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一年は全然短くない。

12月になった。周りでは「今年があと1ヶ月で終わるなんて」というようなSNSの投稿をたくさん見かける。
うん、たしかに、先を見ればそう感じるのもわかる。
けれど、自分は一年は全然短くないと感じている。

今年の1月ころの自分を振り返ってみると、今年に対する期待とか、あるいは実際にその頃どんなことを考えていたかとか、そういうことが色々あったなと思う。
それで、今との差はものすごく大きくて、例えば、企業変革ということについて今必死に3冊目の本を書いていて、時間がかかっているけれども、それについての理解とか思索とか、1月の頃は全然浅かったなと思う。何もわかっていなかったのを恐ろしくすら思う。
あのときに本を書き上げていなくて良かった。まあ書き上げられなかったのだけれども。

あるいは、人生観みたいなものを思い返してみても、4月にマーティン・スコセッシの映画『沈黙ーサイレンスー』を久々に見返して、改めて、人間の孤独と生きることについて考えたりした。

また9月には、NHKのEテレで放送されている『心の時代』で、ネルケ無方さんと垣添さんの対談がものすごい大きなインパクトがあった。

今年の前半は、原稿を書き進めることに苦労して、結構孤独感を感じることが多かった。そんな中で上記の対談を見て、ああそれでも自分は生きているのだということ、言葉にし尽くせない思いを持つに至った。

健康という面で考えると、基本的にはずっと健康ではあるけれど、8月末にはコロナに感染して39度以上の熱が出てすごくきつかったし、しばらく後遺症で調子が悪かった。11月の頭にはインフルエンザに早々と感染して、またもや39度の熱が出て倒れたりした。

色々なところに行ったりもしたし、色々なものを食べたりもした。
色々な本も読んだ。印象的な本の一冊は、沢木耕太郎の『天路の旅人』だった。他にもたくさん読んだ。
色々な人と話したし、講演などの場面では緊張したりする場面もたくさんあったし、友人と過ごす時間で楽しいこともたくさんあった。

そのようなことを思い、また、当然ここに書き記せないほど数多くのことを思い出すと、2023年という時間はとてつもなく長く、果てしない時間を自分に与えてくれている。
そう思うと、全然一年を短いと思えないのである。

考えてみると、その感覚は今に始まったことではない。いつも人生は長かった。冗談であっという間に四十代半ばになるよ、と学生には言うが、彼らと自分を隔てる年月はとてつもなく長いものがあった。
当たり前のことだが、これは別に私だけの話ではない。
よく自分は生きてきたと思うし、世の中の皆々様も、本当によく生きていらっしゃると思う。
そう思うと街行く人々一人ひとりが果てしない長い時間を生きている、ものすごい存在だなと思うし、例えば満員電車などは、とんでもない時間の年輪の集まりの空間だなと思ったりもする。

12月はその果てしなく長い時間を忘れる時ではなく、そうして生きてきた人々が祝福される時ではないかと思う。

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