宇田川元一

経営戦略論・組織論研究者 埼玉大学経済経営系大学院准教授 企業のイノベーション、企業変…

宇田川元一

経営戦略論・組織論研究者 埼玉大学経済経営系大学院准教授 企業のイノベーション、企業変革をナラティヴの観点から研究しています。『組織が変わる』『他者と働く』著者。 お仕事のご依頼は下記からお願いします。https://www.motokazu-udagawa.com/

最近の記事

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宇田川元一 メディア掲載・論文等の一覧

企業変革やイノベーション推進に関連する内容を中心に、主なメディア掲載記事をご紹介しています。 取材をご希望の方はホームページよりお問い合わせください。 思索の重要な基盤に関連する対談・インタビュー記事 企業変革の思想と考察 宇田川准教授が語る、会社を本来あるべき場所に戻す経営変革論──鍵となる多義性・複雑性・自発性とは? 宇田川准教授が示す、新たな経営変革論──他者を媒介にして自らを問い直し、組織が生きる物語が変わる Biz/Zine | ロナルド・ハイフェッツ氏

    • 新年のご挨拶

      新年あけましておめでとうございます。 朝、いつものように目がさめて散歩をしたところ、陽光に照らされた桜の木に花の蕾があるのを見つけました。 枯れたように見えるこの木も、春になれば花が咲きます。 そして花は散り、葉の季節になり、葉は落ちて、また花が咲く。花が咲けば人の目を喜ばせることもあるでしょう。でもそれはほんのひと時かもしれない。 しかし、そのことよりも日々を生きることこそ大切なのではないかと思います。 花のために生きているのではなく、生きる中で花が咲いたり葉が落ちたりす

      • 20年後の1号線

        今日たまたま池袋のこの場所を通りかかったら色彩が綺麗だった。 クリスマスの飾り付けはお役御免らしく、正月飾りへと急いで変更する仕事をしている人たちがたくさんいた。 そうだよな、そういう仕事をする人がいて、季節感みたいなものも感じられるんだよなと思う。この電飾もそう。そう考えると、なんだか全然違って見える。 お仕事ありがとうございます。 沢木耕太郎さんの毎年やっているラジオも終わったから、なんだか一年の行事が終わってしまった感じがひしひしとする。 沢木さんのクリスマスイブ

        • 今という瞬間を生きていたい。

          2023年のクリスマスにおいても『クリスマス・キャロル』の映画を観て、この一年を振り返っている。毎年同じ作品を見ることで、自分の一年の変化を知ることができる。動くものを知るためには動かないものが必要なのだ。 12月のある瞬間について。 この2023年12月は、私の人生にとって特別な時間だった。 先日のnoteにも書いたように、私はこの2年半、ずっと企業変革をテーマとした本を書くことを目指してきた。そして、先日ひとまず全体を書き上げることができた。独り書き進められないことに

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        宇田川元一 メディア掲載・論文等の一覧

          旅路よ長かれと思うこと。

          私にとって、この2年半は、「企業変革についての本を書いている」といろいろな人に言い続けた時間であった。それは自分に「さあ書くのだ」と気持ちを盛り上げるために言っていたところもある。 先日、一通り原稿を書き終え、まだこれからも直すことはたくさんあろうが、自分としては大きな山を超えたという気持ちでいる。 今の気持ちが失われるよりも前に、少し活字にしておきたくてこの文章を書いている。 一度書き終えて。 (暫定的ではあるものの)最後の一行を書いたとき、私の心の中にはバッハのゴルト

          旅路よ長かれと思うこと。

          一年は全然短くない。

          12月になった。周りでは「今年があと1ヶ月で終わるなんて」というようなSNSの投稿をたくさん見かける。 うん、たしかに、先を見ればそう感じるのもわかる。 けれど、自分は一年は全然短くないと感じている。 今年の1月ころの自分を振り返ってみると、今年に対する期待とか、あるいは実際にその頃どんなことを考えていたかとか、そういうことが色々あったなと思う。 それで、今との差はものすごく大きくて、例えば、企業変革ということについて今必死に3冊目の本を書いていて、時間がかかっているけれど

          一年は全然短くない。

          荏原製作所についての記事(NewsPicks)と、PHP研究所『Voice』に文章が掲載されました。

          NewsPicksで、荏原製作所の須田和憲さんとの対談記事が公開されました。 荏原製作所の「技術人材マップ」の取り組みと、こうした取り組みの背後にあるイノベーションに対する全社的な変革について、お話を伺っています。 須田さんとはとても意気投合して、話が大変盛り上がりました。その感じが伝わるといいなと思っています。 また、PHP研究所の提言誌『Voice』に「組織悪の生成と対話的変革への考察」が掲載されました。 私は以前、専修大学の間嶋さんと組織の倫理がどう生成するのかと

          荏原製作所についての記事(NewsPicks)と、PHP研究所『Voice』に文章が掲載されました。

          雑誌『地上』に記事が掲載されました

          JAグループ 家の光協会発行の雑誌『地上』2023年11月号に私の記事が掲載されました。 今号の特集は、「組織力強化の教科書」というもので、この特集の最初に掲載いただいています。 まさか農協の雑誌からも依頼を受けるとは想像していなかったのですが、考えてみると、この分野も変革が必要な分野です。 多少なりとも自分の知見で、この分野にも貢献できるならば嬉しいです。 http://www.ienohikari.net/press/chijo/

          雑誌『地上』に記事が掲載されました

          雑誌『CEL』にインタビューが掲載され得ました

          大阪ガス エネルギー・文化研究所発行の雑誌『CEL』に主席研究員 鈴木隆さんとの対談形式のインタビュー記事が掲載されました。 タイトルは、「組織の慢性疾患を「対話」でセルフケア -「生きている物語」をつなぎ直す」で、私の研究や実践について、学説史研究者としての観点も掘り下げつつお話を聴いていただき、とても知的にも満たされる時間でした。 内容はこちらでお読みいただけます。よろしければ御覧ください。

          雑誌『CEL』にインタビューが掲載され得ました

          棚田と曼珠沙華の時間

          何とか原稿を進めたくて、先日コワーキングスペースを訪れた。 たまたまそのほど近くに棚田があることに気がついた。 幸いにして原稿が少し進み、気分転換に出かけるとそこには美しい景色が広がっていた。 金色に輝く稲穂を涼しく少し乾いた風が吹き抜けていく。 傍には曼珠沙華が咲いている。 あまりの風景に心を奪われ、時が過ぎるのを忘れてしまった。 時は過ぎれば、それは過去になり、今の世界からは失われる。それは世界の避けがたい真理である。 だが、その時は、その時であったこと、そしてその時

          棚田と曼珠沙華の時間

          最後の一行

          ふと毎年聴いている年末のラジオ番組で、沢木耕太郎さんが「最後の一行を書くと幸せになる」と語っていたのを思い出した。 彼は25年間手をつけられずにいた本を書き終えて、その境地にいた。その本は『天路の旅人』である。チベットに密偵として潜入し、旅を続けた西川一三について描いたこの本は、西川からの聞き取りの後も、彼の死後も、どう書いたらいいかで悩んで25年間が過ぎたという。無論その間も色々な著作を沢木さんは書いている。だが、確かにこの本を読んで、この本こそ沢木さんでなければ書けなかっ

          最後の一行

          正解を探すな。まずは苦労を語れ。経営学者・宇田川元一が説く、組織を変える「語り」の力

          "武器"で問題は解消できない あるMBAの受講生に、宇田川元一は「なんでMBAを学ぶことにしたの?」と聞いてみた。 すると、「いまの上司に任せていたら会社はうまくいかない。MBAを取ったんだから、わたしの方が正しいことを証明したいんです」と返されて、とてもショックを受けたという。その学生は自分の会社を変えるための「武器(=正解)」を求めていた。それでは問題の核心には触れられないと、宇田川は指摘する。 「本当の問題は上司と自分との間でうまく接点が見つけられないこと。いろんな

          正解を探すな。まずは苦労を語れ。経営学者・宇田川元一が説く、組織を変える「語り」の力

          苦しみとお別れすることが人生だ

          幽霊という幻影と苦しみ クリスマスキャロルは、チャールズ・ディケンズの原作であり、この作品についてあえて詳しく述べる必要はないだろう。金貸しの業突く張りのスクルージが、過去・現在・未来の自分の人生を精霊に導かれて見ることを通じて、善良な人間へと改心をするというストーリーである。 例年は、精霊による改心の意味とか、他者との対話の意味についての視点が浮かび上がってきていた。例えばこんな具合に。 しかし、今年はスクルージにとって、彼の苦しみとは何だったのだろうかと真剣に考えな

          苦しみとお別れすることが人生だ

          理想論で終わらせないために「結果ごとき出せ」

          「対話勢」の底力が問われている ――対話を通して、じっくりと根本から問題に向き合うことが大事である一方で、ビジネスの現場では「短期的に結果を出せ」というプレッシャーは根強くあると思います。その対立に関して、お二人はどのように考えますか? 宇田川 私の仕事に当てはめて言えば、対話を促したほうが、ビジネスにおけるパフォーマンスが向上するということを結果で証明していかないといけないと思っています。 ピーター・ドラッカーの著書で『産業人の未来』(1942年)というものがあります

          理想論で終わらせないために「結果ごとき出せ」

          上司がわからず屋なら「退職ブログ」を書いて辞めるしかないのか

          対話を遮断する「身体的文化資本」の問題 宇田川 私が企業の中で、対話を促す仕組みの開発を行うにあたって、しばしば直面する問題がありまして。 外から見ると、問題だらけで困ってそうに見える組織の現場の人から、なぜか「私たちは特に困ってない」という言葉がよく出てくるんです。それでこれに対して、余計なお節介になってしまっては元も子もない。どうアプローチすればいいものか、と。 平田 いくつかの段階があると思うんですが、1つは問題を意識化できていないということですよね。なかったことに

          上司がわからず屋なら「退職ブログ」を書いて辞めるしかないのか

          「自分で決める」と自己責任論に回収されてしまうのか

          自己責任論の罠 宇田川 平田さんの著書『下り坂をそろそろと下る』では、「文化の自己決定能力」ということが書かれていますね。これは一つ大きなテーマになってくるのかなと感じています。つまり「自分なりに頑張ってみる」という意味だと私は解釈しているんですが。 以前、私は地方の大学に勤務していたことがありました。そこは典型的な地方都市で、得体の知れない「権威」に対していかに取り入るかということが発想のベースになっていた。自分たちがどうしたいかという考えがないので、結果としてものすごく

          「自分で決める」と自己責任論に回収されてしまうのか