初心者でもわかる株式投資術 第16回 さぁ株を買おう!
諸君、毎日暑いな!元気でやっているか!
株式市場は上下変動が激しいが、日米とも株式市場が落ち着きつつあるのは良い傾向だ。前回説明したVIX指数も25前後まで落ちてきている(ピークは60を超えていたから半分以下だ)。ただ気を付けないと、米国は8月後半から9月は例年結構な確率で下げ相場なので、今回のこのトラブルと関係のない下げが今月後半から一緒くたになって再び混乱する可能性も無くはない。
それに関しては、状況を見て改めてこの連載で説明しよう。
毎度のことだが、俺は株式投資だけでなく、モテる技術も紹介しているので、興味がある諸君はぜひ読んでみて欲しい(自己紹介も第2回にある)。
今日から個別株の話もしていくこととする。
今までの連載では、分散投資の中でも特に投資信託やETFなど3銘柄とか10銘柄ではなく、50とか100とか、それ以上の銘柄が組み込まれているものへの投資を前提にしてきた。こういう分散型の銘柄と、個別株への投資は何が違うだろうか?
ざっとこんな感じだろうか?順に説明しよう。
まず、インデックス型や投資信託と比較して、ハイリスクであるということ。つまり、その会社が仮に倒産すれば株価は紙くずになる。インデックスや投信では対象会社が全て倒産することはない。
その代わりと言っては何だが、もちろんリターンも全体的に大きな傾向にある。感覚的にはだが、個別株の場合1年以内の投資で1.5倍~2倍ぐらいの株価になることは結構ある。もちろん、半分になってしまう株もあるが。。一方でインデックス型であれば期待リターンは大きくて数%から10%台ぐらいだろう。もちろん、こちらも対前年比でマイナスになることもある。
参考までに米国のオンライン中古車販売会社(CARVANA)のチャートを見せよう。この会社は財務的にはよろしくないのだが、最近ではもの凄い勢いで株価を上げてきている。チャートにも出ているが1年で205%の上昇だ。これは100%の上昇は倍の意味なので、1年で株価が3倍になったということだ。個別株ではこういうことが結構ある。
次の「投資先企業を知る必要がある」というのは、分散投資の場合はその投信やETFに含まれる構成企業の1つ1つを細かく調べる必要はない。あくまでも業界や経済の発展に賭けているのだから。しかし個別銘柄への投資の場合、その投資先がどのようなビジネスなのか、業界の立ち位置やシェア、業界そのものの未来、企業の財務状況や収益、現時点での強みや課題などをざっと理解しておかないと投資できない。
いちいちそんなこと調べなくても、世間が投資している流行りの会社や儲かっている会社に投資するという戦略もあるにはあるので、個別株の売買に細かな企業分析が絶対に必要と言うわけでもない。が、いずれにせよ、投資先の会社についは何かしら知っていないといけない。
次の「値動きが激しい」も想像がつくだろう。インデックス型や投信は構成銘柄が多いので平均的な値動きに収斂する。上がる株もあれば下がる株もあるので平均に落ち着くわけだ。しかし、個別株はそういうことはない。例えば、NASDAQ総合(もしくはこれに連動するETF)が1%下がる時は、それに含まれる個別株を単独で保有している場合、3%とか5%ぐらい下がる時はザラにある。が、他は下がってもその銘柄だけ上がっている時も当然ある。
右肩上がりに上がるとは言い切れないのもリスクだな。勝ち組に目を向ければ、右肩上がりに上がり続ける銘柄もある。米国であれば例えばアップルやマイクロソフトがそうだし、日本ならファーストリテイリングやトヨタもそうだろう。これらの安定企業は途中上げ下げはあっても、20年以上で見れば上がり続けているといって良い。
が、負け組とは言わないまでも、停滞が長く続く銘柄もある。米国ではアップルやマイクロソフトと同様のテック株の1つIBMは2014年がピーク(200ドル辺り)で以降は停滞気味だった(ただ最近再び上昇傾向で186ドル近辺まで戻している)し、トヨタと同じ自動車産業で日産、ファーストリテイリングと同業のライトオンなどはピークから長い年月が経つが、ピーク時の株価を超える勢いは見られない。
つまり、個別株は銘柄の選択や買い時・売り時が非常に大事になるわけだ。逆に言えば、売り買いのタイミングで儲けが出たりするので、多少損をしたとしても、下がった時に再度買い、再び上がった時に売れば儲かるというようなこともでき、必ずしもピークでの売却にこだわる必要もない。
先ほど見せたオンライン中古車販売のCARVANAの5年チャートを見せよう(さっきのチャートは1年だから期間が違うぞ)。
一目瞭然だが、2021年に300ドル越えのピークを付けてから、大きく下がっている。5年で見れば2倍以上の値上がりなのだが、恐らく多くの投資家はピーク後の値下がり時には売っているだろう。2021年の好調期にこの会社の株を買った投資家は損をしている可能性が高い。だが、2023年後半からの徐々に値上がりする時期に再参入していれば、先ほどの説明通り株価は3倍になっているわけで、2021年に発生した(かもしれない)損失を超える利益を得ているだろう。もちろん過去のその時点では先の値動きはわからないわけだが、個別株は値動きが大きいので、1か月単位や1週間単位での売買でも数%のリターンが見込める。なので、このグラフの短いギザギザのところでの売り買いでもそれなりのリターンがあったに違いない。もちろん、ずっと持ち続けても良い。
個別株にはこういう戦略もあるので、1回の取引で必ず黒字にするというところに必ずしもこだわる必要はない。今回の下げ相場でがっかりしている諸君もこういう投資戦略を身に着けると、また違った世界が見えてくるんじゃないかな?
最後の「株式の譲渡益以外に株主優待(日本株のみ)や配当がある」は分かりやすい。桐谷氏の活躍ですっかり有名になった株主優待だが、これは外国株式やインデックス型、投資信託にはない。企業の商品を貰えるなどメリットが具体的なのでかなり訴求効果はあるようだ。だが、株価が上昇しないことには意味がないわけで、必要以上に株主優待にこだわるのは賢明な判断とは言えないだろう。
配当については、株式売買の戦略上重要な要素だ。配当とは株主に支払われる感謝料(利息)のようなもので、年に1度会社の利益や業績によって株主に還元される金銭のことだ。「配当方針」とか「株主還元」ということばで企業の計画や業績報告に記載されていたりする。
長期視点や大口の投資家はこの配当を非常に重要視する。成功した投資家の中にはこの配当だけで生活できるような向きもいるし、そこまでではなくても、それを目指したポートフォリオを組む投資家もいる。
ただ、配当金の分配が少なかったり、企業業績によっては無配当になる可能性もあったり、成長期・拡大期の企業は配当せずさらなる成長に使って株価を伸ばす戦略を採用する会社もあったりで、配当が投資先企業を選ぶ最重要要素というわけでもないことは言っておくべきだろう。
どうだろうか?
いままでオルカン一択で積み立てNISAというある意味非常に正しい初心者投資家の諸君でも、個別銘柄の値上がりを目にすれば必然的に個別株への興味も湧いてくるだろう。
ここ1~2週間の株価の動きは多くの投資家に恐怖を与えただろうし、尻込みしている向きも多いかもしれない。しかし、これまでも説明してきているように、投資はイチかゼロかの博打ではない。
分散投資をベースに、ごく少ない投資金を個別株に回す、最初から設定したリターンや損失に到達したら撤退する、そして事前に設定した目安に株価が到達したと思ったら再度参入するなど、しっかりとした準備があれば怖くない。
次回はそのあたりの個別株を買う時の事前の準備などについて説明したいと考えている。
荒れた相場だが、くれぐれも冷静にな!
諸君の健闘を祈る。
ではまた次回だ!
注意:この記事および連載は諸君に具体的な投資銘柄を勧めるものでは
ないし、将来的な投資パフォーマンスを約束するものでもない。
投資はあくまでも自己責任で行ってくれ。
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