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退職宣言

会社を辞めたいと言ったとき、その人は「なんとなくわかっていたよ」とほほえみがなら言った。
後日、私より少し若い社長に同じことを言った時の彼の表情を覚えていない。どこか呆れたような顔をしていたかもしれない。おいおい、こんなときにうちを辞めて、どうしようというんですか。やれやれ、どうしたらあなたはここにいようと思うんですか。ここでまだ何もしていないでしょう。成し遂げた仕事もないのに、あなたはここを去るつもりですか? と彼は私の顔を真正面から見ながら言った(この瞬間のことは覚えている)。

すぐに後任はみつからない、引き継ぎだって簡単ではないし、あなたは責任感がない、とも言った。私は希望する退職日の4ヶ月も前に申し出ているんんですけど。
あなたがその日に退職をしたくても、こちらの都合だってあるんだから、きちんと後任が決まり、引き継ぎが終わらないと退職日を決めることはできない、それはあなたが決めることではない。そしてそれは半年以上かかるかもしれない、と。<← なんの根拠も効力もない>

私は何にも感じなかった。

その日の夜、いろいろなサイトで退職時のエピソード集を見ていたら、人手不足、引き継ぎが・・・と言いながら辞めさせないことを「在職強要」というのだということを知った。憲法第22条第1項「何人も公共の福祉に反しない限り、職業選択の自由を有する」のだ。退職することは私の意思であり、自由。引き継ぎだってマナーではあるけれど、義務ではない。さらに、進んで引き継ぎを行うと申し出ているし、不足分を補うマニュアルづくりを作成するために、こんなに早く退職願を申し出ているのだが。 ✴︎自分や大事な人のの身を守るための法律は知っておいた方がいいですね。理不尽なことにきちんと対応できるように。

私の時間はわたしのものなのだ。退職までの時間はきっちりやることをして、わたしは会社を去る。そこまでの時間もわたしは堂々と張り切ってやる。そして辞める日まできちんと丁寧に過ごす。私の時間も、他の人の時間もちゃんと意味あるものにしたい。辞めることは悪い?わたしは全くそう思わない。


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