怖い物語⑤

「え、はい…そこはお互いに信頼しているので。」
それまで一切お互いの恋愛の話などプライベートな話は出なかったので、少し驚きながらも返事をしました。

「いや俺だったら、出張中とかならなおさら心配だな・・・」

わたしと彼氏は長く付き合っていたけれど、仕事が忙しく結婚の話も出ないわけではなかったけれど、もともと結婚願望があまりないわたしはそれなりに今の関係に満足していました。
周りに色々言われることはあったけれど、2人のことは2人にしかわからない。
そう感じていたし、お互いの信頼関係はとても強いと思っていました。
だから、ソウダさんのようなことを言われるのは慣れていました。

「色々言われることもあるんですけど、わたしたちはこれでも何年も付き合いを続けていて、お互いのことを信頼しているので大丈夫です」
そう笑顔で返すわたしに、ソウダさんは、しかし納得できないようでした。

真面目な性格なのか、自分だったら結婚するなりして、きちんと関係性を示したいし、等、正直わたしには聞き慣れた言葉でした。
そうやって心配だよ、と言ってくれる友達も何人もいましたが、唯一違ったのはそれが女友達だったということ。
ソウダさんは男性。

その日は、彼の話はそこだけで終わり、あとは終始仕事の話をしていました。
わたしの仕事に対する話を聞き、ソウダさんも「そんな風に仕事のことをきちんと考えて取り組んでるってすごいな〜」と褒めてくれる場面もあり、
「こうやって仕事の話を真面目に何時間もできるってあんまりないし(笑)今日はすごく楽しかった!ありがとう」
と言ってくれました。

わたしは仕事に対する気持ちも新たに、この職場で頑張っていこうと思える時間になりました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?