初心者でもわかる株式投資術 第11回 株の噂話はシャットアウトすべし

諸君、前回までの説明で、口座開設から銘柄選び、投入資金の考え方まで感触をつかめたはずだ。もちろん、まだ銘柄で迷っていたり、資金配分を迷っている向きもいるだろう。それはそれで健全だし、時間を使って自分なりの答えを出して欲しい。

ところで、俺は株式投資だけでなく、モテる技術も紹介しているので、興味がある諸君はぜひ読んでみて欲しい(自己紹介も第2回にある)。

今回は株式投資の話をすると必ず周りにいる噂好き、コメント好きについて言及してみたい。諸君の周りにもいるだろ?「バブル時代に大損した友人がいる」とか「XXの株は儲かるらしい」とか、飲み会で出がちなネタだ。

俺はこういう会話は基本的にノイズでしかないと考えていて、取り合う必要はないと思うのだが、そうは言っても会社の関係だったり、友人だったりで無視するわけにもいかず会話をすることもあると思う。今回はそんな話をやり過ごす思考回路について話をしよう。

まず大前提として「株は大損した奴を知っているからやめておいた方が良い」というアドバイスは全く聞く必要が無い。というか価値が無い。なぜならば、全く賢くないからだ。賢くない理由を述べよう。

・大損したということは何か特定の対象に大きく投資したんだろうから、
 分散投資や資金配分の原則を守っていない
・大損した後にその株買っていたらかなり割安だった可能性がある
・株を買っているパターンと買わないパターンとでの比較になっておらず、
 株を買ったらどうなっていたのかを全く知らない可能性が高い

1つめの根拠は、既にかなり賢くなっている諸君ならわかるな。そもそも俺がこれまで説明している分散を実施していれば、大損するということはほぼあり得ない。世界経済を止めたコロナショックですら、株価の下落幅は多く見積もって4割減(米国市場)だ。昔から投資している場合、そこまで下がっていないだろうし、そもそも資金配分を間違えていなければ、それでも何年かは自分の生活には影響がないはずだ。

2つ目の根拠をコロナショックの話で続けるぞ。コロナで株価が4割下がった。確かにこれは痛いと言えば痛い。が、諸君は既に時間が経てば株価はどこかで戻すことは分かっている。なので下がっても買い続けなければならない。直近で4割下がったのであれば、次回はかなり割安で株が買える。

3つ目の根拠を続けるぞ。コロナショックで株価は最大4割下がったが、株価がほぼコロナ前の水準に戻ったのはいつ頃か知っているだろうか?1年後?2年後?いや3ヶ月後だ。たったの3ヶ月で株価は元に戻ったのだ。そしてその後はむしろ大躍進で米国市場はダウ、S&P、NASDAQで最高値を更新しているのだ。

つまり、自己資金枠を守り、分散し、良い時期も悪い時期も規律に従って買い続ける投資家には「株で大損する」事件が発生しないのだ。

株で大損するのは、有り金を少ない対象に一度の期間に丸まる投資することによって起きる。そして投資に対するリテラシーが低いから、株価がドンと下がると動揺し、追加で購入するだけの気概と資金が残っていないだけなのだ。

なので、こういう「損するから株はやめとけ」的な話は参考にはならない。

では、「XXの株が儲かるらしい」というのはどうだろうか?もしくは「誰それはXXの株で大儲けしたらしい」というのもほぼ同じ話だな。

結論からいうとこれもどーでもよい話だ。根拠を述べるぞ。

・投資金額と得られた利益、その人の全体の投資金額(枠)が理解できない
 限り、儲かっているかどうかもわからない
・いつどういう時期に何を根拠に買っているのかわからない限り、誰でも
 わかる(株をやっていればいつかは気づく)ニュース記事に過ぎない
・ビッグイベントばかり追いかけても、2回同じことが続くことは少ない

1つ目はわかるよな?「1,000万円儲かった」ことは事実でも3,000万円投入していれば、33%リターンは驚くようなものでもないし(個別株なら当たれば半年で50%アップとかは結構ある)、他で2,000万円損していればトータルではマイナスだ。パチンコや競馬もそうだが、人間は勝った時だけ大きく話す生き物だ。

2つ目の理由は、噂話レベルの情報は既に株価に織り込まれているからだ。「これからはEVの時代だ」というのは間違ってはいないだろうが、どの自動車会社もそれは前提としてどういう風に利益を最大化するかが勝負であって、EVをやるかやらないかは既に株価の上下要因ではない。新聞やニュースに出るような話は株価に織り込まれているので、飛びつかないようにして欲しい。

3つめの理由は株をやっていると時々出くわすビッグイベントだ。1日で20%以上株価が上がったり、何か猛烈な買い材料が生まれてみんなが争って買うことで短期間に株価が倍以上に跳ね上がったりする。こういうこと自体はあるので否定はしない。そこに居合わせて株を持っていた人はラッキーだ。

だが、こういうイベントばかり追いかけている人は最終的にはほとんどの場合損をすることになる。理由は高値掴みたかねづかだ。祭りに到着するのが遅く、諸君が恍惚の表情で株を手にしたころには熱狂が終わっている。最近のこうした祭りのチャートを載せておこう(全て米国市場)。

1つ目はMemeStock(ミームストック)という言葉が生まれたGameStop株だ。とある投資会社がこの会社の株を空売り(株の売りから入り値下がりを狙う)しようとしたところに、レディットという掲示板サイトのゲーム愛好家と思しき連中が抵抗して立ち上がり、この会社の株を買いまくって空売りに打ち勝ったという事件だ。会社自体はゲームソフトの販売なので、まぁ正直あまり未来があるようには見えないがな。

10年間のゲームストップ株のチャート(Yahooファイナンス)

この事件があった2021年1月にとんでもなく株価が上昇している。その後も断続的に上げ相場は来るが、最初の数か月で高値で掴んだ投資家が報われることはないだろう。

次はズームビデオコミュニケーションズのチャートだ。コロナ禍で急速に広まったあのビデオ会議ソフトウェアの会社だ。

10年間のズームビデオコミュニケーションズ株のチャート(Yahooファイナンス)

どうだろうか?コロナ禍で業績を伸ばし、すさまじい勢いで上昇した株価もコロナ収束の頃には急激に下げていることがわかるだろう。

最後はあえて少し微妙な例で締めよう。テスラだ。そうあのイーロンマスクが代表を務める電気自動車の会社だな。EVブームで名を馳せたオンリーワンの会社と言っても良いだろう。

10年間のテスラ株のチャート(Yahooファイナンス)

先の2つの例ほどは下がっていないだろう。場合によってはさらに上がるんじゃないか?と思わせるものがあるよな?わかるぞ。だからあえてこの会社を例に選んだのだ。

諸君はこの会社の株が上がると思うだろうか?下がると思うだろうか?

俺の答えは「わからない」だ。これしか答えようがない。やはり「投資は規律」なのだ。「あれが儲かっているらしいぜ」、「これが来るかもだってさ」なんて話を追いかけても間に合わない。自分のレーダーに引っかからず、投資パターンにはまらない銘柄のことを考えても仕方がない。

少なくとも諸君は、個別の株に一喜一憂する必要はないはずだ。なぜなら分散した株式を購入しているのだから。日経平均やS&P500を10年間持ち続け・買い続けていれば、こういうイベントの高値掴みよりもはるかに良いリターンが得られているに違いない。

いかがだっただろうか?株式にまつわる儲け話、大損話というのは聞くに値しないということを理解していただけただろうか?

ここまで分散投資の説明をしてきたが、中には「個別株もやりたいんですけど?」という向きもいるに違いない。今後は個別株も交えて話をしようと思う。分散投資と個別株投資は考え方が違ってくるからそこも重要だしな。

今日はちょっと長くなってしまったので、ここまでにしておこう。次回は個別株の話をしつつ、以降で株式投資の様々な側面の説明をして行きたいと思う。楽しみにしていてくれると嬉しいぞ。

ではまた次回だ!

注意:この記事および連載は諸君に具体的な投資銘柄を勧めるものでは
   ないし、将来的な投資パフォーマンスを約束するものでもない。
   投資はあくまでも自己責任で行ってくれ。

追伸:続けて読みたいと思ったら「スキ」をクリックしてくれると
   嬉しい


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