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潮目が変わった9月と今後を考える。コロナ禍カレンダー 2021.9

著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ

9月はあきらかに違った

コロナ禍カレンダーは2020年1月から現在まで、名前の通り新型コロナ肺炎にまつわる情報と時事や世相で目立ったものを合わせて記録したカレンダー形式の月表だ。

先日、コロナ禍カレンダーの2021年9月版をつくり終えてこれまでと明らかな違いを感じた。

9月、新型コロナ肺炎周りの話題はワクチンの接種率や第3回め接種についての話題が増え、世の中は自民党総裁選への関心で盛り上がりをみせた。最悪の感染第5波は収束し、医療機関は久しぶりに平常運転に戻りつつあり前向きな話題が増えた。いっぽう反ワクチン、反自粛界隈の活動は停滞し、筆者が知るだけでも数多くの離脱者を出した。

コロナ禍が確実にターニングポイントを迎えたと言ってよいだろう。

変化はニュースで取り上げられるできごとだけでなく、身近な生活にもはっきり違いが現れた。変化の例を挙げつつ、これまでと違う2020年9月を整理してみた。なお今回の[コロナ禍カレンダー更新]は2021年9月と過去を比較をするため2021年8月から2020年1月のカレンダーも掲載する。


理容院と美容院での変化

9月半ば以降の人流の変化は、以前までの感染収束期と異なるものがあった。

定点観測ほど厳密さはないが2020年8月以来、筆者は神奈川県内にある4箇所の大型商業施設内の人出とともにテナント理容院・美容院への来店動向を観察してきた。発端は感染蔓延の傾向が強まる都内から離れてゴールデンウィークを過ごす人たちの動向を知る一環だったが、理容院と美容院の状況に興味を惹かれ観察を継続した。

なぜ理容院と美容院なのか。

理容院と美容院へ行くのは不要不急の外出なのか違うのか曖昧さがあり、理容師や美容師と客の距離の近さや会話の頻度がコロナ禍では気掛かりな要素になっている。飲食店の客足はしばしば報道されるが、理容院と美容院はなかなか動向が紹介されないため確かめておきたいのもあった。大型商業施設全体の人出と比較できるのも好都合だった。

大型商業施設内の理容院と美容院を観察した結果、ともにコロナ禍以前と比べて来店者数が落ちていた8月までと一変し、9月の半ば以降どの商業施設の店舗でも客足が戻りつつある。

9月以降の変化を示すデータはまだないが、コロナ禍で理容院と美容院の理容が減り具合と客の意識を示す調査があった。
[株式会社ROI コロナ禍における美容室や理容室利用についての意識調査 / 調査時期2021年1月13日~15日 / 回答者属性10代~70代の男女 / 回答数999名(男性=281,女性=718)]

調査から以下3点がわかった。
1.今後の利用頻度は、2ヶ月に1度のペースから3ヶ月に1度以下のペースと減少傾向。
2.コロナ禍でも普段利用している店舗に来店した人は80%。
  約半数の人は、利用している店舗以外に行っていない。
3.89%の人が、コロナ対策を重視・気にしており、対策を行っていない場合、76%の人の来店意思が変わる。

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筆者の観察通り、理容院と美容院はコロナ禍の影響を大きく受けていたのだ。

現在、第4波までの収束期以上に大型商業施設が活気づいている。9月半ば以降、理容院と美容院への客足が伸びているのは、第5回波収束とワクチン接種者数が増えたことで人々の行動が変わっていることを表しているのだろう。


10月以降と来年

第5波収束とともに10月に入って緊急事態宣言が解除され、飲食店の営業条件が緩和された。ワクチン接種率は1回目終了7割、2回目終了6割に達した。こうした変化から人々の危機意識が和らいで、理容院と美容院に客足が戻るだけでなく様々な場所で行動の活発化がみられる。

今後、第6波が到来するまで人流は増え続け、長らく続いた自粛生活の縛りを人々が緩めるのは間違いない。

現状では9月半ば以降も大多数は「新しい生活様式」に則りマスクをつけ、3密の状況を避けようとしている。多くの人は活動範囲を広げながらも、まだ用心しなければならないと考えているのだ。コロナ禍の象徴とも言えるマスクを「もうつけなくてよい」とするサインが出るまで用心は続けられるのではないか。

だがこれはワクチンの接種率がさらに高まった段階で「マスクをつけなくてよい」とする誤ったサインが発生して接種済み層の一部で広まった場合、歯止めが効かなくなる危険性も秘めていると言える。

いっぽう接種が開始されたばかりの齢層や対象年齢に含まれない子供たちがいる。また、これまで頑なに生活様式を変えなかったり、欲望のままに行動したり、ワクチン接種を拒否し続けている人もいる。こうした人々を中心に第6波が発生するのではないか。

これらの人々のうち、反ワクチン界隈の活動が停滞したのは前記の通りだ。

ワクチンを接種しないと意思表示している人は接種対象者比20%程度で、別記事で考察した通り陰謀論に固執している人はさらに少なく10%以下で一桁台だろう。彼らの多くは少数派の自覚はあっても、自らの声の大きさやSNSでの主張の拡散度によって現実より同類が多数いると思い込んでいた節がある。しかしワクチンを接種したい人々が可視化され、接種率があがったことによって現実と向き合わざるを得なくなっている。

そして接種者が増えて日時が経過するほど、接種すると5G電波に反応する、皮膚に磁石がつく、人事不詳になる、死亡する、不妊・流産するなどの主張は説得力を失って行く。

今後ワクチン接種者のみ移動やイベントへの参加などを許されたり優遇される措置が登場すれば彼らの孤立は深まるだろう。

年内と2022年初頭に何が発生するか予想するのは難しいが、第6波が到来するとすれば第5波まではとはまったく異なる様相になると想像される。


コロナ禍カレンダー 2021.9 ver2.0.1 とこれまでの一覧

過去のカレンダー同様、内容の追加その他バージョンアップを後々行います。

権利について
コロナ禍カレンダーは情報の選び方や体系的な構成に創作性があり著作物性があるデータベースです。署名なしで公開しますが、私とX氏は権利を放棄するものではありません。
ただしカレンダー、カレンダー上にできごとを表示すること、出来事の名称・総称などは著作権で保護される範囲になく、この点について権利を主張しません。
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カレンダーに改変を加えたものを使用する場合、使用にまつわる責任は改変者が負うものとします。カレンダーを再公開する場合、公開にまつわる責任は再公開者が追うものとします。


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── 以後、1ヶ月ごと2020年1月まで遡ります──

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──2020年へ

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