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2023.02.10 別府旅・後編~温泉は温かく、名水は冷たく、雨は肌寒く~

2日目の朝は朝食バイキングから始まった。カレーライスやウインナーはもちろんのこと、たらこがあったのが嬉しかった。ご飯にたらこをたらふく乗せてやった。

何も3日間、毎日毎日温泉に浸かっていたわけでもない。2日目は別府を離れて竹田市に向かい、竹田湧水群 ※1 という日本名水百選を見に行った。山の中を走る電車に乗って、玉来駅で降りた。1時間でサッと見て回って別府に戻ろうかと思っていたが、意外と駅から遠い場所にあり、2時間ほど歩いていたらしい。

雰囲気のいい泉だったり、こんこんと水が流れる湧き水だったりしていた。珍しく「生水での飲用は控えてください」とは書かれていなかったから、泉から直接すくって飲んでみた。えぐみは無かったしそのあとお腹を下すこともなかったからいい水だった。

少し離れた場所には自然の川に飛び込めるウォータースライダーもあった。水がとても綺麗なため、川遊びをしても問題ないのだろう。親御さんからしたら安心だろうね。

湧水「群」というだけあって4つの湧き水があり、北東にあるやつに向かった。しかしHPによるとそれは立ち入り禁止区域にあるらしい。遠巻きにでも一目見れないかと思って近辺を歩いてみた。それでも結局見ることはできなかった。

ただその近くにダムがあって、ダム下のゴツゴツとした岩とか、切り立ったサイドの川が悠久な景色だった。

電車が1時間に1本のペースで、次発まで1時間もあったから昼食にした。駅前の定食屋さんで、大分名物の鶏天定食にした。女子大生から近所のおっちゃんの集う大衆食堂だった。日頃の散策でもこういう定食屋がいいと思ってる。

天ぷらというだけあって天つゆとかが必要なのかなと思っていたが、唐揚げと遜色ないくらいにした味がついてて、ご飯が進む進む。美味しかったし770円しかしなかった。前日の居酒屋の1/10の値段である。本来ご飯はこれくらいの金額で満足できるもんなんだよ。

別府に着いたのは夕方になってからだった。そしてさらに鉄輪という地域にバスで向かった。前々から気になってた地獄蒸し体験をしたかった。時間帯からしてここで夕食にした。

鉄輪はあちこちから濃い湯気が立ち上っていて、いわゆるみんなの想像する別府の景色だった。逆に言うと別府駅周辺には全く湯気が上がってないのだ。たしかに居住区が湯気で見えないうえに硫黄の臭いで充満してたら困るわな。だからそういう地域を避けて人々が住みだしたんだろうけど。

スタンダードな野菜・魚介セットにした。昨日の風俗嬢からの「豚が美味い」というアドバイスは完全に忘れていた。「体験」というだけあって、フタを開けたりカゴを入れたりした。厚手のゴム手袋をしてやったから、かなりの熱さだったのだろう。そこからたったの15分で蒸しあがるというのだから尚更だ。

せっかくだから野外のエリアで食べてみた。ただ味としては…、普通に茹でた・蒸したものと何ら変わらなかったと思う。別に「温泉味」という味覚があるわけじゃないし。

結局はポン酢風味のタレをバシャバシャかけて食べたからね、ポン酢味だったよ。野菜も魚介もいつも通りの味だった。唯一サツマイモは全くベチャっとせず、ねっちりホクホクして甘みが濃縮して美味しかった。

あと外で食べてたからか、どれもこれもすぐ冷めてしまった。そもそも一口目から火傷しない程度の温かさだった。好きなものを最後に残してたら、冷めたホタテやエビを食べることになった。

宿は3000円もしないくらいのカプセルホテルで、それなのに大浴場もサウナもあった。さすが別府。

ただカプセルルームが押し入れみたいな感じだった。壁のベニヤ板とか、天井隅の木材とか、マジで押し入れだった。ドラえもんっていつもこんなとこで寝てんのかな。

3日目は朝早くからもう1回鉄輪に行って地獄めぐりをした。7か所の源泉を1つ1つ見ていった。水色や赤色、灰色と色とりどりだった。途中「温泉の蒸気で蒸したフランクフルト」というのを食べたのだが、やっぱり普通のフランクフルトの味だった。むしろ焼いてない分、美味さは劣るんだよなぁ。焼きの方がいいなぁ、

特に「鬼山地獄」が凄かった。温泉の温かさを利用してワニを飼育しているのだ。なんで?とは思ったけど面白かったからいいや。間近で見るワニはちゃんと恐ろしかった。これが温泉街というのだから。

鉄輪でもう2か所共同浴場に行った。そのうち1つはなんと無料で入れるところで、人で賑わってた。先客のおっちゃんと少し会話した。

別府最後のご飯はりゅうきゅう丼にしたかった。地獄蒸しのお店の近くに居酒屋があって、そこの昼営業でりゅうきゅう丼と鶏天のセットがあるらしく目をつけていた。しかし日曜定休だった。

じゃあどこでりゅうきゅう丼を食べられるのかと思ってとりあえず別府駅に戻った。ただどの店でりゅうきゅう丼を食えるのか分かんなかったし、あったとしても行列で時間もないし、結局駅前の空いてる居酒屋の昼営業で、海鮮丼となめろうで妥協した。

食いかけですいません。なめろうの写真もありません。

なめろうなんてほぼりゅうきゅうだし ※2、そもそもちゃんと検索したら1日目の居酒屋で食べた「あつめし」がりゅうきゅう丼と同じようだった。だからもうそれでいいかと思うことにした。りゅうきゅう丼のためにあちこち歩いていたから疲れた。

食後にショッピングモールに行ってお土産を買った。次の日にゼミのメンバーと会う予定があるから、その時に別府土産として渡そうと思った。

ラストに1か所、共同浴場に行った。また誰もいない貸し切り状態だったから写真を撮った。結局温泉はホテルの大浴場も含めて、3日間で8か所くらい入ったんだろうな。

しかし温泉に入りすぎたのか、最後の最後に手の皮膚がふやけて剥がれて、そこに水やアルコールが染みてめちゃくちゃ痛かった。何で別府旅行をグチで〆ないといけないのか。帰り道も、傘・上着・リュック・お土産と荷物が多くてイライラした。


※1 阿蘇山からの湧き水。日本名水百選では珍しく、伝説とか伝承とか歴史とかは一切無い。ただ綺麗なだけの湧き水。

※2 そんなことはありません。


温泉巡りをするのなら冬がいいのだろうと思って2月に別府を訪問した。たしかに寒い中、温泉に入るのはたまらないものがあった。しかしこの季節に意外な落とし穴があった。

温泉に入る度に、やれウインドブレーカーだ、上着だ、トレーナーだ…、脱いだり着たりするのがものすごい手間だったのだ。着こむ量が多い分、着替える労力が必要だった。その度にめんどくせぇなぁと思ってた。

温泉巡りをするのなら今みたいな、涼しいけど着こむ量が多くない季節、秋がいいんだなと思った。Tシャツ1枚で少し肌寒い、そんな季節の方が脱いだり着たりするのも楽だったのだろう。皆さんも温泉巡りをするのなら、ぜひ秋に出向いてほしい。

日記には書いてなかったが、この度の道中で聞いていた曲を覚えている。その時ちょうどハマってた、toeとbeabadoobeeを繰り返し聞いていた。今でもこの2組の曲を聞くと、雨の別府の景色を思い出す。

1日目は雨の日だったのだ。別府タワーからの街並みや海からの風景も灰色の曇天模様だった。そんな中、toeとbeabadoobeeのしっとりとした曲が身に染みていた。

特にbeabadoobeeの「Silver Into Rain」なんて、空はシルバーだったし天気はレインだったし、この別府旅を言い表すにふさわしい曲だった。タイトルの和訳としては間違ってるだろうけど。

この曲を聞くと、雨の肌寒さ・温泉の温かさ・曇天模様・ビチョビチョになった靴下・脱いだり着たりする労力・多かった荷物・あの時の怒りがよみがえってくる。結局グチになる。

天気まで含めて、水に触れあった旅だったなぁと思う別府旅だった。温泉に名水に雨に。