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日本で広がるジョブ型雇用 果たして中高年社員は生き残れるのか?

日本でもジョブ型雇用が浸透する中、若手にはチャンスが広がる一方、メンバーシップ型オールラウンダーでやって来た多くの中高年はポストがなくなるという記事。

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用に関しては、以下の通り説明されています。

<ジョブ型雇用>

・特定の職務(ジョブ)を続ける。欧米企業で一般的
・会社が職務の必要性に応じて労働者を採用
・決められた職務以外のことは原則しない(スペシャリストをめざす)
・職務が変わらない限り賃金は大きく変わらない
・社内で職務が必要なくなれば解雇される(米国では解雇は原則自由)
・入社前の能力や職務ごとの訓練を重視

<メンバーシップ型雇用>

・会社の構成員(メンバー)として様々な仕事を経験。日本企業で一般的
・新卒時に一括して採用し、定年まで働く人が多い(終身雇用制)
・複数の職務を担当、経験し人事異動もある(ゼネラリストをめざす)
・年齢に応じて昇給(年功序列型賃金)
・職務がなくなっても配置転換などで対応し、解雇されにくい
・入社後に年次を考慮しながら職業訓練をする

はい。記事にもある通り、メンバーシップ型は終身雇用・年功序列と三位一体で、どれかが崩れると成立が難しくなります。

このあたりは「会社は頭から腐る」(冨山和彦著)に詳しく書かれいます。

書評も公開したので、併せてご参照ください。

私自身、日本、米国、ブラジル、マレーシア―で勤務して感じるのが、日本の大企業が一番、若手にとって成長機会に乏しいということ。

良く言えば、仕組みが整い社員の層が厚い為、背伸びをせずじっくりと経験を積める。就労環境や福利厚生も整いストレスフリー。

裏を返すと、裁量が与えられていない。大きな挑戦ができない。修羅場を乗り越えて成長するという機会に乏しい。

これは、どこか特定の会社の話ではなく、色々な会社(主に大企業)に勤める若手の話を聞いた中、共通して言えることです。

先日、まさに同じ趣旨の記事がYahooニュースで紹介されていました。

直近の新入社員の48.9%が、「自分は別の会社や部署で通用しなくなるのではないかと感じる」と回答。

「社外で通用しなくなるのでは、と思っていた。会社の人間関係が良いので居心地は良いが、本音ではこのままではまずいと感じている」

出典:Yahooニュース

厳しい就活戦線を勝ち残り、晴れてホワイト企業に就職したエリート若手達が、既にこの様な不安を抱えていることが報告されています。

従来のような長時間のOJTで育てるアプローチがなくなった現状を放置しておけば、入社後の若手間での経験・スキル・ネットワークの差が開いていく可能性が高い。若手が自ら育つことをいかにサポートできるのかが重要になるだろう。

出典:Yahooニュース

と警鐘を鳴らし、

若手社員に求められるのは、「会社・職場が育ててくれる」というこれまでの常識ではなく、「自分が会社・職場を使って育つ」という発想の逆転だ。職場外でのアクションも含めて職場を生かして自らを育てる姿勢がどうしても必要になるだろう。

出典:Yahooニュース

と結んでいます。

以上の点から、日本でジョブ型雇用が浸透していくのは、若手にとっては大きなチャンス。

今の時代、すべてを職場に頼らなくても、社外セミナー、オンラインセミナー、スキルを伝授する様々なYouTube動画等、自ら学ぶ選択肢は豊富に用意されています。

逆に、大変なのは中高年社員。これまでは、「では、今回はセカンドを守ってください」「次はセンターです」と役割を指定され、オールラウンドプレイヤーを目指していた。それが、突如、「これからは野球ではなく、サッカーのルールに変更します。各自、自分で考えてプレー(貢献)してください」となる訳ですから。

中高年は、まさに私のことですが、これまでの経験の棚卸しを行い、何が世の中で汎用性を持って通用するスキルなのか?今後、どういう経験・スキルを磨いていく必要があるのか?

ということを真剣に考え、考えるだけでなく、素早く行動に移して行かないと、ゲームオーバー。

中高年の方々がこれからの自分の生きざまとして参考になると強く推薦したいのが、「モダンエルダー」(チップ・コンリ―著)

チップ・コンリ―氏は20代で起業し、一大ブティック・ホテルチェーンを築き上げた。その後、50歳を過ぎて事業を売却。同時にエアビーアンドビー(Airbnb)という、日本で言うところの民宿のマッチングサービスの会社に参謀として参画。自分の半分の年齢の創業経営者に仕えることで、年長者としての自分の役割を自覚。それを「モダンエルダー」と名付けて出版した。

こちらも、改めて書評を公開する予定。執筆が追いついておらず、恐縮です。代わりに、チップ・コンリ―氏のTEDでの講演動画をご覧ください。

<併せて読む>

パンデミックを経て、YOLO(You Only Live Once! )「人生は一度きり」という価値観が大きく台頭。このまま仕事漬けの一生で良いのか?と自問し始めたという考察。


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