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【小説】ジャン=ジャック・ルソー

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第2章 カール・マルクス

第2章 カール・マルクス

「君の自転車を見つけたよ」

 アルバイトの帰り道、暗闇から音もなく現れた灰色のネズミを見て、櫻子は心臓が口から飛び出そうになった。

 街灯に照らされたネズミの耳は、Vの字に切れ込みが入っている。こちらに手を振る姿を上から下まで見て、――といっても、背丈は二十センチメートルほどだろうか――あれは夢ではなかったのだと、櫻子は改めて思った。

「聞こえているかい?君が無くしたと言っていた自転車が見つ

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ジャン=ジャック・ルソー 第1章

ジャン=ジャック・ルソー 第1章

「過ちを犯すのは恥ずべきことじゃない。むしろ、その過ちを改めようとしないで、繰り返すことの方が恥ずかしい」

 自慢の長い髭を撫ぜながら、ジャンは言った。
 ジャンは、街灯の薄明かりにぼんやりと照らされたベンチに、背筋をピンと伸ばして座っている。櫻子はその隣に腰を下ろして尋ねた。

「何それ?ルソー?」

 首を傾げて見せると、ジャンは鼻を鳴らした。
 公園の中央にある時計台の針は、二十一時を指し

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