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山倉あゆみさん/シンクボード

これは、これからの働き方・暮らし方を考えていく人のためのインタビュー記事です。
「働き方・暮らし方を変えたい」と感じたとき、旅先で出会う案内版のような地図があったらいいな…と思ったことがきっかけで、この記事を書くことにしました。働き方と暮らし方が多様になった今、これからの一歩を踏みだすために、どんな道しるべがあったらよいのでしょうか。
多様な視点を求めて、新しい働き方と暮らし方を実践する10人の方にお話をうかがってきました。

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自分の時間を人に寄り添いながら使いたいと思って、機会として提供できることがあるなら、何でもしてあげたいです。


山倉あゆみ|やまくら・あゆみ
新潟市東区⽣まれ/⾼校卒業後、ドイツ菓⼦店に勤務後独⽴しオーダーメードの菓⼦職⼈に。2004年東京へ移り多様な仕事を経験。新潟に戻り2010年にCatering & FoodDesign Lab DAIDOCO設⽴。2017年シンクボード株式会社を設⽴。同年Ciftのメンバーとなり、新潟と東京⼆拠点での活動を開始。

Her works

インタビューをするまでは、あゆみさんの仕事は⾷のフィールドにあると思っていた。けれど実際にお会いし、働く場に⽴ち会わせていただいて、⼀つのフィールドに限らずいろいろな場の中で⼈⼀倍繊細に現状を感じ取り、即座に考え表現していくこと。それがプランニングディレクターと呼ばれる仕事であると知った。彼⼥の⾔葉を借りるなら「自分の中で何かを詰まらせることなく表現して循環させる」姿勢が常に求められる職業なのだと思う。

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Her point of view

いつも「誰かの夢」に帆⾛してきたあゆみさんは今、⼥性としての⽣き方と自分の暮らしを考えていくことに目を向け始めた。写真は彼⼥が「参加者」として出席したワークショップ「未来のコンビニプロジェクト」の様⼦。未来の⽣き方、暮らしについて語る彼⼥は「自分を知ること」にも真剣に向き合おうとしている。

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どんな経緯でその仕事をすることになりましたか

⾼校⽣まで将来の夢もなくスポーツに打ち込んでいました。他にできたことは両親が共稼ぎなため自然と⾏なっていた家のこと。特に⾷事の準備が好きで「料理ならできるかも」と思い⾼校卒業後、調理師学校に⼊学しました。卒業後、あるドイツ菓⼦店でタルト⽣地の美味しさに感動しそのまま就職、3年程たった時シェフに「あゆみちゃんならお菓⼦の仕事で自分の形を⾒つけられるのかも」と⾔われ、23歳で独⽴しオーダーメイドのケーキ職⼈になりました。

その後東京で暮らす機会を得て移住。仕事は、新潟にいた時と同じパティシエの仕事に就きました。パティシエという自分で本業と決めつけていた仕事を続けていくうち「東京で何者でもない私は、何をしたっていいのか」と気がつき、13種類の仕事を実験的にやってみました。そんな時、新潟で地震が起こり、故郷がいつでも帰ることのできる場所じゃないことを実感、家族の近くで暮らすために2008年に新潟に戻りました。

帰って半年は何もせず、じっくり新潟を⾒て回りました。その後も、結婚出産等を経て働かないという⼈⽣初の時間が約1年もありました。ところが出産後半年で妹の結婚式のため早々に復帰することに。仕事、せずにいられなかった(苦笑)。自宅でのウエディングパーティー用にオーダーメイドでケータリングをしている料理⼈を探していると、ちょうど出会ったのが今も共に働くシェフの熊倉誠之助。 熊倉の話を聞き、自分が東京で経験したケータリングの経験が重なり、ケータリングユニットとしてDAIDOCOを結成しました。 この時初めて、自分には料理を作るだけではない働き方があるのだと強く認識しました。

職業として「何者かになること」を目指すのでなく、目の前のことに取り組み⼯夫を重ねた結果、今の仕事の形になりました。これはもちろんこの形のまま固定されるわけでなく、これからもどんどん変化するでしょう。

大切にしたいことは何ですか

⼩さい頃、根暗すぎて考えていることをうまく表現できなかったコンプレックスがあって。できるなら、自分の中で何かを詰まらせることなく表現して、循環させたいと思っています。

あなたの原点を教えてください

両親から受けた「⼯夫で⽣きていく」教育です。 買い物や⾷事作りで節約や時短料理、なんでもチャレンジさせられて。 経済観念、⾷に対する貪欲さと興味が⾝につきました。あとは中学2年の冬に新体操で県選抜選⼿にスカウトされ驚異の短期間で鍛えてもらったこと。そこで「根性」と「成功体験」を繰り返し経験しました。その時自分をスカウトした先⽣がいなかったら、今の私はなかったと思 っています。

時間の使い方について意識していることを教えてください

自分の時間を⼈に寄り添いながら使いたいと思っていて、機会として提供できることがあるなら何でもしてあげたいです。自分の受けた仕事も他の⼈に⼿渡すことが多い。その⼈の何かになるっていうことをずっと求めて仕事をしている感じです。

お⾦の使い方について意識していることを教えてください

「ものの消費」にはあんまり興味がなくて...。循環してるものが美しいと思っているので、ものを買う時も、買った⼈の応援になるという意味で循環させたいし。自分が使ったお⾦が、誰かの⽣きる術になってると良いなと思っています。

働き方・暮らし方を変えようとしている⼈に伝えたいことはどんなことですか

「私は何者か」⾔えなくても良いと知って欲しいです。 職業だけじゃなく将来の夢とかも全部そうで。例えば私は「お⺟さん」とか「経営者」であると決めつけたら、それらの模範でいようとする自分が自分を苦しめる。誰が決めたものでもなく
て、その時選択したものが、結局は「今」を決めているってずっと感じてきているからこその実感です。できるだけ固定概念なく、目の前に来たボールを拾おうとする直感や勇気や⾏動に自信を持ってください。

(取材⽇:2019年1⽉26・27⽇)

▼さらに詳しく知りたい方へ
山倉あゆみ(facebook)
https://www.facebook.com/ayumi.yamakura.7

読んだ方へのお願い

あなたがこの記事を読み、働き方や暮らし方について考えたことは、わたしたちがこれからを考えるための大切な道しるべになります。感想をお送りいただけることを、心からお待ちしています。

感想の送付先は、moshimo.theater.info@gmail.comまでお願いいたします。

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