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背伸びして歩いたコンクリートジャングルを離れて、大自然に触れる旅

マンハッタンから車で9時間、そこには摩天楼広がるマンハッタンと同じニューヨーク州とは思えない絶景が広がっていた。慣れないアメリカの道でひたすら走り続けた疲れなど何処かへ行き、ただその白と青の世界に心を奪われた。世界三大瀑布の一つナイアガラの滝だ。アメリカとカナダの国境を跨ぐその滝を見て、私は思わず"Oh my god"と呟いた。

去年の今頃、18歳の私はニューヨーク市のすぐそばの大学に留学中で週末は欠かさずマンハッタンやブルックリンに通い詰めていた。最先端とオールドスタイルが混じり合うこの街が大好きで、おしゃれなカフェでコーヒーを飲みながら読書をしたりして、気分はニューヨーカーだった。どこか背伸びをしていたのかもしれないけれども。

ただ、忙しなく過ぎていく日々を楽しんでいたけれども、どこか心に余裕がなかった。日々を後悔しないように生きよう。何もしない日は作らない。新しいことに挑戦し続けよう。ニューヨークの美術館やギャラリーを行き尽くそう。外国人の友達をたくさん作ろう。数え出したらキリがないほど、たくさんの目標を自分の中で打ち立てた。

ある日、同じ大学に通う中国人の友達にある一枚の写真を見せられた。とてつもなく大きな滝が、凍っている。それを見た瞬間私は、"ここに行きたい"と思った。すぐにその友達に今度の連休にその景色を見に行こうと言った。どんなに遠くても構わない、"自分はそこに行かなきゃいけない"そう思った。すると友達は、"車で行ける距離だから行こう"と。

               (Photo:CNN)

安さと安心感の朝マックで空腹を満たし、いざナイアガラの滝へ。上流から川沿いへと進み、ついに世界三大瀑布が目の前に。轟々と音を立て、落ちていく水。落ちていく水が幾重にも作る虹。端が見えないほどの滝幅を持つその滝をみて、思わず震えた。雄大な大自然とその力強さを目の当たりにして、人間がいかにちっぽけな存在であるか悟った。この滝を見ていると、自分の苦悩や葛藤なんて大したことじゃないと感じた。

ツアーに参加すると、上からのものとは全く違う景色が広がっていた。水面の青と滝の白、そして水しぶきに濡らされ凍らされた木々。自然が作るコントラストはとても幻想的だった。

今でも、あの滝を思い出すと思う。自分たちが今どれだけ苦しい状況でも、大好きな旅に次いつ行けるかわからないような状態だとしてもあの滝は変わらず力強く、そして悩みを吹き飛ばしてくれるだろうと。

そしていつか、あの時はビザの関係で行けなかったカナダへ渡って、カナダ側からナイアガラの滝を見よう。何もない田舎町のアメリカ側から見た、高層ビルが立ち並びきらびやかなトロントの街へ。今度は背伸びをせずに。

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