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佐世保を撮る
少し前に九州に帰省した。
九州を出てから一年半。
ホームシックになったことはなくて、
帰りたいと思ったことも一度もなかった。
わたしの両親は厳しくて、実家にいた頃は
制限が多かったから実家を出て近くで一人暮らしを始めても
監視されているようで落ち着かなかった。
飛行機で東京へ飛び立ったとき
慣れ親しんだ故郷を離れるのが
悲しいとか寂しいとかより
脱獄した、と思った。
やっと田舎という監獄から出て
本当のひとりが始まるんだと思うと、
初めてみる東京の街が、キラキラして見えた。
みんなが人混みが多くてうるさいと言う
新宿は、誰にも見つからない雑踏の都合の良さが
わたしには心地よかった。
そんなわたしが地元、九州に久しぶりに降り立った話。
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まずは友達に会いに長崎へ。
長崎でいちばんと言われているお店で、
名物の長崎ちゃんぽん。
カウンターの奥で、客をまるきり無視して
方言で言い合う夫婦をみて、
うわぁ九州やんけ…と思った。
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この日は友達の家に泊めてもらえることになっていて
久しぶりに話しながら歩いた帰り道。
工事中のクレーン。
久しぶりの佐世保は坂が多くて、方言がきつくて
空が青かった。
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友達はシェアハウスをしていて、
部屋にお気に入りのものを集めて楽しんでいるの、
と言っていた。
いるだけで落ち着くおうち。
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部屋の中を案内してくれる友達。
まだまだ進化中らしい。
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友達はいつも、
夜型のわたしが覚醒し始めて
色んなことを話しだすタイミングで
ちょうど寝落ちする。
眠気には抗えないらしい。
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次の日ごそごそ起きると、
もう友達は起きていて同居人のお姉さんが
珈琲を淹れてくれた。
今日は、いろんなところを案内してくれるらしい。
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お洒落なお店でまったり過ごす。
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器のお店らしく、好きなマグを選んで
飲み物を入れてくれた。
くつろいだあとは陶器を見に有田へ。
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子どもの頃全然知らなかった、
新しい故郷をたくさん発見。
こんな素敵がたくさんあったなんて!
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有田は陶器の街なので、
いたるところに有田焼が使われている。
ドアの取手もしっかり有田焼。
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博多へ戻る途中、駅にあった源右衛門をみて思い出す。
母は昔から源右衛門の作品が好きで、
家にあったいくつかの器を大切にしていた。
子どものころのわたしは今よりずっと
おっちょこちょいで
器なんて、ぱりんぱりん割る子どもだったので
源右衛門の食器は、
大事な器なんだから触っちゃだめよと
言い聞かされていた。
そんな母が機嫌のいいときや
ちょっといいごはんのとき、
とっておき、みたいな顔をして
特別よと言って源右衛門の器を使わせてくれた。
子どもながらに
割っちゃいけないと思って、
そういうごはんのときはお行儀良く
食べるのだけど源右衛門に盛られたごはんは
いつもよりちょっと特別な味がするのだった。
母の源右衛門はまだ現役だろうか。
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