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36年の時を超えて

https://youtu.be/VpmojZ_IcoQ
Top Gun Anthem

映画『トップガン マーヴェリック』を観た。
ゴーン、ゴーン。。。♩♩♩♬と続くトップガンのテーマを聞くと、自然と夕陽をバックに戦闘機のパイロットに向けてハンドサインを送るデッキクルーの映像がヴィヴィッドに頭の中に浮かび上がってくる。
音楽の一節が流れるだけで一瞬で映像が蘇るような映画って他にあるだろうか。

今回、『トップガン』の続編としてつくられた『トップガン マーヴェリック』もオープニング曲は前作同様トップガン・アンセム。そしておなじみのデッキクルーの姿。そのオープニングの曲とシーンだけで一瞬のうちに36年の時空を超えて、1980年代の日本が右肩のキラキラした時代を、そして若かったせいもあるのだろうが、将来への夢や希望がたくさんあった自分の姿がフラッシュバックして泣けてきた。

前作がつくられたのは20世紀である。その頃私たちは近い将来となる21世紀には科学技術が進化し、人々は便利で豊かな生活を送るものだとあたり前のように信じていた。21世紀がどんな時代になるのかが楽しみで仕方なかったように思う。今日より明日は必ず良くなるものだと思っていた。
それがどうだろう。36年という年月が経ち、私たちは知らず知らずのうちに失われた30年と言われる時を過ごしてきて、いま日本が衰退途上にあることを痛感しているのである。
私自身はそんな想いをオープニングで感じ、切なくて泣けてきたのだ。

作品自体は、まさに映画館で観るべき映画となっており、数々の美しく奥行のある映像やダイナミックな戦闘シーン、空母などの映像が映し出されると、これが「ザ・ハリウッド」映画なのだと実感する。最近、戦闘にも無人ドローンが使われるようになり、パイロット不要論がでてきているのか、映画の中で「パイロットはいずれ絶滅する」と言われ、「そうかもしれないが、それは今日じゃない」と答えるマーヴェリック。これはトム・クルーズの映画への想いと重なるのかもしれない。映画も自宅で配信で観る時代になり、映画館に足を運ぶ人が減っている。「映画館も絶滅するのだろうか」「いずれそうなるかもしれないが、それは今じゃない」ことを見事にこの映画は証明している。

前作から36年経ち、もうすぐ還暦になろうというトム・クルーズがこの素晴らしいハリウッド映画を製作し、主演し、超一流の映画スターとはこういうものだというのを見せつける。常に第一線にいながらも成長し続けているトム・クルーズとそういうトムを育んできたアメリカの文化、そこで日本の失われた30年を思い、なんとなく切ない気持ちになり、また泣けてくるのであった。

初回みたときには、自分が封印していたであろう楽しかった、キラキラした時代の思い出が少し心の奥底から顔をのぞかせて、切ない気持ちになった。大人になるにつれて辛いことが多くなると、そういう楽しかった思い出にも知らない間に封印がされていたようだ。

今日は実は2回目の鑑賞であった。この作品は映画館の大きなスクリーンで観てこそ、その価値が味わえる。しかも、通常版、IMAX,4DX, ScreenXとスクリーンが複数あり、それぞれ特色があるために楽しめるのである。4DXは吹き替えであるために、洋画は字幕派の私は選択肢からは除外している。今日はScreenXで観てきたのだが、ScreenXは正面+左右の壁面を使用した3面のスクリーンである。3面あるために、奥行きが広がり、自分が映画の中にいるような一体感が味わえる。3面使うのは戦闘シーンや離着陸のシーンが中心だが、臨場感あふれており、新しい映画の楽しみ方としてはかなり良いのではないだろうか。今日はノスタルジックな気持ちになることもなく、純粋に映画を楽しむことができた。次回はIMAXで観るつもりである。

36年の時を経たからこそよくわかるトム・クルーズのスターとしての魅力。もうすぐ還暦にもかかわらず、スタントも使わずに演じ切る。インタビューでも常に目の前のことに一生懸命取り組み努力していると話していた。彼我、今と昔を比べても仕方がない。トムを見習って少しでも前に進むよう努力するしかないのだろう。"Don't think! Just do it!" (考えるな、実行しろ!)である。2回目の今日は映画を観たことで前向きになれたようだ。
トム、ありがとう。

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