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めっちゃ目が良いのに、めっちゃ目が悪い、そんな私の話をしよう。

2021年秋ドラマで人気の、「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」をあなたはもうチェック済だろうか。目に持病のある界隈では、放送前から期待と不安でザワザワしていたものだ。主人公のユキコは、いわゆる「弱視」というもので、どんなに矯正しても”視力”があがらず、見え方は薄いビニール袋を通して見た感じ、だそう。

それなら、白杖ユーザーはみんな”視力”が悪いってこったね!!!

そう思うのも当然といえば、当然である。私も自分が白杖を持つまではそう思っていたのだから。だが、ここではっきりと物申したい。

白杖持ってるけど、裸眼で1.2です!

ふう、言った。言ってやったぞ私。ぼや~~っとしか見えてないんだと誤解されがちで、なかなか言えずにいるのだが、実はめっちゃ目が良い。何ならあなたの鼻毛が出ていても、きっと分かるわよ。

さて、その辺の人より目の良い私が、何故白杖を持っているのか。答えは”視力”ではなく、”視野”がとんでもなく狭いためだ。

”視力”は良いけど”視野”が狭い状態

私は「緑内障」という病気を患っている。これはとっても簡単に言うと、視神経がどんどん死んでいき、その箇所が見えなくなっていく、というもの。(緑内障そのものについてはまた、別記事で。)

私の場合は、たまたま見えた一か所だけはよく見えるが、その周辺がすぽんと抜けている。分かりやすい例えで、「望遠鏡で覗いているような感じ」と言われる。日常生活のシーンでいうと、歩いていて横断歩道の白線を認識したとしよう。だが信号機が確認できない。私の狭い視野になかなか信号機が入らないのだ。そうやって信号機の存在に気付かないまま「ここは信号の無い横断歩道ね!」と歩き出して、車に轢かれかけたことは幾度。

小さい子どもも、かなり恐ろしい存在だ。こちらの想像の斜め上を行くルートでジグザグに移動されると、簡単に私の視野から消失してしまう。そうすると、気づいた時には、私の避けられない懐深くまで入り込んでいて、お互いに痛い思いをすることになる。

そんなわけで、裸眼で1.2の視力をもちながら、身体障害者手帳2級の視覚障害者として白杖を使っている。

当たり前にスマホも使えるよ

白杖ガール!のユキコさんは、視力が悪いため、スマホの文字を大きくして顔を近づけて見ている。”視野”の狭い私は、逆だ。文字が大きいと、私の視野からはみ出てしまい、文字が認識できなくなる。私の目が悪いことを知る人たちが、私のためにと、特別に大きな画面で見せてくれようとするのだが、すみません、余計に見えません。お心遣いありがとうございます。でも逆効果なのだ。

”視野障害”は認知度が低く、想像が難しい。せっかくの機会なので、ここまで読んで頂いた方には是非、”視野”の悪い私のスマホ画面を見ながら、”視野障害”に対する理解を深めていただけると嬉しい。

正常分

これは画面の赤丸を見た場合の、特に何の異常もない人のスマホ画面だ。これを私が見るとどうなるかというと、

両眼再

だいたいこんな感じである。周辺のアイコンが何なのか分かり辛いが、視力は良いため、赤丸のアイコンははっきり見える。そのため、割と当たり前にスマホを使う。「白杖持ってるのに、スマホ使えるの?は?」という疑問と疑念は、どうかここに置いていってもらいたい。ただ、まぁ見にくいので、活字を読むときは指を添えて一文字一文字丁寧に読まざるを得ないわけだが。

白杖ユーザーでも見え方は千差万別

今回は、たまたま私のような”視力”は良いのに、”視野”が狭い、という見え方の話をしたが、白杖ユーザーには、その他にもユキコさんのような方もいれば、明るいとこだと見えにくい、暗いとこだと見えにくい、焦点の合わせたところだけ見えない、歪んで見える、等々いろんな見え方がある。

一人一人の特性を全て理解するのは難しい。だが、「目が悪い」という言葉の中にもいろんな意味が含まれているのだと、今日この記事を読んでくださった方々は分かって頂けただろうし、今後の白杖ユーザーに対する見方が、少し幅を広げたものになるならば、私は嬉しい。

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