【ミスチル自分史】(4)深海からAnyへ
トップ画像は、shika_jika_yuuuさんからお借りしました。ありがとうございます!
高校を卒業して、大学へと進学した18歳の春のこと。第一志望だった大学に入学できたので、それは順風満帆なスタート地点になる。と思いきや、高校生から大学生へという急激な変化に、心と身体がすんなり適応できず、新生活はとても重苦しいものになっていた。
その憂鬱さは、アルバム「深海」にフィットしてしまい、大学へと向かうバスの中で、「深海」を聴いていたら、ますます心の奥深くに自分が沈んでいってしまっていた。授業に欠席しがちになり、一度休むとますます講義に出るのが億劫になっていく。心分かち合えそうな知人も見つけられず、孤独感も深まっていた。なんとなく人生に行き詰まりを感じてしまい、自己肯定感が下がっていく。大学生活をエンジョイしている周囲の人間に、遅れを感じる。
一つの仮の結論として、大学を自主的に休学することにしたのが9月のこと。現実から逃避して、人生のモラトリアム期に入ったのだ。その後、「深海」からの脱出には、長い長い時間が必要になる。今ふりかえれば、非常に大変な時期ではあったけれど、自分の人生にとっては、貴重で大切な経験だったように思える。
そんなモヤモヤとした日々を過ごしていた19歳の夏。「マレーシアで国際交流」というテーマのスタディ・ツアーに参加したことが、私の人生の転換点となった。
凝り固まっていた自分の価値観が一変し、「人それぞれ、いろいろな生き方があっていい」という当たり前のことに気付いた。「もう一度やり直そう」という勇気が生まれた。ちょうど「Any」がリリースされた時期に重なる。この時期、何度も何度もこの曲を聴いていた。だから今でも「Any」を聴くと、この頃のことを思い出す。あのマレーシアの青くて広い空が、あのとき出会った仲間たちの笑顔が、未来に再びワクワクし始めた自分の興奮が、鮮明に蘇る。
深海からの脱出。
人生が音を立てて軌道修正を始めた。きっと答えは1つじゃない。12色の心があった。その筆で、好きな背景を描き足していける。