コーヒー値上がりに関して(2021.08.19
以前の記事でコーヒーの価格が急騰しているお話をさせていただきましたが、今回は今どれぐらいあがっているのか、価格の上がる要因は何か、今後下がるのかについてのお話させていただきます。前回及び前々回では相場の推移や変動要因に関して書いてますので、良ければこちらもあわせてご覧ください。
現在の相場状況について
上図は直近のコーヒー相場を表すチャートです。ブラジルに霜害情報が出た7月20日以降相場価格は急騰し、7月26日には200¢/lbを超え急落したものの、来期ブラジルの減産懸念からジワジワとコーヒー相場価格は上昇しており、現在182¢/lbという高水準にて相場は日々変動しております。本相場高騰の主な要因が「ブラジルの霜害による減産」ですので、これが改善するのはブラジルで霜害があったエリアでの生産量回復が見込まれる2,3年後になるのではというのが現況ですので、相場はまだまだ上がるのではと考えております。すでにUCC様やAGF様といった大手コーヒー製造メーカー様が値上げを発表されておりますが、他メーカー様も続々と値上げを行うでしょうし、さらなる値上げも十分に考えられます。
円安ドル高による輸入価格上昇
コーヒー原料価格が跳ね上がっているもう一つの要因として、為替レートが円安傾向にあることが挙げられます。2021年1月から円安傾向が進み、現在は108円/ドルー110円/ドルといったこの状況がさらに値上がりに拍車をかけています。
コーヒー需要の増加
「じゃあブラジルの生産量が回復、円高傾向になればコーヒー原料価格はもとどおりになるのね!」と言われますが、そうはならない要因として世界的にコーヒーの需要が伸びていることが挙げられます。以下はUSDA「Coffee World Markets and Trade」から抜粋した近年の世界各国のコーヒー消費量の推移です。ここ5年間での消費量の増加率はすさまじく、アジアやコーヒー生産国での消費量の増加から消費量が年々増加しております。このまま増加すると、いずれは需要に生産量が追い付かなくなることも懸念されます。
中国ではもともとインスタントコーヒーをはじめとした簡易に飲用ができるコーヒーが多かったのですが、スターバックス等の大手カフェチェーンが同国に参入して以来、若者を中心にカフェ文化が発展し、美味しいコーヒーを飲みたいという消費者が増えているそうです。2018年に中国に行った際は3階建ての建物にすべて大手コーヒーチェーンが入っていたのを見て驚いたのを覚えています。
またこれまで自国で生産したコーヒーを輸出していたコーヒー生産国が「あれ?自国でコーヒー消費したほうが実は儲かるんじゃ・・・」という発想に至り、自国のカフェでコーヒーを消費するようになってきており、消費量が増加しています。これまで生産国は海外に輸出するコーヒーを製造する際に発生した規格外のコーヒーを国内消費している国が多かったのですが、最近では「コーヒーってほんとはこんなに美味しかったのかい!」と、従来は輸出していたコーヒーを自国で消費するカフェ等が増えているようです。2017年にブラジルに行った際、サンパウロにはシャレオツなカフェが沢山できており、現地のコーディネイターも「最近急速に増えたよ!」とカフェブームがうかがえました。
このような状況からコーヒー価格は今後なかなか下がらないと思います。メーカーが値上げをした際はインパクトがあって非常に記憶に残っているのですが、「相場が下がったので、値下げしますよ!」という情報ってあんまりみないと思います。相場価格が下がっていても世界的な需要が高まっているためコーヒーの取引価格は年々上昇しているのです。値下げしたくてもできないのです泣 決して「値上げ価格据え置きにしてそのまま儲けよう!」と考えているワケではないのです。
ましてや日本はコーヒーの品質にはうるさいので、「このコーヒーは日本向けにはNGになるけど、許容してくれる中国のメーカーにコーヒー販売しちゃお!」という商社や生産者がいて当然のことですので、ここでのコーヒー争奪戦では日本はかなり不利な状況に今後なるのではと懸念しています。
まとめ
以上がコーヒーの値上がりの理由と、今後も下がらないかもという理由でした。弊社でもすでに値上げの案内を開始しており、WEBでも10月より販売価格を上げざるを得ない状況ですので、何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます・・・。