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インストラクター1級の有用性

回答は筆記型式で、実技も難しい1級試験。合格率約30%の本試験とそのメリットについて書きます。2級とは比較にならないP数の試験範囲、内容を理解していないと正解のしようが無い記述式、2級のような50%の確率であたる実技とは違う選択肢の多い試飲テスト、外観判別・・・。これがコーヒーインストラクター1級資格者に求められる内容です。

高校3年生で2級の資格は取りましたが、大学4回生でコーヒー生豆商社への就職が決まっていた僕の取り柄は、「スノーボードのインストラクターの資格」と、「車の免許(AT限定)」、「ダイビングの免許(120回潜水)」と社会に出たら弱すぎるものしかなかったので、入社時には「インストラクター1級の資格持ってます!(ドヤ)」と言うために受験を決めたのでした。結果筆記試験に合格したものの、実技試験には不合格となりましたが、翌年社会人1年目で実務を経て合格に至りました。

検定の概要と合格率

本資格は全日本コーヒー商工組合連合会が2003年に「正しい知識の普及と技術の向上」「生産と消費の促進・振興」を目的に立ち上げたもので、2021年2月時点で15,485名の合格者がいるようです。なお、1級資格は1,285名、さらにその上位にあたる鑑定士資格は3つの部門からなり、私の所有する商品設計マスターは85名、生豆鑑定マスターは108名、品質管理マスターは50名、3資格を所有しているのは40名となっております。2級試験では基礎的なコーヒーの知識についての筆記試験・実技試験が行われます

インストラクター2級試験の直近合格率・・・93%

インストラクター1級試験の直近合格率・・・31%

鑑定士資格の直近合格率・・・・・・・・・・4.3%

となっており、1級や鑑定士の試験での難易度のほどがうかがえるかと思います。2級の内容はこちらの記事をご覧いただければと存じます。

1級試験の内容・・・筆記

1級試験には1級はもちろんのこと、2級の範囲も対象となります。(そもそも2級の内容が理解できていないと1級の内容は理解できないのですが)試験内容はコーヒーの伝播(年数・どこで)品種改良(発見場所・かけあわせ・特性)、栽培(土壌・気温等の生育条件、病害虫対策)収穫(収穫方法によるメリット・デメリット)精選方法の内容るメリット・デメリット、選別機器の目的と特徴、保管・輸送・流通といった日本に輸入されるまでの流れ、生豆価格形成の骨格、コーヒーの主要成分焙煎の機構(伝熱の種類と特徴)粉砕機別の構造と特徴包装機の構造とガスへの対策、包材の特徴などが出題されます。範囲が非常に広く、出題される内容も細かい内容がでるので、テキスト丸暗記していないと合格は難しく、「普段コーヒー関係の仕事してるから楽勝でしょ!!」のノリでは99%合格できません。より専門的な用語や知識が必要になります。

1級試験の内容・・・実技(外観判別)


1級試験の実技試験は2級の時のようにアラビカ種とカネフォラ種を比較試飲して判別するような簡単なものではなく、試飲・外観判別による問題が出題され、事前のトレーニング無しではまず不合格になります。事実私はこの練習が不足しており、ブラジルとコロンビアの差も分からない状態で挑み、みごとに不合格でした。

外観判別問題では50gほどのコーヒー豆がテーブルに置かれて、コーヒー豆をより分けて、配合率を当てなさいという問題がでます。

①「コロンビアスプレモ:ブラジルNo.2 =5:5」

②「コロンビアスプレモ:ブラジルNo.2 =3:7」

③「コロンビアスプレモ:ブラジルNo.2 =7:3」

④「グアテマラSHB:ブラジルNo.2   =5:5」

⑤「グアテマラSHB:ブラジルNo.2   =7:3」

①~⑤という選択肢があり、どれかを選ぶ問題です。これは難しくなく水洗式精選を行うコロンビアにはセンターカットが白いのですが、非水洗式処理のブラジルはセンターカットに糖分が残っているため黒くなりやすい傾向があります。非水洗式と水洗式処理の配合率がわかれば、次は水洗式処理のコーヒーがコロンビアなのかグアテマラなのかという問題ですが、これはサイズで規格を行うコロンビア(スプレモとはスクリーンサイズ18以上が90%)と栽培された標高で規格を行うグアテマラという規格差がありますので、サイズが均一であれば「コロンビア」、まとまりが無ければ「グアテマラ」と判断できます。

1級試験の内容・・・実技(試飲判別)

実技は2種類でました。ひとつは同じ生産国のコーヒーA・Bの2種類を飲み、どちらかが何らかの問題があるコーヒーであることを判別し、その問題はこのうちどれかという問題です。

①リオ臭の発生(独特の薬品臭が発生している)

②劣化による風味(キレのないぼやけた味わい、香りはがない)

③発酵豆の混入による風味(強烈な酸味や異臭の発生)

もう1種類は

ブラジルNo,2、コロンビアスプレモ、グアテマラSHB、エチオピアシダモ、インドネシアAP-1(非水洗式カネフォラ)、インドネシアWIB-1(水洗式カネフォラ)、を粉の外観および香り、お湯を注いだときの香り立ち、飲んだ時の印象で判別するという問題です。粉状態の香りでアラビカ種、カネフォラ種を判別し、アラビカ種の中から香りに特徴のあるエチオピアを判別することができれば試飲せずとも序盤での判断が可能です。さらには非水洗式コーヒーはセンターカットが黒くなることから、黒色の粉が混ざっていることが分かれば水洗式、非水洗式を見分けることができるので、この時点で、コロンビアスプレモとグアテマラSHB以外を判別することが一応可能です。あとはコロンビアとグアテマラですが、コロンビアには甘みをともなった香りがあり(私は井村のあんまんのような香りに感じます)、酸味とコクのバランスがとれています。グアテマラSHBはキレと後口の透明感で判断します。このような手順で進めていけば、全種類判別することができます。香り、外観、風味の各要素でなにを判断するかを前もって決めていれば点数の取れる問題ではないかと思います。

終わりに

1級の試験問題内容は上述の通りで、2級とは段違いのレベルです。ただこれを勉強することによって、生豆仕入・販売担当、焙煎豆加工・販売担当者はより専門的な知識を得るとともに、「1級資格保持者」というお客様からの1種の安心感を得ることができるが最大のメリットではないかと考えています。ちなみにいきなり1級を受けることはできず、2級合格後にはじめて受験資格をえることができます。2級資格者の方や、コーヒーをもっと勉強したいというかたにお勧めできる資格ですので、ご興味ある方は是非!

わたしは本検定のマワシモノではありません!ただ、本資格の取得がコーヒー業界においては分かりやすく当人の知識レベルを表すものであり、社会人1年目の私はお客様にも「この子はコーヒーの事知ってるな」という目で見てもらえたので、本当に役にたちます。

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