池魚の殃 鬼籍通覧/椹野道流

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000323551

読了日2019/9/4

大切な人が苦しんだことより、大切な人が苦しんでいるのに何も出来なかった人でなしの自分という存在がつらい。

のっけから拉致監禁され、右腕のミイラまで発見するミチルと伊月は当然のように首を突っ込む。関わる人間は自殺しており、話は進展しない。
暗闇が示すのは、人の心の闇。
失礼とはわかっていても、佐川と彼女は似た者同士だったのではと思う。だからこそ惹かれたのに、強すぎる愛情に悶える男と、その死に責任を感じつつも彼女はそれに酔っている節はなかったか。だから自分ばかり苦しいなんて感じるのでは、と思うも、苦しめるのも生きている特権かと思い直す。


この記事が参加している募集

サポート代は新しい本の購入費として有効活用させてもらいます。よろしければお願いします。