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Kヒロとハラオカコロナ禍を論考

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2020年1月からコロナ禍を記録し続けているコロナ禍カレンダーとともに、調査や取材を通してコロナ禍ゆえの問題を考察します。
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#COVIDー19

欲望と快楽でカルトを読み解いて信者を理解する

カルト、陰謀論、神真都Q。なぜカルトにひかれるのか、カルトはやめられるのか。この問題を本質から考えます。 著者:ケイヒロ コーディネート:ハラオカヒサ なぜ人はカルトにはまるのか「カルトにはまるのは特殊な人である」と、私たちは思いがちだ。だから、私たちと彼らの違いをもとにカルトとは何かを考えるし、私たちと違う人としてカルト信者を批判する。 カルトや陰謀論にはまるのは、もともと禄な連中じゃない。いままで普通に見えていたなら、それは平和な時代だったからだ。コロナ禍で世の中が

反マスク・反ワクチンから抜け出したくなったら

反マスク・反ワクチンをやめたくなったときどうしたらよいか手順やトラブル時の解決法を説明します 反マスク運動や反ワクチン運動に参加していた人たちから、周囲で新型コロナ肺炎に罹る人が現れはじめて、中には連絡が取れなくなった人もいて怖い、どうしたらよいのかと私たちに気持ちの迷いを伝えるメールが届いています。 人それぞれ状況が違うでしょう。でも私たちに言えることはひとつ。 「匿名でやっているならフェードアウト。実名を知られていても縁切り」 これだけです。 でも踏ん切りがつかな

みんな記録を取ればいいと思うよ

著者:加藤文、ハラオカヒサ 小学生の偉業から学ぶべきもの2021年、小学生の地道な努力によって成立した論文や観察記録が世界的に高く評価され、ニュースで報道されたことで話題を呼んだ。 高く評価されたのは、日本に生息するカブトムシは完全な夜行性という定説を覆した埼玉県の小学6年生の観察と記録、青森県平内町の小学生が55年間ハクチョウの飛来と旅立ちを観察した記録だ。それぞれ論文となり前者は小学生が第一著者としてEcologyに、後者は研究者が論文にまとめData in Brie

潮目が変わった9月と今後を考える。コロナ禍カレンダー 2021.9

著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ 9月はあきらかに違ったコロナ禍カレンダーは2020年1月から現在まで、名前の通り新型コロナ肺炎にまつわる情報と時事や世相で目立ったものを合わせて記録したカレンダー形式の月表だ。 先日、コロナ禍カレンダーの2021年9月版をつくり終えてこれまでと明らかな違いを感じた。 9月、新型コロナ肺炎周りの話題はワクチンの接種率や第3回め接種についての話題が増え、世の中は自民党総裁選への関心で盛り上がりをみせた。最悪の感染第5波は収束し、医療機関は久しぶ

政府の広報紙ではない? コロナ禍とマスコミ

震災被災地の人々を救った手書きの壁新聞がありました。このコロナ禍にマスコミは何を報道し、それはどのような影響を与えたのでしょう。 著者:加藤文宏、ハラオカヒサ 被災地で手書きの壁新聞をつくり続けた新聞社 コロナ禍はさまざまな問題を浮かび上がらせた。そのひとつが正しい情報をいかに手にするか、デマや嘘を遠ざけるかだった。 この問題を考えるとき、思い出されるできごとがある。 10年前、地震と津波の被害を受けた石巻日日新聞は社屋が被災して編集態勢が整わないうえに輪転機も動かす

陰謀論に取り憑かれた大切な人といかに向き合うか

著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ はじめにいまから順を追って一から説明します。疲れたら休みながら気が向いたとき読んでください。すべてを信じる必要なんてありません。少しだけだったとしても参考になるものがあれば幸いです。 ─・─ 奇妙で迷惑な考え方に取り憑かれた人が、消しゴムをかけたように元の状態へ戻ることはほぼありえないと考えてください。 引き返せた人はいます。かなりきれいに消しゴムがけした人もいます。でも痕跡が残ります。またあなたは消しゴムがけの手伝いすらほとんどできない

終わらせたくない彼ら/反ワクチン陰謀論と6時間

陰謀論者はコロナ禍の終わりを想定していない。帰るべき場所もなくなっていた。そもそも目覚めるとは何なのか。 取材:加藤文(Kヒロ) マネージメント:ハラオカヒサ はじめにまず最初に、お断りしておかなければならないことがある。 2021年7月、筆者は知人から旧知のA(30代男性)がSNSで陰謀論を元に反ワクチン、反マスクの主張をし、主張通りの行動をしていると教えられた。陰謀論の只中にある人への取材は十分ではなくわからないままで解決されない問題がいくつもあったためAと接触して

なんとなく反権力でイベルメクチン

──整理前の情報を手短に報告する【短信】 / 反権力と反ワクチン、親イベルメクチンについて。 取りまとめ:ケイヒロ、ハラオカヒサ はじめにイベルメクチンが新型コロナ肺炎に効く、飲み続けていれば予防にもなると言われはじめて1年半になろうとしている。 2020年4月にベルメクチンの使用で致死率が減少すると発表があり翌月から南米で使用開始されたが2ヶ月後の6月にデータ捏造で論文は撤回されている。10月に再び致死率低下の論文が発表されたが、これも2021年7月にデータ捏造で撤回

新型コロナ肺炎から見た情報のデジタル化

──デジタル化の障壁は老人なのか。使えない人は切り捨てるべきなのか。日本だけの問題なのか。 著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ はじめにコロナ禍は特別定額給付やワクチン接種など、情報伝達にはじまり申請や予約までデジタル化について考えさせられる出来事が多かった。マイナンバーカードとの連携が強化されたらもっと迅速に簡単にことが運ぶのではないかと考えさせられもした。 ワクチン接種の予約に電話を選んだ人は、WEBフォームから臨んだ人より圧倒的に不利だった。オペレーターにつながらず諦め

第5波はどのようにしてつくられたか

著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ ──私たちの多くは2020年4月から9月頃までコロナ対策の基本を順守していた。いま自粛していない人たちは、遅くとも2021年春から自粛を拒否していたのではないか。 あのとき私たちは何も知らなかった2020年2月6日、ケイヒロは千葉県館山市でロケハン(撮影の下調べ)をしていた。早朝から房総半島南端部を行き来し、正午になり馴染みの飲食店に入った。 広く天井が高い店内では、茶は給茶器からのセルフサービス、注文さえ済ませば小皿料理などは取り放題とい

大学生へのワクチン忌避の広がり調査とママ友問題

──ワクチン忌避の態度を取りデマを信じるのは頭が悪いから、情報弱者だからと言っているだけでは多くのものを見落とすだろう。 著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ 大学拠点接種を前にしたワクチン忌避の広がり新型コロナワクチンの大学拠点接種がはじまろうとしていた時期の大学生の心理を考えるうえで興味深いできごとがあった。考察に必要な情報以外の大学、組織、学生個人などを匿名化したうえで経緯を説明する。 都内のA事業所ではB大学のCサークルに所属する学生が以前からアルバイトをしている。Cサ

“コロナはただの風邪”は意図的に拡散され利用された

この言葉はいつから・2020年1月から5月 いつ「コロナはただの風邪」という言葉が使われはじめたか、それはどのような人たちが、どのような意味で、意図で使ったのか。それとも自然発生したのか。すくなくとも「コロナ」とあるから日本でコロナ肺炎が報道されたり蔓延したあとに生まれた言葉なのは間違いない。 新しい言葉だけにWEB上にいつ登場したか調べるほかないため、年月日を細かく区切りながら検索と候補の確認を繰り返した。 WEB上に残された(初出もくしは初出に近い)古い例として、2

ワクチン確保から接種まで後手後手だったのか

著者: X、ハラオカヒサ (誤記訂正を行いました。これまでにご指摘いただいた方々に感謝いたします) 無関心から批判へ2020年1月15日の国内感染者初確認は、日本在住者にとって新型コロナ肺炎が海のむこうのできごとではなくなった瞬間だった。しかし国内では新型コロナ肺炎をマスク不足を通して実感するにとどまり、とらえどころがなく現実味が薄いままさっぽろ雪まつりクラスターの発生や志村けん氏が亡くなる事態へ突入していった。 しばらくコロナ禍はマスク不足、トイレットペーパー不足、他