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【書籍紹介】成果を出す広報企画の作り方 片岡英彦箸

先日、「広報戦略は根回しが全て、その手段が網羅されている」という秀逸なタイトルに惹かれて読んだ記事。

記事で紹介されていたのが片岡さんの著書「成果を出す広報企画の作り方」。早速、購入して読みました。

広報戦略の構築において実践的な手法を提供する優れた一冊で、経験を通じて得られた知識やノウハウが余すところなく言語化されている。

という紹介に完全同意。実務家ならではのメディアの方との対峙の仕方、つい取材したくなる企画書の作り方、社内関係部署の巻き込み方、部署間の利害関係の構図、タレント起用の際の「番手」の話等。とにかく、企業内で広報の実務を担当されている方に有用な1冊。

タレントを目玉にした新商品発表会→スポーツ新聞の夕刊に掲載→翌朝の情報番組で掲載→そこから他のメディアに拡散。といったひと昔前の手法から、SNSやインフルエンサーを使った最新の手法まで網羅。

前掲の記事でも紹介されていますが、最後の高広伯彦氏、本田哲也氏を交えた縣談「広報活動のこれから~人の心は物語で動く~」が特に読みごたえありました。

本書の中でお三方は「同い年」とあり、実は、私もなのです。高広さん、本田さんとは親交もあり、そういう意味でも自分事化しながら読み進めました。

企業の社会的存在意義をステートメント化したパーパス。パーパスを物語化して、ナラティブとして伝えていく手法が定着しつつある。ナラティブには「企業ナラティブ」と「生活者ナラティブ」があり、独りよがりな企業ナラティブだけでは共感性を持って伝播していかない。一方、生活者ナラティブに全面的に委ねるのでは、主導権が取れず思い通りにならない。

本田さんが携わった某冷凍食品会社の事例。「餃子がフライパンに張り付いてしまう」という生活者の声を取り上げて、研究開発のためにフライパン3,000個を回収してお礼の新聞広告を出した。これは、生活者のナラティブを上手に企業コミュニケーションに取り入れた成功事例。

私自身も薄々感じていたことではありますが、B to B企業のブランディング需要が高まっているという話を高広さんがされていて納得。

B to B企業にとってブランディングが必要になるタイミングは、認知の段階以上に、顧客が最終的に購買決定する前の比較段階です。

例えば、A社、B社、C社で比較検討がなされていて、機能的にはどれも優れている時、名前を聞いたことのないA社、現場は知っていても役員は認知していないB社は選ばれない、ということがあったりします。

B to Bは組織購買なので失敗を恐れるという部分が大きい。失敗を防ぐために、できるだけ知られた企業と仕事をする方が安心感があるわけです。

B to B企業におけるブランドは、B to C以上に信頼・信用の面が非常に大きい。これがB to B取引においてブランディングが必要な理由。

採用難で、インターナル広報も重要となっている。お盆と正月という帰省してテレビを観るタイミングを狙って企業広告を入れるという話も、なるほどと思いました。

効果測定は、「インプット」「アウトプット」「アウトカム」に分けて設定・測定する必要がある。取材対応などのインプットの結果、メディア露出などのアウトプットに繋がり、その結果、認知度が上がったというアウトカムが得られるという風に。

広告会社(広告代理店)とPR会社の業際がなくなり、どんどん融合しつつある。その中で、学生はどちらを目指すべきか?という話も面白かったです。

高広さん曰く

■多様なコミュニケーション手段に触れ、マーケティングに関する基本を学び、習得したいのであれば広告会社。

■コミュニケーションにフォーカスして、メディアや従来の広告手段にとらわれない企画に挑戦したいのであればPR会社。

私としては、広告会社→PR会社→事業会社(広告・広報担当)というキャリアが最強かなと思います。

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