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あい子と美千子

皆さま、お疲れ様です。
本さつまや7代目料理長の岸本竜彦です。
本日も宜しくお願いいたします。

モトサツブログ、本日は私の家族について書いてみようと思います。

高校以降の私を知る人は、お母さんが2人いるよねって聞いてきます。
言われて初めて気付きましたが、確かに2人いるかもです。


母と叔母


母親のあい子から生きていく精神を学びました。

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母のあい子は、3歩以上駆け足でさつまやを縦横無尽に駆け回り2人の姉と私の子育て、公務員の父の妻、さつまやの切り盛りと、止まっているところを見たことがありませんでした。
母と一緒に居たのは、私が風邪をひいた時の数分と、私の眼科でバスに乗って熊本市内まで往復する時だけでした。

小さい頃、あい子が枕元で教えてくれたことは、「勝っても偶然だと思え、負けたら実力だと思え」です。


叔母の美千子からは世の中での立ち居振る舞いを学びました。

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叔母の美千子は、未婚でさつまやの表舞台と裏方を守っていたので、跡取り息子の私を大変可愛がっていたと思います。
美千子の方が母のあい子より時間や責任にも余裕があったので、彼女の友達や仲間と海外旅行に行ったり、熊本のホテルなどで有名シェフの料理会などがあると出向いて大量のメモを持ち帰っていました。
私が物心付くか付かないかで美千子に連れられ、最高級のレストランに一緒に行っていた記憶もあります。
(以前noteに書いた幼少期の好きな料理店は、全て美千子に連れて行ってもらって楽しみ方を教えてもらったお店です。)

当店、本さつまやは4代遡っても旦那は公務員。お嫁に来た奥さんがお店を切り盛りするカタチです。
浮き沈みが激しい飲食の世界で、旦那の安定収入を担保にお客様への目一杯の付加価値を保証しながら運営していたと思います。
私の味覚の根本は、幼少期に二人が料理した野生の百合根、ムカゴ、自然薯、エノハ、鮎、山鳩、木苺、野苺です。

何事も前向きに思考できるのはあい子のおかげですし、大学生の就職活動中に銀座の寿司幸とフレンチの西洋銀座で独りで難なく食事できたのは美千子のおかげです。

小さい町で伝統を受け継ぎ守るのは大変で、二人とも大きな病気を患いました。

私も昨年末大きな失敗をしてしまいました。

加えて世界的な悲しみの波が押し寄せていますが、二人から受け継いだもの、その先代から続いているものを大事にしながら、輝き続けられる方法を模索しています。
ここ最近は大きな建物に振り回されていたと反省しています。

もし今リスタート地点に立たせてもらっているとするならば、目の前の答えはその都度お客様が教えてくれると思っています。
神様がくれた時間の余裕を、二人から受け継いだ人間力を活用してお客様との時間に使おうと思っています。

※今日のメイン画像はあい子直伝のコロッケです。今度レシピも書いてみようと思います。

本日もお読みいただきありがとうございました。

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