。
なので、最後に簡単に参加できるフードロス問題に取り組む団体や活動を、自分の体験談も踏まえて紹介したいと思います!

まず、UCDAとは別に、似たような活動を行なっているNPO法人の「Feeding America」という団体があります。
名前からも推測できるように、貧困に苦しむ人々に食品を与えることを目的としています。
団体に所属する人だけでなく、一般の人でも食品を寄付できるような場を与えています。
例えば、全米のフードバンクの情報が載っていたり、個人でのフードドライブ(食品を集めて寄付する動き)の始め方だったり、アドバイスなども掲載されています。(出典:Feeding America https://www.feedingamerica.org/

実際に私も4、5年生の時に学校のチャリティー団体に所属していて、校内のフードドライブを同学年の人たちと運営したことがあります。
私の学校には何千人もの生徒がいたので、トラック2台分も食品が集まった時は嬉しかったです!
学校も協力してくれて、新品のポテトチップスを5箱も寄付してくれた先生もいました。

また、アメリカで社会問題に取り組む最大規模の学生運動としてガールスカウト・ボーイスカウトがあります。私は2年生から5年生まで地域のガールスカウトに所属していました。週に一度メンバーで集まって社会問題に関する話し合いや学びをします。



左がボーイスカウト、右がガールスカウトのロゴです。クラスに一人はいるぐらい人気の団体です。(出典:Boy Scout Sunday and Girl Scout Sunday, 2021 (Green Hill Presbyterian Church) https://greenhillpc.com/2021/02/04/boy-scout-sunday-girl-scout-sunday-2021/

ガールスカウトの活動として何度かフードバンクにボランティアで行ったことがあります。大手スーパーマーケットで売れ残った食品を袋につめ、実際に食品を求めている人に渡す経験をさせてもらいました。その時は400人ほど人が来て、メンバー8人で運営していたら果てしなく疲れました…。
しかし、この体験を通じてどれほどの人がいらない食品を持て余していて、どれほどの人がそれを求めているのかに気付かされました。

このように、フードロス問題が深刻なアメリカでは大手企業と手を組んだり、学生や個人の力を借りるなどして解決へと向かっています。
給食から見えるように、日本は「もったいない」精神を小学校に通うことで身につけることができるようになっているので、フードロス問題を意識しなくても食べ残しは良くないと思う人が多くいます。
しかし、アメリカでは紹介したような活動に自主的に参加しないと、食品を無駄にしてはいけないということを、身をもって体験できる機会はなかなかありません。
アメリカに足を運んだ時は、ぜひ様々な活動に参加してみてください!

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