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高校の同窓会

リタイア生活を株式投資で楽しむモト3の妄想エッセイ

毎年、私が卒業した田舎の高校の同窓会から封書が送られてくる。中には母校の1年間の活動内容が掲載されている会報と、寄付金の払込用紙とが同封されている。

活動報告は、校長の挨拶とか同窓会会長や支部長の挨拶とかで始まり、クラブ活動の活躍状況、卒業生の就職・進学先などが記載されている。そして添付として寄付をした人の氏名が卒業年度毎に記載された一覧表が同封されている。

私は挨拶文を寄稿している人の名前はチェックするが、挨拶文にはあまり興味がない。大体、通り一遍の内容だと思うから飛ばしてしまう。

クラブ活動のインターハイ出場などの成績を見ながら、自分の若かったころを思い出す。当時のクラブ活動も弱かったけど、今も変わらないなあと昔を懐かしむ。

卒業生の進学先ごとの入学者の数が記載されているが、これも昔と変わらない。まるで時間がストップしているかのようだ。田舎町には進学塾などないのだから生徒の勉強量や受験テクニックは昔と変わらないのだろうと推察する。

私が毎回興味深く見るのは、添付されている寄付した人の一覧表だ。私の同級生は誰か寄付したのだろうか? 田舎のことだから小学校、中学校も同じ人が多く、1年や2年の先輩や後輩なら覚えている人も多い。

1年先輩は毎回10人ぐらいの名前が出ているが、同級生の名前はいつも見当たらない。7年前にリタイアした時、これからは元気なうちは少額でも寄付を続けてみようと思った。

2、3年間は私の卒業年度は私一人の名前が載っただけだったが、やがてもう1名の名前が載るようになり、同級生の名前は2名、3名と年と共に増えていった。多分私の名前を見て同調してくれたんだろうと勝手に想像し、嬉しくなった。

同級生の名前を発見すると、当時の姿や、わずかだがエピソードも思い出される。私も元気だけど、彼も彼女も元気にしているんだと確認できる。私にとって同窓会への寄付は自分自身の生存アピールなのだ。

私の様な人が多ければ、寄付者のメッセージを記載できるようにしたらよいのにと思った。一人20文字程の現況報告ができたら、寄付する人がどーんと増えるのではないか?

SNSの時代といえども年取った人はわざわざ面倒なことにチャレンジしたがらない。寄付と20文字のメッセージのセットがちょうど良いアナログ感だと思うのだが、、、。

もう長らく高校の同級生と会っていない。わずかに年賀状を交換していた友人も10年前に病気で他界した。だから私と高校を繋ぐものはもう同窓会への寄付しかない。

振り返ると高校には楽しい思い出はほとんどない。苦しかったこと、嫌だったこと、悩んだことの思い出の方が圧倒的に多い。今街を歩くと楽しそうに笑顔満面に会話する高校生グループとすれ違うことが多いが、私にはそんな高校生活はなかった。

そんな私と高校の関係性だけど、今現在元気で生きていられる自分の礎は高校の3年間なくしては考えられないのも事実だろう。同窓生が皆同じような気持ちかどうか知らないが、私は高校に対して素直な感謝の気持ちは忘れないようにしたいと思う。
<了>






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