夫との家事バランスが崩れていたことを漫画にしてみたら、よい変化があった話
夫との家事分担について描いた漫画が、ありがたいことにとても読まれました。4ヶ月ほど前のことです。
この漫画には夫婦の家事分担という切り口を通し、恥ずかしながら、わたしのダメなところがあちこち散りばめられています。
家事というのは特に女性が我慢していることの多い、わりにセンシティブなテーマだったりします。
なのでSNSで連載していた間も、賛否両論さまざまな反応がありました。
それらに毎回ドキドキしながら更新ボタンを押していた日々。
けど最終的には(けっこうリアルに表現できたのでは・・・!?)とも思え、描けてよかったと感じています。
夫婦にとって良いバランスをさぐりながら、さらにそれをリアルタイムで漫画にする。そんないつになくライブ感のあることをしながら漫画のなかで自己開示をし、すこしだけ変わることができた。
このnoteでは、なぜこの話を書こうと思ったのかや、どのような反応があったかなどをまとめてみたいと思います。
◇
わたしはふだん、インスタグラムで家族のコミックエッセイを描いています。
4人兄妹のほっこり話をメインに、家族まわりの日常を漫画にしています。
子どもが4人もいて、しかも兄3人+妹1人という兄妹構成のめずらしさもあってか、ありがたいことに18万人もの方にフォローいただき、漫画家歴は6年になりました。
もともと描く人だったわけではなく、4人目の子どもが産まれてから突然描きはじめ、持ち前のおめでたさが功を奏し(?)、これまでなんとか仕事にしてこれましたが、実際はフリーランスの日々にアップアップしています。
家事についての漫画は、ページにしたら18ページほどのみじかい話ですが、わが家のリアルなエピソードを描いています。
夫婦の家事の話というと、「夫がまったく家事をしてくれなくて・・・」というパターンがまだ多いですよね。
けどわが家の場合、わたしが夫の家事負担を見て見ぬふりをしていたというところから、話はスタートします。
結婚して20年あまり。
そのあいだ、働き方や住む場所の変化、上の子ども2人の巣立ちなども経て、ゆるやかに変わっていった家事バランスがここ数年、大きく崩れていました。
夫が大変そうだし、なんとかしないと・・・と問題意識はあったものの、仕事をいいわけに見て見ぬふりをしてしまっていたわたし。
「見て見ぬふりをしていた」なんて、そんな自分のダメな部分、普通描きたくないですよね。
ネガティブなことをサラッと上手に描いてしまうエッセイ漫画家さんもいて、そういうのを読むたびに(よくこんなにさらけ出せるなぁ・・・)と、いつも羨ましく思っていました。
わたしはそういうのが人一倍苦手で、いつもポジティブに心が動いたことを中心に漫画を描いてきました。
でもなぜ、今回この話を描こうと思ったのか。
きっかけは、高校生の息子の一言でした。
◇
家事バランスの悪さに気づいていながら何もできずにいた去年の年末、ある日次男とふたりでランチをする機会がありました。
大きなガラスからたっぷりの光が入る、木のぬくもりが優しいカフェで向かい合ってサンドイッチを食べていたら、ふと家事の話になりました。
高校から寮生活をしている次男には家のようすなどを何となく伝えていたので、状況を知ってくれています。
また彼は誰の心にも寄りそうタイプの優しい男子で、人の話もよく聞いてくれます。
そんな息子相手なので、わたしも普段ならもうすこしオブラートに包むようなことを、飾らない本音で話すというか・・・
歯に衣着せずっていうか・・・
読者さんの言葉を借りると「そんなこと言っちゃうの!?」っていう発言をしまして・・・。
でもそれに対する息子の反応が、そのときのわたしにとても響きました。
内容だけじゃなく、次男の表情や光射す店内など、状況のすべてが良くて、
と思いました。
けどこれを描くには、その前のわたしの発言も描かないといけないわけで・・・
うわーどうしよーー描きたいーーでも描きたくないーーー!!と、しばらく葛藤しました。
結果的に、描けたこと、そして描いている最中も、家事についてふたりでとことん向き合う機会を持てたことが、とても良かったと考えています。
◇
「家事」という身近なテーマなこともあり、ブログとインスタグラムでの連載時(ブログで1話先読み形式で同時連載しています)には、たくさんのコメントをいただきました。
などなど。
嬉しかったのは、読んだ方が自分のことを語ってくれるようなコメントです。漫画を読み、自分のなかのいろいろな記憶や考えが浮かび、おもわず語らずにはいられなかったような言葉たち。
それらを前向きにシェアしてくれる人もいれば、ネガティブな言葉として投げてくる人もいましたが、どちらも紛れもない本音というか、リアルタイムの生々しい言葉たちでした。
連載中それらの言葉が持つエネルギーに若干たじたじしながらも、どこか高揚感を感じるという、すごく変なテンションで乗りきっていました。
さらにこれは副産物というか、わざわざ漫画にして発信してしまったことで、好転した家事バランスを維持しようと、平日わたし・土日が夫と、夕飯作りはゆるやかに習慣化しています。
◇
そんなわたしの変化を見て、夫はというと。
彼は、負担が偏ってつらいけど、それをそのままぶつけると喧嘩になるであろうこともわかっていたし、そうなるくらいなら(自分がちょっと我慢すれば、耐えられないほどではないし)と以前から考えていたそうです。
けれど、突然にやる気を出す妻。
「やったー♪」というよりは、「お・・・おぅ」というのが夫のリアルな反応でした。そして負担が減った今も、過剰に喜ぶこともなくいたって平常運転です。
この話を通して、おたがいが大きく変化したかと言われると、ノーかもしれません。
夫の寛容さは一貫しているし、わたしの「人の気持ちを慮る能力の低さ」のようなものは、あいかわらずな気もします。
けどそんな自分でも、わたしなりに「夫を大切にしたい気持ち」に嘘はなく、彼のために行動を変えることができたことは、ちいさな自信になりました。
わたしと似たような人に漫画が届き、すこしでも希望になれたら嬉しいと考えています。
◇
いままで、漫画で「自分をさらけ出す」のが苦手だと感じていたわたしが、失敗談を描くことができた。漫画家目線で、それはシンプルに嬉しいことでした。
まだまだ表現力が稚拙で、このお話も伝わりきらない部分がたくさんあったと思います。けどこの文章を読んですこしでも気になった方は、こちらから読んでいただけたら嬉しいです。
ほかにどのようなコメントが寄せられたのか興味がある方は、ブログをご覧いただけたら。
いろいろと振りまわしてしまいましたが、いたって元気な夫!
夫婦の話、また描きたいです。
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