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”いつか”なんてものがないと気づいた日僕は旅人になった

6か月間過ごした寮の部屋で、パッキングをしながら思った。結局自由の女神を間近で見ることができなかったな。

タイムズスクエアからバスで40分ほどしか離れていない大学に留学していた僕は、毎週末マンハッタンやブルックリンに通っていた。8か月の留学が終わったときに後悔したくなくて、同じ一日を繰り返さないよう、新しいことに日々挑戦し続けていた。

今週末はここに行こう。平日はそんなことばかり考えていた。留学期間が残り二か月に迫ったころには”残り二か月で、やりたいことをやりつくそう”と考えていた。

しかしその二か月どころか、週末すらやってくることはなかった。某ウイルスの影響で早期帰国が決定した。

その時、気づいた。いつか、いつかと言ってもそのいつかはやってこないかもしれないと。たとえもう一度渡米したとして、かつて行きたかった場所に行ったとしてもその意味合いは変わってくる、と。

人生が一度しかないように、18歳の秋からの留学はたった一度っきりだった。あの日、もうニューヨークに行けないと気づいた日、留学生としての僕の人生が終わって、そして僕は旅人になった。

たとえ、”いつか”がやってこなくても後悔しないように、いつかを今にしようと決めた。

だから、今度は旅人としてニューヨークに行こう。ニューヨーカーになりたかったころの自分が見ていたものと、旅人になった自分が見る景色を比べるために必ず。

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