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Vol.5 休校中のオンライン学習を終えて思う事

子ども達が北京で通っていたインターナショナルスクールは、4か月半に渡るオンライン学習を終え、6月中旬から夏休みに入りました。学校は高3は4月末から、中3は5月中旬から、それ以外の中高生は6月1日から、4年生以上は6月8日からと徐々に再開されましたが、先生方も生徒も半数近くが中国外にいたため、ソーシャルディスタンスを守れる程度の人数で再開となったようです。我が家を含め国外にいた人達は、後期は学校に通えないまま終業式となりました。

日本での休校中の対応を耳にすることもありましたので、我が子のオンライン学習を振り返ってみました。

①スピード感があり「ベストでなくてもできることをやってみる」というスタンスに安心感があった
旧正月の休み中に休校が決まったのですが、その時点で週明けからオンラインに切り替えると発表されました。元々学校では1人1台端末が使える環境があり、先生方も子ども達も使い慣れていることもありますが、休暇中でPCなど持っていない家庭も多かったので、最初の週はまずは家からアプリを使える環境を整えて、課題の提出方法を覚えることから始まりました。最初の頃は毎週毎週使うアプリが増えていき、親子でアップアップでしたが、先生方がよりよい選択肢を探しているのもわかるし、使ううちに慣れていった感じです。使う端末や滞在場所によって、使えたり使えなかったり、うまくいかないことも多かったと思いますが、困った時は担任の先生に相談すればIT部門のスタッフと共に解決してくれました。ネット環境が整っていなかったり滞在先で学校に通う子は「オンライン学習をしない」という家庭もありました。

親としては「学校が前向きに対応しようとしている」こと自体に安心感がありましたね。そして、やるべき課題がわかり、しかも課題が全部できなくてもいい(自分に合わせたレベルでやればOK)のはありがたかったです。

②心身ともに健康であることが大事、というメッセージを発信してくれた
どこの国にいてもみんな自粛中で、程度の差はあれど休日でも自由に出かけられる状況ではなかったので、先生方は「子どもが落ち着いて過ごせるように、少しでもリラックスしたり楽しめる時間を持ってね」というメッセージを常に発信してくれ、お勧めのアイディアも教えてくれました。なので、勉強に気が乗らない時はお楽しみ企画にチャレンジしたり、お料理やダンスをしてみたり、フィットネスすごろくをしたり、家にいてもそれなりに楽しい時間を過ごすことができ、リフレッシュにつながったように思います。

③先生方からのサポートが手厚かった
課題を提出すると、先生からコメントがありました。最初は文章でのコメントでしたが、後半はビデオメッセージになりました。「ここのところよく調べたね」「この計算のやり方を5通りも考えられてすごい」など子どもの頑張りを認めてくれるコメントを毎回下さり、これは子どもにとってとても励みになりました。また、「次に工夫するとしたらどうしたい?」「次回どんなことを書くか楽しみよ」など次につながる言葉も多かったです。

我が子はまだ英語がそれほど話せなかったので、英語に触れる時間を増やすために英語の先生と学年補助の先生がお声かけして下さり、毎日30分Zoomミーティングをしてもらいました。こういった個別対応がしてもらえたのも、とても助かりました。

④できるだけ子どもが自分でできる仕組みを作ってくれた
オンラインで課題が出されるので、最初は子どもが自分で課題をチェックして自分でやるというのは難しいかなと思っていました。でも、教科毎にアイコンで分かりやすく配置して、課題を音声でも聞けるようにしてくれたりしたので、慣れてくると小2の娘もある程度自分でできるようになりました。英語に不自由ない子であれば、大体の課題は1人でもできたのではないかと思います。
それでも、わからない問題や難しい課題もありますよね。と思っていたら、後半になって学習相談窓口ができました。副担任のようなスタッフに予約制で週1回1人30分Zoomでの相談を受けてくれるようになりました。親が仕事をしていたりして学習サポートができない家庭にもとてもいいサポートだったと思います。

⑤学校で行われるはずの行事をオンラインで開催してくれた
各学年の開催予定だった研究発表的な会もオンラインで開催されました。息子の学年では、デザイン(技術や美術にあたります)の展示会がオンラインで開催されました。時間が合わなくても後日見られるようにアプリでの展示会もありました。また、コロナに関して自分の興味のあることを調べてまとめ発表する会もありました。小学部でも卒業学年にあたる5年生では、自分で決めたテーマに沿って調べて発表する会がありました。卒業式は、学校に通えている子は学校で、通えない子はオンラインでとハイブリッドで開催されました。

もちろん学校でみんな揃って行事をできたらよかったですが、「今年はしない」ではなく「できる方法で開催する」方法を考えてくれて、子ども達は喜んでいました。

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どれも共通して「生徒が学ぶために大事なことは何か」「(少しでも)楽しく取り組めるようにするにはどうしたらいいか」「お互いの存在を感じられるためにはどうしたらいいか」ということを目的にいろいろ試行錯誤して下さったなと感じています。もちろん、学校の対応に不満のあった人もいましたし、それで学校を去る人もいたかもしれません。

日本では「公平さ」や「先生や学校の責任」「規則」が優先されて、なかなかオンラインでの朝の会も実現できなかったところが多いと聞きました。一方で、公立小でもオンラインで双方向の授業をしていた先生や探求的な学びの場を提供していた先生もいらっしゃいます。オンラインならではのメリットもわかってきましたし、これを機に日本の学校でも「子どもが学ぶ」ことや「つながる」ことを目的としたオンライン教育が広まっていくといいなと期待しています。

個人的には、オンライン学習を通じて、学校での様子を垣間見ることができたのがとてもよかったです。先生方が子どもにどう接しているのか、どんな言葉をかけているのかを見ることができましたし、それに対して、子どもがどう反応するかも見ることができました。通知表に"Child as a learner"という項目があり、この項目に学校のあり方がある気がしました。

親としても、「子どもに教える」のではなく「子どもが学ぶ」ためのサポートは何か、改めて考えなければと思いました。

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