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名前を付けるということ。

なにかを始めるとき、その「なにか」に名前を付ける必要がある。

もちろん必ずという訳ではないが、「あれ」とか「それ」では関わる人とのコミュニケーションが取りづらい。便宜上であろうが暫定的であろうが、まずは名前を付けることから始める場合が多い。

例えば、我が子の命名。生まれたばかりの子供に名前を付ける。どんな名前が良いか?呼びやすくて、かっこよくてかわいくて、みんなから愛される、そんな名前にはさて、どんな文字を用いれば良いか?画数はどうか?読める漢字か?

…などなど、それはもう大変な作業だが、名前を付けることによって、コミュニケーションがとりやすくなるだけでなく、その子に対しての愛情や親密さが増していくという効果もある。

要するに、名付ける対象に愛情があればあるほど、名前に込める思いは深くなり、作業は煩雑になる。

逆に名前なんて何でも良いよという場合だって、まずは「何でも良い」という思いがあり、何でも良いから「〇〇」にした、という過程を踏まえて名付けている。

愛情の深さに関わらず、思い、考え、決める、という過程を踏まえるのが「名前を付ける」ということだ。

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遊具メーカー(トッケン)の新規事業として、インクルーシブ製品を販売するサイトをつくることになり、その名前(=サイト名)が必要になった。

名前を付けるにあたって、まずは外枠を考える。団体なのか?個人なのか?趣味の集まりなのか?利益目的なのか?無償なのか?お客さんがいる場なのか?リアルなのか?オンラインなのか?

今回は「サイトで製品を販売する」ことからスタートするけど、たぶんこの事業は販売だけでなくもっと活動領域は広がっていくと思う。外枠としては「取り扱う製品を軸に販売や交流が生まれる場」という感じだろうか。であれば、呼びやすく、キャッチーで、わかりやすい名前が良いかもしれない。

次に中身だ。まだ名前のないこの「〇〇」でいったい何をしたいのか?どうなりたいのか?誰を喜ばせたいのか?…ここではじめて名付けの対象にについて、深く、じっくりと考えることになる。

どんな人が関わって、どんな社会(未来)を作り出したいのか。ビジョンの設定だ。


今回の事業の対象者は様々な特性をもった子供の親(保護者)だ。子供はそれぞれ成長のスピードも違うし特性も違う。できることも違う。でも「できない」「苦手」で終わらせずに、まずは「やってみる」ことがとても大切だと思う。そうやってできることを増やしていき、生きる力を身につけていってほしい。それがこの事業の大きなテーマのひとつだ。

そんな事業テーマのことも考慮しながら、名前の語感、文字数、英語or日本語、わかりやすさ、親しみやすさ、サイト名になったときにハマるか?文字の並びはどうか…。様々な要素を考慮して、思いつく名前をiPhoneのメモに書いていく作業が続いた。

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オーストラリアに住んでいた頃よく耳にしていた言葉を思い出した。遊びでも何でも、ちょっと難しいことに挑戦しているときに大人が声をかける。「がんばれ、やればできる、あーもうちょっと」トライ&エラーを繰り返す子供。そしてゴール。

I did it !(できた!)

You did it !(できたじゃん!)

子供の満面の笑顔。我が子への愛情に満ちた親の笑顔。達成感や幸福感、誇らしさ、次の挑戦へのきっかけ…様々な思いが交差するシーン。これだ、これがこの事業によって作り出したいシーン(未来)だ。

Did it

新規事業に対しての思い(ビジョン)が集約された言葉だ。これ良いなあと思うけど、名前として収まりが悪い。「ディドイット」では呼びにくいし、キャッチーじゃないし、そもそも何だかよくわからない。

では3単語をまとめて「アイディディー」「ユーディディー」…いや、なんか違う。しっくりこない。では発音を優先してみたらどうだろう。強制的に「ディディッ」って読ませられるように単語をくっつけて「didit」。でもこれだと読みは「ディディット」か。造語になるけど…ん、わるくないんじゃない?「ディディット」という発音もかわいい。…いいじゃん!


…とまあこんな感じで頭の中でひとりネーミング会議を繰り返すこと約1ヶ月、ようやくサイト(事業)の名称が「できた!(didit !)」のだ。

さあ、次はカタチを作っていく作業「ロゴづくり」だ。(つづく)

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