【書籍紹介】抜擢される人の人脈力 岡島悦子 著
本書は、私がこれまでの実体験を通じて感じて来たことが、見事に言語化されていると感動した1冊。
著者の岡島悦子さんは、三菱商事、マッキンゼー、グロービス等でキャリアを積み、現在は株式会社プロノバという経営人材紹介コンサルティング会社の代表をされています。
本書には、著者がハーバード大学留学時に人脈の重要性に気づいた原体験から、名だたる企業の最前線で実績を出してきた経験及び、その過程で出会った様々な成功者からの学びが言語化、体系化されています。
著者によると、人脈力に繋がる重要な資質は「抜擢される力。その機会を創出する力」。
これは、単なる偶然ではなく、きちんと理由があると著者は言います。
その結果、
今までブラックボックスとなっていた、こういった「抜擢される人」の「水面下での取り組み(人脈構築の努力)」の共通項を抽出し、それを誰もが再現可能なプロセスへ落とし込むことを目的に本書を執筆したとのことです。
本書では、これを「人脈スパイラルモデル」と呼び、5つのステップに体系化されています。
タグをつける。自分が何屋なのか訴求ポイントをはっきりさせる。
タグのユニークさを証明するコンテンツを作る。「お、こいつは」と思わせる実績事例をつくる。
人脈をレバレッジしあえる仲間を広げる。コンテンツを試しあい、お互いに切磋琢磨して、次のステップを共創する。
自分情報を流通させる。何かの時に自分のことを思い出してもらうよう、種を蒔く。
チャンスを積極的に取りに行く。実力以上のことに挑戦して、人脈レイヤーを上げる。
著者が人脈スパイラルモデルを構築するに至ったには、ハーバード大学留学時の原体験が大きく影響しています。
MBAではケーススタディを中心に授業が進められます。ケーススタディはグループ単位が基本。世界中から優秀な学生たちが集まり、一緒に学ぶ仲間を相互に厳選しながら選んでいきます。
Commit or Die。貢献せよ、さもなければ去れ。という厳しい世界。グループメンバー同士が、同レベルの貢献をしているのか、フリーライダーはいないのか、といったことを真剣に話し合います。
この人は何ができるのか?
どれだけグループに貢献する気があるのか?
どんな可能性を秘めているのか?
これらを互いにシビアに観察するため、自身のポジションを明確にしながら、自分のユニークさを提示し、グループへの貢献度をメンバーに上手にアピールしていく必要があります。
同質性が強い日本では直面することが少ない、貴重かつハードな体験。著者は、ここで強烈な洗礼を受けたことで、人脈構築の重要性を痛感したそうです。
著者は更に、こう警鐘を鳴らします。
今後、ビジネスシーンでは以下の4つのパラダイムシフトが予見され、各個人はこれに備えていく必要があると著者は指摘します。
企業の組織寿命が短命化し、個人のビジネス寿命の方が長くなる。
組織は、定常型組織から、プロジェクト型組織へと移行する。
人は、クリティカル・ワーカーとルーティン・ワーカーに二極化し、ルーティン・ワーカーの仕事はグローバルな労働力に代替される。
リファレンス文化が普及し、所属組織名での評価から、個人の実績や仕事ぶり重視へと、評価の質が変化する。
言い換えると、社外でも通用する再現性のある実績つくりと、それを活かす人脈つくり。この2点が、今後のパラダイムシフトを生き抜くカギとなります。
更に、あなたの名前と経歴が抜擢候補者リストに挙がっただけでは不十分。三種類の自分の理解者を獲得していくことが必要と著者は言います。
想起者。「抜擢の機会」の出現時に、タグを思い出し、自分を想起してくれる人。
ストーリーテラー。あなたのポテンシャルを信じ、意欲や現在の能力を適切に理解し、推薦理由のストーリーをあなたのコンテンツを交えて、意思決定者に説明してくれる人。
後援者。あなたのコンテンツ事例などを提示し、リファレンス情報で意思決定者を後押ししてくれる人。
加えて、著者は「ビジネスの心肺機能」の重要性を説きます。
では、どうやればビジネスの心肺機能は鍛えられるのでしょうか?著者は以下の3点を挙げています。
「脳に汗をかく」くらい頭を使う。
ビジネス上の修羅場を経験する。
自分の名前で仕事をする。
脳に汗をかいて、自分の名前で責任を負い、修羅場を経験してビジネス心肺機能を鍛えることで、社外でも再現性のある実績つくりを重ねていく。同時に、人脈スパイラルモデルに従い、戦略的に人脈を構築していく。
成功者への道のりは平たんではないですね。
本書では、タグのつけ方、コンテンツの作り方、その上手なアピールの仕方等も具体的に解説されています。
例えば、ブログの活用法。今ならSNS全般に応用可能な考え方。
手軽に、より多くの人を対象に自分の存在をリマインドできる。
自分が何者かを示すレジュメ代わりに使える。
自らのコンテンツへの反応を測るテストマーケティングの場として活用できる。
如何でしたでしょうか?興味を持った方は、是非、こちらのリンクより購入してお読みください。
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