“今”の楽を取るか、“未来”の楽を取るか

仕事において、今その瞬間の手間を惜しんでそのば限りなやり方を選択するか、少し手間をかけてでも先々に役立つ工夫をしておくか、そんなことを書いてます。

私はイベントや広告出稿など主にBtoBでビジネスをされているお客様のマーケティング施策の実行をお手伝いする仕事をしています。

常にいくつかのお客様の規模の大小さまざまなプロジェクトが並行して動いています。
かれこれ5年以上続けていますが、少数精鋭を自称する実に属人的なチームです。
その属人的なところがうちの良さだったりもするわけですが、世の中的には効率性を求めて属人性を排除するような流行りも感じる一方で、担当者一人ひとりの実力が売りという会社はけっこう多いのではないでしょうか?

私が入社したときすでにチャットワークというツールを使って、社内のやり取りにメールを使わない、という文化は完成されていました。
前職ではそんなもの全く使ってなかったので、なんだかイケてるなぁと感心しながら割とすぐ馴染んだのを覚えています。
一方で、仕事の覚え方は口伝、やりながら覚える、という形で、定型化された業務がほとんどないような状態でした。

展示会をやるにせよ、セミナーをやるにせよ、ウェブページを作るにせよ、なんとなく決まった流れはありながら、お客さんごとに条件ややり方が異なるケースが多く、マニュアル化しづらいし、しなくてもやっていける人たちの集まりだから困らなかったのでしょう。
ToDo管理も人それぞれでやっており、ある意味そこも実力のうち、みたいなところがありました。

お陰様で会社は成長できている一方で、新入社員教育のスピードアップ、全体の底上げも年々課題として顕著になってきました。

皆さんは日々の仕事が知識として蓄積されるような仕事、今日やった仕事の成果物を再利用しやすいような仕事の仕方をしていますか?

私達はできていませんでした。
チャットワークはスレッド機能を持たないチャットツールです。
案件ごとにチャットグループを作り、その案件に関する話題をどんどん投稿して作り上げていきます。
一応テキストとして残ってはいますが凄まじい勢いでタイムラインが流れるので、遡るのはけっこう大変です。
スレッドを持つTeamsやSlackも同じだとは思いますが、そこのやり取りのログがそのまま次回の参考資料にはしにくい構造をしています。

でも、チャットで連絡するのはとても楽です。
とりあえずすぐそこで聞いたり、報告して終わらせる。
これにはとても適しています。
私達は日々時間に追われ、即レスが求められ、多くの案件を抱えているので、その場しのぎでチャットや電話で解決しがちでした。
しかし、仕事というのは「決め事の集合体」だと思います。
チャットだと、決めたことがまとまっていないので、決め事をまとめるという作業をしないと、経験の浅いメンバーはついていけなくなり、ベテランだったとしても「そういえばどうなったんだっけ?」と思い出す時間が苦しくなっていきます。

パッとすぐに連絡して解決する。
これは楽です。
楽ですが未来に資産を残せないやり方なので、改善しなければと強く思うようになりました。

私達はAsanaというツールを使って、これを解決しようと試みています。
ワークマネジメントという概念を教えてもらい、広告代理店にはうってつけのコンセプトだと思いました。
要はトレロやバックログの仲間のようなものなのですが、日々突発的に発生する仕事、ある程度やることが先に見えているプロジェクト、個人のタスク管理、チームの業務量、プロジェクトごとの分担、社外の巻き込みなどがやりやすく、何よりも「決め事の集合体」を作りやすいことが魅力です。

ただ、仕事ごとにタスクを作ったり、タスクにコメントしていくことになるので、チャットほど直感的に連絡できないストレスはあります。
社員の多くはこの面倒くささからまだ馴染めずにいるのですが、これがタイトルにもしている「未来の楽を選択できるか」ということかなと思っています。
今少し面倒でも後々見返しやすいタスクの作り方をしていくと、実に美しいプロジェクトが出来上がります。
決め事がストックされていると、リソース不足の際に追加するメンバーへの共有が楽ですし、お客さんから「どうなってたっけ?」と聞かれた際にもすぐに答えることができます。

未来の楽を取るか、これはこういうツールや連絡手段の話だけでなく、資料作りなどでも言えることです。
パワーポイントで資料を作ることが多いのですが、私はテキストボックスが細かくたくさん入っている資料が大嫌いです。
また、図形の中に置くテキストをわざわざ上にテキストボックスを重ねて作る人の気がしれません。
スペースや位置調整などのためにそういう作り方をしているのだと思いますが、複製して使いづらいし、1ページ内に配置されたアイテムが多ければ多いほど一箇所の移動が全体に及ぼす影響が大きく、更新性に欠けています。

並べることがわかってるなら罫線なし、透明で表組みをベースに使う。
図形内のテキスト位置は書式設定でいじり、それをコピーすれば量産できるようにする。
装飾要素はスライドマスターに入れておく。
こうした工夫はその瞬間はちょっと手間増えますが、量産する際には圧倒的に効率的になります。
こういうことも、後でどう使うか、どんな作業が待ってるかを見据えた未来志向の考え方に基づく仕事の仕方かと思います。

やればやるほど、ちょっと先は楽になっていく。
こういう考え方の人が集まった組織は、どんどん生産性高い組織になっていくのではないかと思います。
私達の挑戦もまだまだこれからです。

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