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スポーツ観戦で「投げ銭」はうまくいくのか

おはようございます(こんにちは)。
本木です。今日もよろしくおねがいします!

今朝は昨日のnoteの続きで「関係人口」について書こうかと思っていたのですが、スポーツイベントプロデューサーの佐藤さんの下記のnoteが皆さんの共感を得ていたようなので、便乗して僕の「スポーツ✕投げ銭」に関して思っている事を書きます。

まだ、上記のnoteを読んでない方は読んでほしいのですが、要約すると、

感染症の影響で「相撲」や「プロ野球(オープン戦)」が「無観客試合」になった今こそ「投げ銭(ギフティング)」を導入してほしい!
新興スポーツが「投げ銭」を導入してもインパクトがない。
伝統的なスポーツの「相撲」や「プロ野球」が導入しないと社会の空気は変わらない。

他にも、「投げ銭」を導入する上での課題等書かれているのですが、この「無観客」というピンチをチャンスに変えて、「投げ銭」という新しいマネタイズ手法の「キャズムを超えようぜ」というお話です。

これに関して、僕は全面的に同意です。
本当に、「無観客」の今こそやるべきだと思います(急にはできないので難しいですが…)。

でも、一方で「スポーツ✕投げ銭」の課題感ももちろんあって、単純に「投げ銭」の機能を実装すればチャリンチャリンなんて事はないと思っています。

ということで、どこらへんを課題に感じているのか書いていきたいのですが、まずはそもそも「投げ銭(ギフティング)」って何?ってとこから。

投げ銭(ギフティング)とは

既存のギフティングサービスだと「SHOWROOM」や「17 Live」、YouTubeの「スーパーチャット(スパチャ)」、ゲーム実況だと「Twitch」などが有名だと思います。
生配信中に視聴者が配信者に対してギフト(ポイント)を送ることができるサービスですね。
配信者にはもらったギフト(ポイント)からサービスの手数料を引かれた分の金額が支払われる(アプリ経由だとApple手数料も引かれる)という仕組みです。

上記のサービスが有名なのもあって、一般的に「投げ銭」と聞くと、リアルタイム(生配信)に行う行為のように思われますが、それだけではありません。

いつでもどんなタイミングでも対象の人や団体にギフトを送れるというものも多くあります。いわゆる「寄付」のようなものですね。

こちらはクラウンドファンディングとも混同されやすいですが、「プロジェクトベース」か「個人(チーム)ベース」か。リターンがあるかないかなどの違いがあるかと思います。

スポーツ✕投げ銭の課題

ようやく本題なのですが、僕が感じている「スポーツ✕投げ銭」の課題は下記2つです。

・投げ銭の行き先が不透明
・成功事例とは消費者心理が異なる

上の課題は大した事はないのですが、2つ目のやつはちょっと厄介です。

投げ銭の行き先が不透明

この問題はさらに2つに分かれていて、
・「投げ銭」の対象を選択できない
・選択できてもちゃんと選手に届くのか不透明
というものです。

たとえば、YouTubeの「スーパーチャット」とかだと、基本は配信者に対して「投げ銭」をする仕組みなので、「誰に」という選択ができません。

スポーツ観戦だと、その「誰に」という選択ができないと意味ないですよね。
例えば、毎週YouTubeで配信している『HADO』の大会に「スーパーチャット」を導入したとして、いくら選手が最高のプレイをしても「投げ銭」を受け取るのは僕ら「運営」です。

それでは、「投げ銭」してくれるわけありません。
なので、ちゃんと出場チームや出場選手を選択して「投げ銭」できるようにしないといけないのですが、これをスムーズに行うシステム構築は結構大変だろうなぁと思います。

さらに、それができたとしても「投げ銭」したお金がちゃんと選手個人に届かなくてはいけません
そのあたりが不透明だと、人に対して行われる「投げ銭」は機能しません。

映像配信業者(OTT)、協会、チーム、選手、色々な関係者の調整が必要そうなので、これも一筋縄じゃいかないだろうなぁと思います。

でも、これらの問題は「やればできる」部分なので、クリアできる課題だと思います。

成功事例とは消費者心理が異なる

これから書く部分は、「SHOWROOM」とか「Twitch」とかで「投げ銭」が成功しているからそのまま「スポーツ」でも転用できるんじゃない?という考えに対しての課題(というか違和感)です。
(※あくまでも本木個人の感想です!)

それは、既存の成功事例である「配信主への投げ銭」と「スポーツの投げ銭」では、消費者心理が違うという事です。

例えば(あくまで一例!)「SHOWROOM」の場合は、アイドルを目指している女の子に対して「投げ銭」をする時に下記のような心理が働きます。

・この子のランキングを上げたい(俺が育てた感)
・この子に認知されたい

こう書くと、若干下世話な感じがしますが、視聴者をこういう感情にさせるという事は、本当にすごい事だし大変な事です。
配信者は毎日配信するのは当たり前、視聴者ともコミュニケーションをとって、自分という人間を好きになってもらい、「信用」を得なければなりません。
「信用」しているから、その人の成し遂げたい夢に「共感」し、その人の夢を叶えるために「応援(投げ銭)」が発生するのです。

そして、「応援(投げ銭)」の結果、配信者からの「感謝」「認知」といった心理的な見返りをちゃんと得ることができます。

「共感(夢)」→「応援(投げ銭)」→「見返り(感謝)」の流れが重要です。

では、「スポーツ観戦」のリアルタイムでの「投げ銭」の消費者心理ってなにかというと、

・スーパープレイをした選手への称賛
・勝利したチームへの感謝(ねぎらい)

このあたりかなと思うのですが、先程の「共感(夢)」→「応援(投げ銭)」→「見返り(感謝)」という流れとはどうやら違いそうです。

まずプロスポーツ選手に対して「ファン」という感情はあるけど「共感」という感情は湧きにくいかもしれません。
選手の想いに「共感」できるほど選手個人の努力や考え方、人となりを知る機会が少ないからです。
(そんな中でも山崎康晃選手など、SNSの発信を頑張っている選手なんかは「共感」を集めている数少ない選手の一人だと思います)

そして、「SHOWROOM」の例だと「応援」の手段として「投げ銭」をしますが、「スポーツ観戦」の場合、スーパープレイという「結果」への「感謝」として「投げ銭」をしています。

流れとしては「応援(観戦・声援)」→「結果(スーパープレイ)」→「感謝(投げ銭)」という感じです。

「SHOWROOM」と「スポーツ観戦」の投げ銭ポイントの違いは、「応援」としての「投げ銭」か、「感謝」としての「投げ銭」かです。

この「スポーツ観戦」の投げ銭の流れで違和感を感じてしまうのは、
・「感謝」の投げ銭には「見返り」を作りにくい
・最初の「応援(観戦・声援)」の時点ですでにお金を払ってる

という点です。

例えば、「感謝」に対する「投げ銭」だと、投げ銭ランキングみたいなのをつくっても意味ありません。そもそも1位になりたくて「投げ銭」しているわけではないので。
それであれば、ご祝儀として「もう一杯ビール飲んでスタジアムにお金落とすか」とか「選手のグッズ買ってあげよう」という自分にも見返りのある消費行動をとっちゃう人が多いと思います。

また、そもそも「応援」する時点でチケット代や視聴料などのお金がかかっています。
考えようによっては、その「見返り」としてスーパープレイや勝利という結果を受け取っているので、そこにさらに「投げ銭」というのは心理的にハードルが高いと思っています。

じゃあスポーツで「投げ銭」は機能しないのか

なんか否定的な事ばかり書いてしまいましたが、実際は「スポーツ」での「投げ銭」はうまくいく(場合がある)と思っています。

まずは、リアルタイムではない「投げ銭」です。
「SHOWROOM」のケースと同じように、選手の人柄や熱い想いをしっかりと伝えて、「共感」を得て「応援(投げ銭)」してもらうやり方です。

特に、現在のような「無観客試合」という逆境に立たされている時は、「共感」を得られるチャンスでもあります。
こういうタイミングでしっかりと各選手やチームが自分たちの声で想いを伝えれば「共感」が「共感」を呼んで大きな「応援(投げ銭)」に発展するはずです。

そして、リアルタイムでの「投げ銭」もやり方はあるはずです。
やはり「応援」として「投げ銭」をしたほうが見返りを作りやすいので、競技前に「投げ銭」の時間を設ける(もちろん見返り設計も重要)とか、「投げ銭」の体験自体を面白くして(ARで花火上がったり!)見返りを作ってあげるとか、やれることは無限にあります。
※野球のバルーンとかまさに体験が面白い一例ですね!「一体感」もいいキーワードかも!

そもそも、メジャー競技の場合は視聴者数が多いので、「結果」に対する「投げ銭」でも十分な売上になると思います(マイナー競技だと多分難しいですが…)。

と、うだうだ書いてしまいましたが、なんとなく僕の抱く違和感伝わったでしょうか。
とはいえ、やり方次第で「投げ銭」は大きな収入の柱になるに違いありませんし、僕らがやっているテクノスポーツ(HADO・Xball)でも「投げ銭」に力を入れていくようになっていくはずです。

今後、「投げ銭」という文化がスポーツ界にも根付くよう、メジャースポーツの方には頑張っていただきたいと思いますし、スポーツビジネスに関わる方々とも建設的なディスカッションができたらと思います。

ということで長々と失礼しました!
もう午後になっちゃった!良い一日を!!


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