入社間もない社員にユーザビリティテストやったら場づくりがとにかく大事だった。
はじめに
本記事は、ストックマーク Advent Calendar 2022の16日目の記事です。
こんにちは、ストックマークのプロダクトデザイナーの @motokazu です。
社内のユーザビリティテストを設計した時の学びをご紹介します。
ストックマークには、UXリサーチを専門とする UXリサーチャーがいます。そんなUXリサーチャーのO氏と共に設計した体験やその背景について触れていきたいと思います。
オンボーディングとテスト
さて、タイトルを見てお気づきの方は、
今回のユーザビリティテストが、社内対象であり、入社間もない社員を対象に行われたということが分かるかと思いますが、今回のポイントはそこです✍️
弊社では、入社するとすぐにオンボーディングプログラムが始まります。
オンボーディングって何なの?何が行われてるの?という方は、HR 岸本さんのnoteをご参照ください。とにかく丁寧なオンボーディングが行われています。ほんと凄い!
さて、そんな入社オンボーディングですが、プログラムの時間をよくみると… 「ユーザビリティテスト」の文字が見つかります🔍
(HRの皆さまのご協力あってこそなので、ほんとありがたい🙏)
なぜ、入社すぐにユーザビリティテストの時間を設定したのでしょうか?
ズバリ、バイアスの少ない社内の人にプロダクトの率直な意見を聞き、インサイトを得たいから!です。
詳しく説明すると、背景のストーリーはこうです。(急ぐ方は飛ばして次へ)
プロダクトと接触するはじめの時間は、後続のプロダクトの体験を支える入り口でもあり、大切な瞬間です。プロダクトチームでは、この瞬間を重要な時間であると捉えて理解を深めようとしていました。
ここで、ユーザビリティテストやインタビューを計画します(もちろん定量分析も)。しかしペルソナに合致する人をリクルーティングするのは、時間もコストもかかります。そこで社内テストを計画しました。
しかし、社内にいるメンバーは、みんな自社プロダクトが好きなのでバイアスがあります。使い慣れてしまっています。何がどこにあるのか、どんな機能があるのか、何となく言葉から推測したりして、わかってしまいます。
背景知識がある状態で、客観的に考えるのは至難の業です。
そこで、入社オンボーディングに着目しました。
バイアスの無い入社直後の皆さんに、プロダクトの率直な感想を教えて頂こうと、今回の取り組みが始まったのでした。
背景はここまでにして、具体的な設計や何をしたか、学びをご紹介します。
場づくりのポイント
リサーチは設計が全て。といっても過言ではありません。仮説を立てて被験者のことを理解することから始まります。
ただ、今回は場面が特徴的です。被験者は入社オンボーディング中です。
そう、まだ初出社から数日です。どう考えてもまだ会社に馴染む前の状態ですし、早く役に立ちたいという気持ちで気を張っているかもしれません。そんな所にいきなりテストに協力してください!と声をかけるのです。
タスク設計のポイントなどは他に譲るとして、ここでは、入社オンボーディングでユーザビリティテストを設計するときの場づくりのポイントを紹介します!
ポイント1
入社オンボーディングの一部として、皆様を受け入れる体制を整えます。ここからはユーザビリティテストです!と切るのではなく、迎え入れることをします。
ここでの工夫は、ウェルカムカードをお届け🎁すること(とUXリサーチャーのO氏は言っておりました)。ただの文書だけではなく、華やかに迎え入れたいですね
(直接、手渡しかこっそりとDMで渡しているらしい)
ポイント2
ラポール形成の一環としてチームを紹介する。
今後一緒にお仕事していく仲間です。気軽に会話できる仲間として受け入れて頂き、活動しやすい環境を作っていくのも、この時間の目的になっています。
デザイナーチームにはどんな人がいるのか、なぜテストするのか。などデザイン活動を知っていただく時間としても設計しています。
ポイント3
入社すぐのお仕事として結果はプロダクトチームにフィードバックされますので、張り切ってしまう可能性もあります。
ここでのポイントは、とにかく素直にテストに参加頂ける環境を作ることです。いいこと言おうとしまう可能性もあります。環境がとにかく大事です。リラックスできる環境を作ることを大事にします。
ポイント4
入社体験を優先する。
何よりも、入社オンボーディングでの体験を最優先します。ユーザビリティテストでインサイトを得たいという気持ちは大事ではありますが、あくまでも入社後数日以内の出来事であることを忘れないようにします。
実践
まず、テスト当日かその前にウェルカムカードをお渡します。テストの中ではなく、その前にお届けするのがポイントです。
これがラポール形成の導入の道具になっていたりします。
テストの時間は、被験者の方のストレスにならないように、フォーメーションを組みます。
視界に入ってしまうことはNGです。
あとはタスクに沿ってプロダクトをテストして頂きますが、可能であれば後で見返せるようにするために、画面録画と音声を記録します。(当日、配信するとリモートのチームメンバーも嬉しい)
ユーザビリティテストの内容や進め方については本記事では割愛します。(過去に書いたnoteをちょこっとご紹介…)
最後に、ご協力いただいたことへの感謝と今後の仲間としての関係性を築いて終わります。
常に忘れてはいけないのは、これは入社体験中であることです。
学び
入社オンボーディングでのユーザビリティテストは、デザイナーにとっても良いことがありました。
入社の方との接点を作り、デザインしやすい環境構築につながる
バイアスの無いメンバーにプロダクトを思う存分評価して頂ける
評価することでプロダクトの改善を自分ごと化する場になる
定期的に訪れるUXリサーチの場になるため、プロダクトデザイナー以外のメンバーにとってもUXリサーチが身近になる
入社される方のお時間を少し頂戴することになりますが、非常に多くのインサイトを得ることができました。
入社直後から、ご協力頂いて感謝しかありません🙏
インサイトの瞬間はワクワクしますね✨
おまけ:アイトラッキング
実は、今回のテストでは "アイトラッキング" という新たなことにもチャレンジしました。客観的に被験者が気になっている事柄を測定し、確からしさを検証する目的がありました。
とは言え、ちょっと試してみたいなど、いきなり高価なデバイスを買うことが難しい場合があります。そこで今回は、Webカメラで安価にトラッキングする方法にチャレンジしてみました!
※具体的なトラッキングのシステムについては、こちらご覧ください。
結果は…
Webカメラでのアイトラッキングでわかることは、目線が左右上下のどこかに留まっているか、バラついているか(迷っているか)ぐらいしか推測することができませんでした。
テスト後に、ある一点を一瞬見たことが記録されたので、「〇〇を見ましたか?」と質問したところ、「見てません」という結果に… 💧
目線が一瞬動くぐらいの計測には適していません。
また、「マスク」をしていると精度が落ちるようです。なので可能であればマスクを外して操作して頂きましょう。
※カバーは UnsplashのDavid Travis さんが撮影した写真を使用させて頂きました。
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